韓国国会で過半数を占める「共に民主党」代表の逮捕同意案、多数の造反で可決
韓国国会は21日、最大野党「共に民主党」の李在明代表の逮捕同意案を可決した。共に民主党は国会で過半数を占めるが、賛成149票、反対136票で可決。造反議員が多数出たようだ。
国会議員には不逮捕特権があり、会期中に逮捕するには国会の同意が必要となる。
韓国国会は21日、北朝鮮への不正送金に関わった疑いなどで逮捕状を請求されている最大野党「共に民主党」の李在明代表の逮捕同意案を可決した。
李氏は裁判所による逮捕状の審査に臨むことになる。来年4月に総選挙を控える中、共に民主党にとっては大きな打撃で、党内の混乱は避けられそうにない。
可決には、投票した議員295人の過半数が賛成する必要があった。投票の結果、賛成は149票、反対は136票。共に民主党は国会で過半数を占めるが、造反が多数出たもようだ。入院中の李氏は投票していない。
良心を持つ議員の造反かとも思ったが、どうやら党の印象悪化を懸念しての造反だったようだ。
また、李氏は尹政権批判と日本の処理水放出の反対でハンガーストライキを行っていたが、その後病院に搬送された。どうやら逮捕回避に向けた対策だったようだ。
李氏は城南(ソンナム)市長だった2014~17年、都市開発事業で民間業者に便宜を図り、市の開発公社に200億ウォン(約22億円)の損害を与えた疑いが持たれている。京畿道(キョンギド)知事だった19~20年に衣料大手企業を通じて、自身の訪朝費用を含む計800万ドル(約12億円)を北朝鮮に不正送金した疑いも逮捕状に含まれた。
今年2月に別の容疑で逮捕状が請求され、国会同意案が僅差で否決されたことから、李氏は今回、逮捕回避に向け周到に対策を講じてきた。任意での捜査が大詰めを迎えた8月末、「尹大統領の強権政治に対抗する」名目で断食に突入。今月18日には逮捕状請求と同時に体調不良で病院に搬送され、党議員や支持者の同情を誘う戦略を取った。
しかし、党内では自治体首長当時の李氏個人の犯罪疑惑が党の印象を悪化させ、中道層離れを招くことへの懸念も拡大。今回の大量造反を招いた。一方、韓国の裁判所の逮捕状審査は発付が認められないケースも2割近くあり、事態の推移は見通せない。
李氏は次期大統領選に臨むべく尹政権に対峙していたようだが、どうやらその目論見も消えることになりそうだ。また、韓国では来春総選挙を控えていて、その影響も大きいだろう。