【北方領土】全てのロシア住民に今すぐ出て行けと言えますか?

よく4島一括返還という言葉が出ますが、これはソ連時代のフレーズです。ここはよーくマスコミの皆さんも政治家も勉強してほしいと思うんです。91年、平成3年10月までは日本は4島一括返還なんです。ところが91年10月にソ連が崩壊してロシア共和国が誕生しました。エリツィン大統領は「北方領土は未解決の地域だ。法と正義に基づいて話し合いで解決する」こう大きく判断してくれた。それによって日本国政府も4島一括(返還)の旗は降ろして、4島の帰属の問題を解決して、平和条約。4島の帰属が認められれば島の返還時期、対応は柔軟に致します。わかりやすく言えば、最初に1つでも2つでもいいですよ、という流れなんです。
(引用: BS朝日11月18日放送「日曜スクープ」鈴木宗男氏が生出演~北方領土問題と日ロ関係の今後

新党大地代表・鈴木宗男氏が語っている通り、ソビエト崩壊&ロシア誕生以来、日本はこの約20年間は4島一括返還を求めていない。本紙が複数回にわたって言及している通り、今、日本とロシアは「2島返還+α」で解決への道へと進んでいる。そんな中、返還が実現されたとき、現在島に住んでいるロシア人島民はどのような処遇になるのだろうか。

当然のことながら、北方領土である歯舞、色丹、国後、択捉に現在住んでいる住民は全員ロシア人だ。交渉の議題の1つに当然現在の島民の処遇が挙がることに疑いを挟む余地はない。その交渉で現島民に対して「今すぐ全員出ていけ」と主張した場合、交渉が成り立たないことは目に見えている。

返還される歯舞、色丹の両島の帰属がロシアから日本に変わるという認識を現在の島民の方々にもってもらい、そして日本人と一緒になって豊かな生活を目指すということが重要だ。

4島返還論を唱えている人からは、こういった返還に向けた課題への解決策の提唱がない。常に4島返還でなくてはならないと述べ、具体性、実現性に欠く主張をしている。

4島返還論を唱える人に聞きたい。全員今すぐに出て行けと?こういった人たちが唱える4島返還を訴えては、1島すら返ってこない。

●4島返還論者の代表格と彼らの言動

・袴田茂樹(新潟県立大学教授)

袴田氏の考えでは、プーチン大統領には「北方領土問題を解決する意思はない」ということである。それどころか、「2島返還先行」や「2島返還+α」は「ロシア側の思惑やプーチン大統領の考えをリアルに把握していない。単なる日本側の期待や思い込み、幻想をベースにした一方的な解釈と言っていい。」とまで言い放っている。

その反面、袴田氏は、「プーチン大統領は56年宣言を認めると言っています」と語っている。56年宣言(日ソ共同宣言)を認めるということは歯舞・色丹については返還されるということになるのではないだろうか?
袴田氏の言動は、完全に矛盾している。

さらに袴田氏は日刊ゲンダイの取材で「国後、択捉は交渉の対象外」「『56年宣言』には引き渡し後の主権がどちらの国のものとなるのか、どういう条件で引き渡すかについても書いていない」「北方領土交渉は何ら「進展」していない。それなのに、なぜ、すぐにでも2島返還が実現するかのような論調があるのでしょうか」とも語っている。

つまり、袴田氏はロシアとプーチン大統領を一切信用していないということだろう。袴田氏の考えではロシアは北方領土をちらつかせ日本と平和条約だけ締結させるつもりということになる。だが、それでは日本がロシアと戦争を行い、勝利でもしない限り、4島も永遠に帰ってくるはずがないことになる。しかし、袴田氏は交渉で4島を取り返せと言う。これもまた矛盾である。一切信用できない相手から2島を取り返せないという人物が、なぜ4島をとり返せると主張できるのか?論理破綻も甚だしい。

そもそも、4島返還だけを訴えていてはロシアはテーブルにすらつかないことを袴田氏は理解していない。

・木村汎(北海道大学名誉教授)

ロシアは国後・択捉を餌に「日本から経済共同開発に半永久的に協力させられること」というのが木村氏の考えのようである。

鈴木宗男氏も月刊日本で『「モスクワは……東京から半永久的に対露支援を引き出そうと狙っている」「安倍首相がいま博打に出て全ての有り金をかける必要は少しもない」と主張し、また11月30日の同紙でも「早とちりしてロシアに接近すると日本は百年の計を誤る」「日米同盟の信頼を失うな」と主張しています。』と木村氏を批評している。木村氏は同様のことを産経新聞でも語っている。

ロシアは日本を金づるとしか見ていないといわんばかりであるが、こうした他国への見方をあからさまに外交をして上手くいくはずがない。安倍政権の日ロ交渉の妨害でしかない。また、「日米同盟の信頼を失うな」という点であるが、確かにアメリカは4島返還を支持してきたかもしれないが、日本も2島だけで終わらせるつもりはないことは安倍総理や政府の発表から見ても理解できるはずである。

だいたい、現在のトランプ大統領が就任して以降、ロシアに対する態度が和らぎつつあることを無視している。そして、このトランプ大統領及び安倍総理という奇跡的な組み合わせが、今後ありうるかどうかすらわからないのである。このチャンスを逃すべきではないのだ。しかし、木村氏はやるべきではないという。

木村氏の発言は袴田氏と視点は異なるが、共通して北方領土問題を解決させない方向に導いているとしか考えられない。

・枝野幸男(立憲民主党代表)

「4島が歴史的にも法的にも日本固有の領土であるという主張は、どういう取引がもちかけられても変えてはいけない基本だ。不当に占拠していても時間が経てば取引に応じて半分くらいよこすんだ、なんていう前例をつくってしまったらとんでもないことになる。」と朝日新聞が報じている。

枝野氏は「歴史的にも法的にも」というが、ヤルタ協定により千島列島は日本の敗戦によりソ連のいわゆる戦利品とされた。サンフランシスコ講和条約で、日本は南樺太と千島列島を放棄していて、平和条約国会で、政府はヤルタ協定のいう千島列島の範囲に、国後島・択捉島が含まれると説明している。(因みに千島列島とは北千島 – 占守島・阿頼度島・幌筵島・志林規島、中部千島 – 磨勘留島から得撫島まで、南千島 – 択捉島、国後島)

後にサンフランシスコ条約批准にたいする解釈宣言にて「南樺太及びこれに近接する島々、千島列島、色丹島、歯舞群島及びその他の領土、権利、権益をソビエト連邦の利益のためにサンフランシスコ講和条約を曲解し、これらの権利、権限及び権益をソビエト連邦に引き渡すことをこの条約は含んでいない」としているが、ソ連はサンフランシスコ講和条約に調印していない。

サンフランシスコ講和条約にソ連が調印していれば枝野氏の主張は法的に通るが、調印していないのであればそうはいかないのではないだろうか。むしろその後、日ソ共同宣言で平和条約締結後に歯舞群島・色丹島をソ連が日本に引き渡すと記載された条文を盛り込んだことにより、ロシアからすれば2島返還だけしか約束していないということになる。

そうまでいうなら民主党政権時に北方領土に対して4島返還に向けて積極的に働きかけてきたかと思いきや、鳩山政権時に国民に何も知らせないまま、「北海道総合振興局及び振興局の設置に関する条例」「財務省組織規則の一部を改正する省令」を改正し、南千島から先の中部千島、北千島の島々を帳簿から削除してしまったという。[参考記事;民主党・鳩山政権の許しがたい北方領土売国行為]これによりロシアの北方領土及び千島列島のインフラ整備が進んでしまった。

政権時には何もしないどころか売国行為をしていながら、関係のない野党の立場になるや無責任な発言をするなど恥を知るべきである。

・志位和夫(日本共産党委員長)

「この問題はシンプルなんです。日ロ間で平和的に定められた最終の国境線はどこか。榎本武揚(たけあき)がサンクトペテルブルクに乗り込んで締結した1875年の『樺太・千島交換条約』です。この条約で、樺太全体はロシア領になり、得撫(ウルップ)から占守(シュムシュ)までの北千島を含む千島列島全体が日本領になりました。つまり、『北方四島』だけでなく、北千島まですべて日本の領土だというのが私たちの主張です」。

引用元 共産党・志位委員長 「北方四島」という概念を捨てよ

つまり志位氏の中では第二次世界大戦はなかったことということだろうか。ヤルタ協定もサンフランシスコ講和条約も日ソ共同宣言も存在しなかったことであるのか。

志位氏は「そこで平和条約を結ばないことが大事です。平和条約を結んだら、国境線が確定してしまいますから。平和条約は、領土問題が最終的に解決に至った段階で締結すべきです」とも発言しているが、それは日ソ共同宣言を無視した主張であり、そんなことロシアがのむわけがない。

北千島まで主張しだしたら日本は世界の笑いものになり、そんな事をしては何かとごねてくる隣国と同じような目で見られることになる。


以上の人物の主張は身勝手な一方的な主張で、国民受けしやすい絵空事でしかない。

北海道で暮らす元島民の考えも、現在北方領土で暮らすロシア人の事も考えていない主張である。

外交が一方的な主張でまかり通るのならばどの国も苦労しない。

彼等の主張こそまさに4島か0(ゼロ)島かという博打のような考えで、おそらく彼らの考えでは1島も返らず、それどころかロシアは中国と手を組みより一層日本の脅威となるだろう。安倍政権が進める2島+αにより、日ロ関係の安定化と北方領土返還を成し遂げ、北方を安定した上で、南西の中国と相対するのが現実的な戦略論だろう。袴田氏、木村氏、枝野氏、志位氏、皆が安倍総理のような戦略論が全くないのだ。

そして、彼らは無責任な発言をして、常に最前線で体を張っている者を非難の対象に仕立て上げ、自分は高みの見物でいる。これほど卑怯なことはない。

領土問題を解決するならば両国が友好的な関係になり、両国が互いに相手を尊重し、双方の事情を察することである。そして、現状の北方領土問題が解決するには、日本とロシアの北方領土における共存共栄が解決の糸口になるのではないだろうか。

 

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