自民「LGBT理解増進法案」を幹部一任に、反対・慎重派が怒り。和田氏「今日の会議の運営はあまりにおかしい」高鳥氏「一任などしていない」
性的マイノリティに関する特命委員会と内閣第1部会の合同会議が自民党本部で12日に開かれ、「LGBT理解増進法案」の修正案について議論が行われ、反対派と賛成派双方から意見が上がり、議論は紛糾したそうだが、最後は対応を幹部に一任した。
自民党は12日、党本部で性的マイノリティに関する特命委員会と内閣第1部会の合同会議を開き、LGBTなど性的少数者への理解増進を図る法案を特命委の高階恵美子委員長と内閣第1部会の森屋宏部会長に対応を一任した。保守系議員の一部は反対したが、幹部側が押し切った。法案は19日に広島市で開幕する先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)の前に国会に提出される見通しとなった。
法案は基本理念に「性的指向および性同一性による不当な差別はあってはならない」と盛り込まれた。会議では28人が発言し、差別に関する表現や、学校現場にLGBT教育の確保を求めた条文などについて異論が相次いだ。森屋氏が一任を提案したのに対し、出席者からは賛成、反対それぞれの声が上がった。
会議終了後、推進派の稲田朋美元防衛相は記者団に「大きな前進だ。一方で心配している女性の団体もある。懸念を払拭するためにも、理解増進法を作るべきだ」と述べた。慎重派の高鳥修一衆院議員は記者団に「最後は強引に一任を取り付けた。民主的な党運営に禍根を残した」と語った。
しかし、会議では反対・慎重派が多数だったにもかかわらず、対応を幹部に一任したという。
反対・慎重派の和田政宗参議院議員は次のようにコメント。
今日の会議の運営はあまりにおかしい。
部会長一任は、原則全会一致。それがダメなら多数決。
反対が多いのに「一任」は、党内手続きであり得ない。自民党のガバナンスが崩れていく。
これでは、反対が多くても執行部が押し切れば、有権者・支持者に託された我々の意見は関係ないということになる
— 和田 政宗 (@wadamasamune) May 12, 2023
党の会議で「理解増進法」が、反対15賛成10と、反対が多い中”部会長一任”と強引に主張されている件。
部会長は議論継続のため頑張るべきだったが、議論を打ち切り、部会長に一任を促したのは、写真の役員の方々。
反対が多いのに、なぜ議論を継続しないのか。
自民党が壊れるhttps://t.co/OyvNVD6deg— 和田 政宗 (@wadamasamune) May 12, 2023
同じく反対・慎重派の高鳥修一衆院議員は次のようにツイート。
内閣部会、性的マイノリティー特命委員会合同会議
先程終了しました。私のカウントでは反対慎重18名、賛成10名。にもかかわらず執行部が強引に反対の声を押し切って、部会長一任として散会しました。何のための議論なのか、「自民党では今後、反対の声が多くても部会を通る」という前列を作りました。— 高鳥修一(たかとりしゅういち) (@takatorishuichi) May 12, 2023
一任などしていない。反対の方が明らかに多いのに何故通るのか?絶対に認めない!と猛抗議(青山先生のTwitterから)。多くの議員が求めた差別のガイドライン、性同一性の客観性、学校に関する条文の削除等はゼロ回答のまま。昨日通すよう指示が出ていた。防衛費増税に続いてまた聞かない力を発揮した。 pic.twitter.com/gs5sWooN0Z
— 高鳥修一(たかとりしゅういち) (@takatorishuichi) May 12, 2023
反対慎重の声が圧倒的に多い(18対10)のに執行部が強引に部会を通したのは歴史に残る暴挙。部会長と特命委員長は悪く無いが、上のレベルから今日通すよう圧力がかかっていたと思われる。保守であり積極財政派だった安倍先生が亡くなった途端、平気で裏切る議員が残念でならない。 pic.twitter.com/GQEZ1Fo3Q5
— 高鳥修一(たかとりしゅういち) (@takatorishuichi) May 12, 2023
気になったのは、各報道に目を通してみたが、私が見た報道ではどこも「反対・慎重18名、賛成10名」には触れていない。なぜ?マスコミが一番喜びそうなネタなのに?やはりマスコミも法案を通したい派なのか?
フジテレビ上席解説委員の平井文夫氏は「強引にやると大量の保守票が離れる可能性があるので気をつけた方がいいと思う」と指摘していた。
僕はLGBTの人たちを差別することは修正案の通り「あってはならない」事だと思うし、日本は多様性を認める国であるべきだとも思う。だが「サミットに間に合わせよう」などと政治的な都合で拙速に法律を作るのは良くない。
推進派の稲田朋美元政調会長は10日、「サミット前にある程度進めておくべきというのはその通り。総理総裁が指示を出している。今国会で成立させるべきだ」と述べた。自民党内では保守派の反発があるものの、週明けに推進派が法案の提出を強行するのではないかとの見方が出ている。
中略
稲田氏の言うことが本当なら岸田文雄首相は法案を今国会で通したいということだが、強引にやると大量の保守票が離れる可能性があるので気をつけた方がいいと思う。
「僕はLGBTの人たちを差別することは修正案の通り「あってはならない」事だと思うし、日本は多様性を認める国であるべきだとも思う。だが「サミットに間に合わせよう」などと政治的な都合で拙速に法律を作るのは良くない」これは完全同意だ。
また、平井氏は「強引にやると大量の保守票が離れる可能性がある」と危惧しているが、指摘の通りネット上では保守派が怒っている。「もう自民党には投票しない」と言う声もあがっている。