日印関係が史上最も良好になった日

昨年10月に安倍総理が進める「地球儀を俯瞰する外交」「自由で開かれたインド太平洋戦略」の一つの完成をみることができた。その相手国はインドだ。安倍総理がインドのモディ首相をどのように歓待したのかをみれば明白だ。

●昨年10月に安倍総理が、初めて外国首脳を別荘に招いた。

安倍晋三首相は28日、来日しているインドのモディ首相を山梨県鳴沢村の自身の別荘に招き、夕食をともにしながら会談した。これに先立ち、山中湖村のホテルで昼食会を開き、インド太平洋地域での連携について意見を交わした。29日も首相官邸での会談を予定しており、日印の防衛・経済両面での連携強化を申し合わせる。

別荘では通訳のみを交えた1対1の夕食会を開き、1時間10分にわたり幅広く意見交換した。外務省によると、安倍首相が海外の首脳を別荘に招くのは初めて。17年9月には安倍首相がモディ氏の生まれ故郷であるインド西部のグジャラート州で歓待を受けており、今回は安倍首相の地元の山口県を訪れる案なども浮上した。最終的には安倍首相が複数の候補地の中から別荘を選んだ。

引用元 日本経済新聞 日印首脳、インド太平洋で連携確認 別荘で歓待も

歴代首相が、外国の首脳を別荘に招いた例は過去にもある。当時首相であった中曽根氏が、レーガン大統領夫妻を自身の別荘に招いた例があり、両者は「ロン・ヤス」関係といわれるほどの蜜月ぶりを見せたのは有名である。

外国首脳を別荘でもてなすことには大きな意味がある。

安倍総理自身も訪問先の国で別荘で歓待されたことがある。その別荘は「マー・ア・ラゴ」。米国トランプ大統領の別荘である。安倍総理とトランプ大統領の関係性を見れば別荘で首脳会談を行うことがどれほど重要なことなのかよくわかる。

●インドは安倍政権の外交戦略「自由で開かれたインド太平洋戦略」の要石

今回の日印首脳会談により、日印は、中国の海洋進出を睨み、連携をより深めることになった。外務防衛閣僚会合を立ち上げることに合意し、また物品役務相互提供協定の正式な交渉開始が決まった。が、何よりも大きな意味は、「自由で開かれたインド太平洋戦略」が大きく前進したことである。

「自由で開かれたインド太平洋戦略」とは何か?それは、次の解説が端的に、しかも余すことなく説明を試みている。

2016年8月にケニアで開いたアフリカ開発会議(TICAD)で安倍晋三首相が打ち出した外交戦略。成長著しいアジアと潜在力の高いアフリカを重要地域と位置づけ、2つをインド洋と太平洋でつないだ地域全体の経済成長をめざす。自由貿易やインフラ投資を推進し、経済圏の拡大を進める。安全保障面での協力も狙いの一つ。法の支配に基づく海洋の自由を訴え、南シナ海で軍事拠点化を進める中国をけん制する。

出典 日経新聞2017年10月26日。

この日本が提唱したコンセプトに米などの海外諸国が追随し、日米豪印の4か国が中核となっている。

外務省でも2017年11月12日付「日米豪印のインド太平洋に関する協議」にて「フィリピンのマニラにおいて,我が国,オーストラリア,インド及び米国の外交当局は,インド太平洋地域における法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の確保に向けた取組につき,議論を行いました。」と発表している。この4か国の高官の議論こそが「自由で開かれたインド太平洋戦略」の具体化の一歩であったのである。

インドといえば人口が中国に次ぐ世界第二位で、経済発展が著しい国であり、インド洋の中心に位置し、まさにインド洋の要の国といえよう。また、中国に対して、インド洋において楔が打てる国はインドが最も適切な国である。

10月に実施された首脳会談では両国首脳はインド太平洋における開発協力を進めることに合意し、質の高いインフラ及び日印両国の能力構築を通じた連結性を強化することによって、アフリカを含むインド太平洋地域の経済成長、開発を通じた平和、繁栄を促進することに協力するとした。


日本の「質の高いインフラ輸出拡大パートナーシップイニシアチブ」等とインドの「アクト・イースト政策」等を連携させることで開発、経済成長の促進を図る。下記には限らないが個別協力の例としてあげられる。

①LNG関連インフラ整備等のスリランカでの協力

②ラムガール・バリヤルハット間の道路の4車線化及び橋梁の改修並びにジャムナ川に敷設されるジャムナ鉄道専用橋建設及び車両供与による連結性の強化を目的とするバングラデシュでの協力

また開発、経済成長には人材の活用も非常に重要であるため、アフリカを含むインド太平洋地域の人々の潜在的開発能力を実現することが重要との共通認識を確認した。

インド国内においては、インドが高速鉄道を導入するため、日本、インドはムンバイ・アーメダバード間高速鉄道建設において協力関係を構築している。高速鉄道以外にも、ジャワハルラール・ネルーポートターミナルからダドリ間の1522kmに渡る鉄道建設に対しては、国際協力機構の資金を提供している。

また今回の首脳会談の機会で日印のインド太平洋地域での締結された覚書等の総数は26本にも及ぶ。この覚書は官民学の幅広い分野に及ぶものであった。(参考 インド太平洋(アフリカを含む)における日印開発協力

まさに、日本とインドが協力して、中国の一路一帯に対抗する一大経済圏をインド太平洋地域に建設しようという構想を実務的に進めていくことが決まったのである。これにより、インドとの協力関係、そしてインドと協力してアフリカを含むインド太平洋地域での開発、経済協力によって、安倍総理が進める「自由で開かれたインド太平洋戦略」は確実に前進したのである。

●史上初の首脳会談ー日米印首脳会談を開催

昨年、ブエノスアイレスで開かれたG20サミットの機会を利用して、初の日米印首脳会談が開催された。この3カ国は基本的価値観、そして戦略的利益を共有する国であり、この3カ国首脳会談が実施された意義は大きい。

日本とインドは長年にわたり中国との領土問題を抱えており、トランプ大統領は、貿易問題で中国政府に圧力をかける一方で、事実上、南シナ海(South China Sea)全域の領有権を主張している同国政府への懸念をたびたび表明している。

引用 AFP 初の日米印首脳会談、中国を念頭に結束示す

安倍総理は、「自由で開かれたインド太平洋戦略」を外交方針の1つにしている。インド洋と太平洋の2つの大国と3カ国首脳会談を実施することは、安倍総理が進める外交方針が着実に進んでいることを示すものだ。

この初の日米印首脳会談が実現した背景には、安倍総理が米国トランプ大統領と友好な関係を築いていること、そしてインドのモディ首相との間で日印関係を史上もっとも良好にしたこと、この2点があったことは容易に想像がつく。そして、その友好関係の基盤には、単なる個人的な友好関係のみならず、安倍政権が進めてきた実務的な協調関係も忘れてはならない。


外務防衛閣僚会合はどこの国とでも開催しているわけではない。普遍的な基本的価値観を共有する国と行っているのが実情。安倍総理とインドのモディ首相とは毎年相互訪問を実施しており、今回の首脳会談は12回目となった。
安倍総理が初めて、別荘にモディ首相を招いたことは、首脳間の相互の信頼が、日本とインドの関係に深化をもたらしたことの象徴的な出来事といえる。そして、これによりインド太平洋戦略は、また一歩完成へと着実に近づいたのである。

参考:安倍総理とモディ首相との12回の首脳会談歴

参照 外務省

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