【岸田総理襲撃事件の報告書】産経「安倍氏失った反省がない」「痛恨事だったはずの事件の反省は、警察、主催者の双方に欠けていた」
産経新聞は、『主張(社説)』にて、和歌山で起きた岸田総理襲撃事件の警察庁の検証報告書について、安倍元総理銃撃事件の反省が、警察、主催者の双方に欠けていたと訴えた。
警察庁は、岸田文雄首相の選挙応援会場に爆発物が投げ込まれた事件の検証報告書を公表した。改めて鮮明になったのは警察と主催者の連携不足であり、背景には集票を優先する政党側の非協力的な姿勢があった。
報告書の公表を受けて警察庁の露木康浩長官は「わずか1年足らずの間に今回の事案が起きたことを重く受け止めている」と述べた。
これは昨年7月、安倍晋三元首相が選挙遊説中に銃撃を受け死亡した事件を指す。痛恨事だったはずの事件の反省は、警察、主催者の双方に欠けていた。
和歌山市の雑賀崎漁港で4月15日、岸田首相の演説開始直前、木村隆二容疑者が筒状の爆発物を投げ込み、爆発した。首相は無事だったが、警察官と70代の男性が軽傷を負った。
事前の打ち合わせで和歌山県警は聴衆エリアに受付と金属探知機の設置を要請したが、主催者側は聴衆が漁協関係者に限られ、顔で確認する、広く参加を呼びかけないと説明してこれを拒否した。
首相の演説場所から聴衆の最前列まで10メートル以上の距離を確保するとの要請も、主催者側が難色を示し、約5メートルとした。
実際には自民党のウェブサイトなどで街頭演説を広く告知しており、容疑者の会場入り、首相への接近を防ぐことはできなかった。安倍氏が遊説中に至近距離から撃たれた警護警備の大失態が、ここでも繰り返されたのである。
県警の事前の要請をことごとく断った主催者側と、これを諾々と受け入れ、結果として爆発物の投(とう)擲(てき)を許した警察の双方に大きな責任がある。
政界には「政治家である以上、命を懸けている。何かあっても致し方ないという気持ちで臨んでいる。有権者から距離を取るのは本末転倒だ」とする声もあった。
勇ましくも聞こえるが、そこに決定的に欠けているのは、聴衆の安全である。犠牲になるのが政治家一人であるとはかぎらない。
岸田首相の足元に投げ込まれた爆発物は完爆せず、爆体ごと吹き飛んだが、これが精緻に作られた完成品であれば大惨事となっていた。警察庁と同様に、主催者側の自民党和歌山県連も検証を尽くして公表すべきである。
1年足らずの間に、元首相と現職首相が襲われた。この異常事態を軽視してはならない。
全くその通りだ。警察がいくら厳重な警備を心がけようとも、主催者側が非協力的ではまともな警備体制が取れない。警察側の失態も否めないが、主催者側の呑気さがこのような事件を生む。
いい加減、なにかが起きてから反省するのではなく、なにかが起こるかもしれないという危機管理の強化を徹底していただきたい。産経も触れているが、岸田総理に投げ込まれた爆発物がもし殺傷能力の高いものであれば大惨事になっていただろう。