外国人労働者受け入れは、少子化対策の効果が出てくるまで必須

12月8日、外国人労働者を受け入れる基本枠組となる「改正入管法」が自民・公明両党と日本維新の会、無所属クラブの賛成多数で参院本会議にて可決しました。

来年4月1日施行される本法律で、政府はこの5年間で最大34万人の外国偉人労働者を受け入れる見込みであるとしています。
この34万人の根拠は、先月16日の衆院法務委員会理事懇談会で示されていました。5年後の平成35年度までに14業種で145万5千人の労働力が不足しますが、機械化促進による生産性向上や国内人材の確保で人手不足の解消を図ってもなお、最大約34万人の人手不足が生じると政府は見積もっています。
(参考:不足145万人、効率化でも…政府「最大34万人」根拠提示

「改正入管法」受け入れ14業種と特徴

受け入れ業種は、人手不足が深刻な以下の14業種に指定されました。

▽介護▽ビルクリーニング▽素形材産業▽産業機械製造▽電気・電子機器関連産業▽建設業▽造船・舶用工業▽自動車整備業▽航空業▽宿泊業▽農業▽漁業▽飲食料▽外食
(参考:入管法改正 受け入れ対象は人手不足深刻14分野

そして、今回の改正入管法の大きな柱は、政府が指定した業種で一定の能力が認められる外国人労働者に対し、新たな在留資格「特定技能1号」「特定技能2号」を付与することです。

〇特定技能1号
条件:生活に支障のない会話ができる、一定の知識や技能を持っている
在留期限:最長5年
家族の帯同:不可

〇特定技能2号
条件:生活に支障のない会話ができる、熟練した技能を持っている
在留期限:更新可能
家族の帯同:可
(出典:外国人労働者受け入れについて

少子化対策の現状
政府は長年にわたって少子化対策に取り組んできました。

我が国の少子化対策は、1990年にその前年1989年の合計特殊出生率が1.57になったことを受けて取り組みが開始されました。2017年の合計特殊出生率は1.43です。このことから少子化対策には限界があり、また施策が効果を発揮するまでには大きなタイムラグがあると考えられます。少子化対策を講じて効果が発揮されるには時間がかかりますが、効果が発揮されるには時間を要するため、労働人口を確保するためにも、一時的に外国人を受け入れる必要があるのです。

こうした安倍政権の姿勢に対し、「日本人をまず雇用すれば良い。少子化対策をまずやるべきだ」との反対意見がありますが、労働人口が減少している状況下で、少子化対策の効果が表れる十数年先のことを考えるとそうも言ってられないのが現実です。十数年先まで待っていたら日本の国力は落ちてしまいます。

欧州諸国も少子化問題に直面し、労働人口を維持するために一時的に外国人労働者を受け入れながら、少子化対策を講じ、人口回復に努めました。今日の欧州諸国は順調に人口を増やしています。

フランス

フランスは合計特殊出生率の推移を見ると少子化対策が功を奏している国と考えることができます。1994年には1.73を記録しましたが、その後2010年には2.03まで回復しました。

フランスは長年にわたって、少子化対策を実施してきた国で「産めば産むほど有利なシステム」を構築しています。家族手当や家族補足手当、年金加算などがその例として挙げられます。また出産費用から出産後のリハビリまで無償で提供されていることも、子供を産みやすい環境の一因になっていると考えられます。

 主な国の合計特殊出生率の動き(欧米)のグラフ

諸外国(フランス、スウェーデン、アメリカ、イギリス、ドイツ、イタリア)の合計特殊出生率の推移をみると、1960年代までは、全ての国で2.0以上の水準であった。その後、1970(昭和45)年から1980(昭和55)年頃にかけて、全体として低下傾向となったが、その背景には、子供の養育コストの増大、結婚・出産に対する価値観の変化、避妊の普及等があったと指摘されている。1990(平成2)年頃からは、合計特殊出生率が回復する国もみられるようになってきている。

特に、フランスやスウェーデンでは、出生率が1.5~1.6台まで低下した後、回復傾向となり、直近ではフランスが1.92(2016(平成28)年)、スウェーデンが1.85(2016年)となっている。

内閣府 世界各国の出生率

フランスの少子化対策はうまくいっているように見えます。しかし、合計特殊出生率が回復するには年月を要したことも伺えます。少子化対策が効果を発揮するまで、フランスはもう一つ労働人口減少対策として施策を実施しています。それは「一時的な外国人労働者」の受け入れです。

入国の理由が何であれ、一時的滞在の入国フローは1999年から2003年にかけて順調に伸びている。特に学生については、積極的な受入れ政策をとってきたこともあり、2003年度は1999年度より倍増した。

労働政策研究報告書NO.59

労働人口の減少という問題に対して、短期的には一時的外国人労働者を受け入れることで対応し、長期的には少子化対策で対応しているといえます。

ドイツ

ドイツもフランスと同様に少子化問題に直面した国です。ドイツでも親手当、養育手当、児童手当のほかに、子育てに対する様々な支援策を行っています。

しかし、その一方で労働人口の確保も必須です。そこでドイツでは、主に東欧諸国との間に二国間協定を設けて、各国ごとに数量規制を行い、業種を限定することで、一時的な外国人労働者の入国を認めています。造園業及び農業は受け入れ期間は9か月と設定されています。

b 非熟練分野
連邦雇用庁(BA)は、非熟練分野(職業資格を得るの に2年 以 上 の 専 門 的 職 業 訓 練(qualifizierteBerufsasbildung)を必要としない)の以下の就労へ同意することができる(「就労令(BeschV)」第2章第17条)。

(a)季節労働者(Saisonbeschäftigungen)1日平均6時間以上、1週間当たり最低30時間以上で、暦年中に合計6か月以内の季節労働を行う外国人労働者が対象となる。ただし当該外国人労働者が、連邦雇用庁(BA)と出身国の公共職業サービス機関との間の取り決め(Absprache)に基づき、連邦雇用庁(BA)により就労を仲介された場合が対象となる。

(略)

現在、この取り決めは、ブルガリア、クロアチア、ポーランド、スロバキア、スロベニア、ハンガリー、ルーマニア及びチェコとの間に存在する。

(b)興行師のアシスタント(Schaustellergehilfen)暦年中に合計9か月以内、興行師のアシスタントとして就労する外国人労働者。連邦雇用庁(BA)と出身国の 公 共 職 業 サ ー ビ ス 機 関 と の 間 の 取 り 決 め(Absprache)に基づき、連邦雇用庁(BA)により就労を仲介された場合が対象となる。現在、この取り決めは、ブルガリア、クロアチア、ポーランド、スロバキア、スロベニア、ハンガリー、ルーマニア及びチェコとの間に存在する(「就労令(BeschV)」第19条)。

世界の厚生労働

ドイツは二国間協定によって、一時的な外国人労働者を受け入れています。上記に掲げたのは、非熟練分野の一例ですが、非熟練分野では就業期間があらかじめ設けられています。

少子化対策が効果を発揮するまでの労働人口の減少を外国人労働者を一時的に受け入れることで対応しようとしています。

EUの合計特殊出生率、仏がトップ 独は移民流入で出生数増加

欧州連合(EU)統計局(Eurostat、ユーロスタット)は28日、EUおよび加盟各国の2016年の合計特殊出生率を発表した。国別の1位はフランスの1.92、2位はスウェーデンの1.85だったが、人口維持に必要な目安である人口置換水準の2.1を下回った。

(略)

AFP EUの合計特殊出生率、仏がトップ 独は移民流入で出生数増加

フランスもドイツの少子化問題に直面し、労働人口の確保が急務でした。しかし、少子化対策は対策を実施してからすぐに効果を発揮するものではありません。労働人口の減少に苦しむ日本も少子化対策のみで、労働人口の減少に対処するのではなく、フランスやドイツのように短期的には一時的な外国人労働者を受け入れ、長期的には少子化対策の充実といった柔軟な対応が求められるのではないでしょうか。

何故、安倍総理がこのような苦渋の決断をしたのか。その背景にはこうした事情があるのです。外国人労働者受け入れは、調べれば調べるほど、安倍政権が保守政権でありながらも「日本の未来を守るために」決断し、考え抜かれた窮余の一策だということがわかります。

 

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