泉代表「1000人、2000人、5000人と逐次投入になっている」と苦言⇒木原防衛相「熊本地震とは条件が異なる」との認識示す
立憲民主党の泉健太代表が、5日の与野党党首会談で、能登半島地震の自衛隊の派遣について「1000人、2000人、5000人と逐次投入になっている」と苦言を呈した。一部野党議員からも「初動が遅い」などの批判の声があがっていた。これについて、木原稔防衛相は6日の会見で「今般の自衛隊の災害派遣について一部、逐次投入であるとか、初動が遅いといった指摘がある。私から少し詳しく説明をしたい」としたうえで次のように説明。
初日から約1,000人が現地で活動を実施、本日は、先ほど申し上げましたとおり、約5,400人の隊員が現地で活動しております。その上で能登半島という特性、そして半島の中でも特に先端部分、北部における被害状況が特に大きいことや、道路が寸断をされインフラ網が途絶えてしまっているという、今回の災害の特性を踏まえ、初期の段階では、空中機動力を重視した航空機を活用した、被害状況の把握に努めていたところでありました。また、消防隊員や警察官といった関係機関の人員輸送等を実施し、また、地上においては、自ら道路啓開を施設部隊等によってですね、実施しつつ、その後、自衛艦艇、特に昨日、多くの皆様方から注目いただいた「おおすみ」と、そしてLCACでの輸送等、そういった艦艇も活用した諸活動を実施してまいりました。こうした活動を実施しながら、自衛隊は活動可能な地域においては、捜索救助、被災者支援を全力で実施をいたしました。生活支援においても、被災者の皆様のニーズを把握するため、各避難所を隊員自ら回りまして、きめ細やかな対応を実施しているところであります。防衛省・自衛隊としては、陸海空各自衛隊が持ちうるアセットを効果的に活用し、最大、最速の対処を今後も実施してまいります。昨日までの具体的な内容について一部申し上げますと、給水車や炊事車ですね、給食支援ですか、そういったものを増加させ、より多くの被災者の方々に水と暖かい食事を提供するとともに、併せて、入浴支援を行うための準備を行っております。また、被災地での携帯電話等の通信環境の改善のため、通信事業者の輸送支援も行っております。さらに、輪島市において道路寸断により孤立した住民の方々の輸送を行うなど、孤立集落の解消に対しても貢献できているものと考えております。支援物資が避難所に着実に届いているとの声も届いており、これは避難所において、ニーズを把握する部隊が着々と、被災者が必要だと思っているものは何かというのを聞き取っていることの成果だというふうに考えております。加えて、プッシュ型支援による物資の輸送量も増加しておりまして、この活動を通じて、避難所における被災者の方々の御不便の解消につながればという思いで活動しているところであります。防衛省・自衛隊としては、引き続き、捜索救助活動、ここにまずは全力を尽くすとともに、併せて被災者の方々に寄り添った、よりきめ細やかな生活支援活動を推進するため、関係省庁や自治体と連携して推進して対応してまいります。
(出典 防衛省・自衛隊公式X)引用元 防衛大臣臨時記者会見
毎日新聞は「主に平野部が被災した熊本地震とは条件が異なるとの認識を示した」と報じた。
能登半島は日本海側最大の半島で、金沢市から半島先端までは陸路で約140キロに及ぶ。険しい海岸線も多く、山地がほとんどを占め、小さな集落が山あいに点在している。被害が激しい半島先端に向かうにつれて道路網が寸断されており、石川県によると6日午前6時現在で、半島中央の七尾市から北部に向かう道路は1本しか確保されていない。
木原氏は、半島では陸路が限られるため、「道路の復旧状況や現地での受け入れ態勢の段階などを見ながら人数を増やしていった」と説明。自衛隊では活動可能なエリアの拡大に応じて人員を増強する手法をとっており、主に平野部が被災した熊本地震とは条件が異なるとの認識を示した。
さらに、熊本に比べ、能登半島には規模の大きな自衛隊の拠点がないという事情もある。熊本市には南九州全体を管轄する陸上自衛隊第8師団の司令部があり、1万人超の隊員が常駐している一方で、能登半島には航空自衛隊のレーダーサイトしかない。防衛省幹部は「アクセスが非常に難しい場所で、通信の状況も悪く、状況把握が難しかった。そのなかで非常にスピーディーに部隊投入ができた」と語り、初動に問題はなかったと強調した。
また、今回初めて、被災者の要望聞き取りを任務とする臨時部隊を400人規模で結成した。「プッシュ型」支援ではくみ取れない物資や支援のニーズを迅速に反映させ、きめ細かな支援につなげるとしている。
一方で、東京新聞はこんな報道をしていた。
自衛隊派遣、なぜ小出し?熊本地震時の5分の1 対応できない救助要請たくさんあったのに…首相の説明はhttps://t.co/nEoE6fvOUX
— 東京新聞(TOKYO Web) (@tokyo_shimbun) January 5, 2024
普段は共に政権批判に励んでいるように感じる両紙だが、災害時の報道では差が出たようだ。毎日新聞はよくまともな記事を出してくれたと思う。
ネットの反応
自衛隊逐次投入の理由を私がXで解説したら、大臣がほぼ同じことを言っていた。地形と道路事情。嬉しいが、悲しい面もある。知識があっても状況は変わらん
RP自衛隊派遣、増員が容易でない背景 能登半島地震と熊本地震の差 | 毎日新聞 https://t.co/1k6G1ZkBBW— 石井孝明(Ishii Takaaki) (@ishiitakaaki) January 8, 2024
自衛隊が逐次投入とか遅いとか非難してる人たちがいますが、木原稔防衛大臣のこの説明ですべて言い尽くされてますね。この件は終了。/自衛隊派遣、増員が容易でない背景 能登半島地震と熊本地震の差 | 毎日新聞 https://t.co/cmNzdTpw34
— 佐々木俊尚 (@sasakitoshinao) January 7, 2024
自衛隊派遣、増員が容易でない背景 能登半島地震と熊本地震の差 | 毎日新聞
大臣の説明は分かり易い。しかし、先に説明をしておけば不要な批判が起こらなかったと思う。https://t.co/xMMW4kD3LM
— 塩村あやか💙💛🐾参議院議員(りっけん) (@shiomura) January 8, 2024