風車開発で「チュウヒ」が絶滅の危機に。そして、世界遺産の知床岬に太陽光パネル群。環境破壊と生態系破壊が問題視される。これで再エネの理解が深まるのか?
猛禽類の「チュウヒ」が絶滅の危機にひんしているそうだ。
北海道では再生可能エネルギーの開発が活発に行われていて、今回は風力発電が影響しているとのこと。
湿地・草原系の生態系の頂点に立つ猛禽(もうきん)類「チュウヒ」が絶滅の危機にひんしている。自然環境の変化に加え、開発行為が営巣地周辺に及んでいる影響が大きい。脱炭素社会実現の旗頭とされる再生可能エネルギー関連の事業が、国内最大のチュウヒの繁殖エリアである北海道北部に集中し、リスクを高めているとの指摘も上がる。
中略
日本野鳥の会が今年3月に公表した調査によると、風力発電事業が急増している稚内市や豊富町、幌延町などの道北地方では、林立する風車を避けるように渡り鳥が移動していることが分かった。チュウヒは風車の羽根よりも低い高さで飛ぶことから衝突事故などの危険性は低いとみられるが、風車の数が増えると繁殖エリアに接近する可能性も高まるだけに「営巣地への影響が懸念される」と浦氏は言う。
道が公表している宗谷管内(1市6町1村)の風力発電施設は3月5日時点で206基。建設工事中や環境影響評価中の計画分を加えると、将来的には最大777基まで増える可能性があり、巣を放棄するリスクの高まりは避けられない。
日本野鳥の会は設立90年を迎えた今年、5カ年計画のチュウヒ保護プロジェクトを始めた。チュウヒと原野の両方を保全する活動を進め、国や北海道による指定鳥獣保護区認定を求めるとともに、湿地や草地に生息する希少鳥類と合わせた生物多様性の保護が目標だ。
その最大の繁殖地である道北エリアは風発事業が加速している。風車の大型化も見込まれる中で、動植物に対する安全性などの対応は十分といえない状況が続いている。
また、最近では知床岬に太陽光パネル群が設置されることが話題となった。2005年7月17日に知床は世界自然遺産に登録された。その「核心部」といわれる知床岬に太陽光パネル群が設置されることとなり、工事は5月中に始まるそうだ。
世界自然遺産・知床の「核心部」といわれる知床岬に太陽光パネル群が設置される。新設される携帯電話の基地局の電源設備だ。背景には小型船の沈没事故があるが、すでに携帯電話は旅客船の安全対策から除外されており、「違和感」を口にする人もいる。工事は5月に始まる。
知床岬は海岸線の内陸部が草原の台地で、背後の森林東側の中腹に知床岬灯台、西側に漁港の「文吉湾」がある。
関係者によると、計画では灯台の壁面にアンテナ、文吉湾の高台に無線設備、この間の山際に太陽光パネル群を置く。アンテナも、太陽光パネルなどを隠すフェンスの色や高さも景観に配慮し、ケーブルや電線は土中に敷設する。太陽光パネル群の敷地は約80メートル四方と、サッカーコート並みだ。
知床世界遺産センターによると「登録に当たっては、流氷が育む豊かな海洋生態系と原始性の高い陸息生態系の相互関係に特徴があること、シマフクロウ、シレトコスミレ等の世界的な希少種やサケ科魚類、海棲哺乳類等の重要な生息地を有すること等が評価されました。」とのこと(参考)。自然と生態系が評価された世界遺産だが、その存在価値が奪われようとしている。
環境を守るため推進されている再生可能エネルギー事業だが、ふたを開けてみれば環境破壊に加え、生態系の破壊が問題視される始末だ。再生可能エネルギーは今後絶対に必要な電源で、推進させなければならない事業だということは理解しているが、これでは理解が深まるわけがない。逆に反感を買うことばかりしているようにも見える。
他にも阿蘇山や釧路湿原のメガソーラーなども大顰蹙を買っているが、なぜもっとうまくやれないのだろうか。