反対論者の為のシンガポールにおける「外国人労働者」受け入れ入門

外国人労働者の受け入れで賛否が激論されている日本ですが、少子高齢化・人口減少という問題に直面して待ったなしという状況にあります。この問題を放置しておいては、人口減少は労働力低下につながり、国力低下にもつながる恐れがあります。

実際、東京商工リサーチが12月10日に発表した調査では、深刻な人手不足を背景にした国内の企業倒産が今年は362件に上り、2013年の調査開始以降で過去最多を更新したとされています。全体の倒産件数はアベノミクスによって減少しつつありますが、これは大変な事態です。

こうした状況を受けて、安倍政権は外国人労働者受け入れを決断しましたが、反対意見が出ています。しかし、現状の労働人口減少を放置するわけには当然いきません。また対応策を実行しても、その効果が表れるまでには時間を要します。労働人口の減少は「人手不足」という声を聞けば明らかです。反対論者は何かしらの対案があるのでしょうか。諸外国の例などを参考にしているのでしょうか。

海外では外国人労働者を受け入れ、経済成長に成功した国があります。そこで成功例から導き出せる答えがあると思うのでシンガポールの実例を参考に外国人労働者の意義を見てみたいと思います。

シンガポールの労働者受け入れ

外国人を受け入れることで経済成長

積極的な移民政策で成功したシンガポール

シンガポール人口の約40%は外国籍

進歩的な移民政策を打ち出している点において、シンガポールは見習うべき素晴らしい例だろう。優秀な人材を確保することで、シンガポールは世界から投資を惹きつけることにも成功した。シンガポールに住む540万人のうち、シンガポール国民は60%しかいない。残りのうち、50万人は外国籍の永住者である。そして160万人は外国人就労者か留学生である。

月額1,800ドル以上稼いでいる者なら、就労許可・在留資格認定証明書(Employment Pass Eligibility Certificate、以下EPEC)を申請できる。申請の手続きはオンライン上で済ますことが可能で、大学の成績証明書などの必要書類や証明書のコピーもアップロードできるようになっている。そして、在留許可が下りるかどうかは1週間で通知されるのだ。

EPECが発行されると、仕事に就きながら1年間シンガポールに滞在できるソーシャル・ヴィジット・パス を受ける資格が与えられる。仕事を確保した状態で、外国人居住者は新しい雇用主のサポートを受けながら、労働ビザの申請を行い、取得することが出来る。実に大勢の人がその取得に成功しているのだ。

また、推薦してくれた雇用主のもとで働いている限り、労働ビザを持つ人はシンガポールに住むことが可能であり、また月に2,500ドル以上稼ぐことができれば、シンガポールに家族や扶養家族を連れてくることも可能だ。

 

引用元 積極的な移民政策で成功したシンガポール

シンガポールの移民政策の詳細⇒『シンガポールの移民政策

シンガポールは日本を1人あたりGDPで上回り、アジアの中で最も豊かになったといえる国の1つです。なぜシンガポールという小さな都市国家がここまで豊かになったかを考えると、その理由には外国人労働者の受け入れが浮かび上がります。

シンガポールの外国人就労者を受け入れるに際し、条件を付しています。その条件は学歴に加え、シンガポールに不足している技術を持っているか、シンガポールの将来にとって必要な技術を有しているかといった条件です。

また外国人と一言で言っても、永住権を持たない外国人就労者か留学生の人数が多いことも特徴です。

シンガポールの外国人労働者受入れ制度の概要と特徴

 シンガポールでは、であるために慢性的に抱えている労働力不足の問題を、質、量の両面から補うため、シンガポール経済に貢献し、国際競争力向上に資するような優秀な人材を積極的に受け入れている一方、シンガポール人が忌避するいわゆる3K分野に従事する非熟練労働者については必要最低限となるよう数量調整を行いつつ受け入れている。具体的には、当該外国人労働者がシンガポールで得る報酬及び当該外国人労働者の有する学歴・資格によりその能力を判断し、外国人労働者を大きく3つのカテゴリーに分け(能力水準の高い順からP、Q、R )管理を行っている。

引用元 各国の外国人労働者受入れ制度の比較

どこの国でも同じ現象が発生しますが、自国民が嫌がる仕事を外国人労働者が”やってくれる”ことに大きな意義があるでしょう。誰かがやらなければいけないことですが、やってくれる人がいない。これは日本でも大きな問題です。

というのは、雇用のミスマッチが起きているからです。例えば、兵庫労働局の畑中啓良局長は、「ものづくりや介護の有効求人倍率が高い水準を維持する一方、事務系は求職者数が求人数を大きく上回るなど雇用のミスマッチが続いている」とマスコミに答えています。

これは日本人の多くが事務系を希望し、製造業や介護を敬遠しているということです。ここに外国人労働者を入れることは日本経済の成長を促進し、それは新たな日本人の営業などの事務系の雇用を生みます。また、日本人が不足している業種なので、日本人の雇用は奪われません。外国人がいきなり営業職などできるはずもありません。

シンガポールの人口推移と労働力

2010 年 6 月末現在のシンガポール居住者の民族構成は、華人系が約 74%、マレー系が 13%、インド系が 9%、その他が 3%で、華人系とマレー系は過去 10 年間の比率をおおむね維持している(表3 参照)。しかし、少数派集団であったインド系は 1990 年比では 7.1%から9.2%に伸びている。これはインド、パキスタン、バングラデシュ、スリランカなど南アジア出身の永住者が増えていることが主因である。特にシンガポールが国を挙げて推進している I Т関連産業には、インドからの投資と併せて高度専門人材の流入が目立っている。そのため、インド系の代表言語であったタミル語以外のインド諸語話者も増えている。また近年はシンガポール人と外国人との国際結婚の増加により、「その他」に分類されている民族も 1.1%から 3.3%に徐々に増加している。

労働力は人口構成に重なり、外国人労働力が全体の 3 分の 1 を占めている。自国の労働力人口を補うためだけでなく、開発研究をはじめとする新しい産業創造を目的として、世界中からあらゆる分野において優れた人材を集め、優秀な頭脳の育成・集積を図りシンガポールのコスモポリタン化を促進した。

引用元 シンガポールの人口と労働力

シンガポールが行った事で注目したいことは、「海外の有能な人材を集める」⇒「その人材は自国の労働者を呼び寄せる」これにより海外の投資が集まります。上記ではIT分野とインドを例に挙げていますが、まさにこの流れでIT分野が発展していったのです。

自国が世界的に遅れている分野があれば海外から人材と労働者を集めて世界的基準にまで発展させるというのは非常に合理的です。

また、シンガポールは外国人労働者を受け入れて経済成長を実現した国として認識されていますが、上記グラフをみると永住権保持者より、圧倒的に一時滞在の外国人が多いのが実態です。

 

外国人労働者増加による治安悪化はない

シンガポールは世界平和度指数ランキングで20位

シンガポールに旅行・観光に行く際の、犯罪や安全についての指針となるランキングがあります。世界中の国の安全度を測る世界平和度指数ランキングでは、公表されている163の国の中で堂々の20位にランクインしており、他の海外の国に比べても安全に旅行できる国と言えます。

シンガポールの犯罪発生率は日本より低い!

実は、シンガポールの犯罪発生率は日本より低いのです。2011年のシンガポールの犯罪発生率は606件で、日本は1674件と、日本の3分の1に近い数値となっています。犯罪発生率とは、人口10万人中の犯罪の発生率の事を表しており、警察の検挙率など、様々な事項を考慮しなければならないため、この数値を単純に比較する事はできませんが、犯罪率がとても低いという事は明らかです。

引用元 シンガポールの治安は良い?悪い?

外国人就労者を受け入れることで高い経済成長を実現させたシンガポール。

シンガポールにとって必要な人材に限って受け入れたことが、シンガポールが成功例となった要因ということができるのではないでしょうか。

このように、シンガポールの成功例から見る外国人労働者の意義として、不足した労働者を補うこと。特に、自国民が避ける仕事を外国人(一時的な出稼ぎ)労働者がこなしてくれること。

そして、発展させたい分野を海外から人材を集めることにより、投資や労働者が集まり、新たな産業が生まれることにもつながっているということが挙げられます。

みなさま、外国人労働者受け入れの本質をご理解いただけたでしょうか。このようにシンガポールの例に安倍政権はならうのであって、メルケル政権がやったような「移民・難民」の大量受け入れを実施するのではないのです。

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