経済&安全保障で安倍総理が深める日英関係

安倍総理がイギリスを訪問し、メイ首相との首脳会談を行った。日英首脳は経済・安全保障の分野で連携を強化していくことで一致した。
これにより、日英は経済と安全保障での結びつきを強め、まさに日英同盟復活が期待される状況になっているのである。

●ハント外務大臣が日本語で安倍総理の英国訪問に期待を表明

まず触れなければならないのが、今回の安倍総理の英国訪問に対する並々ならぬ英国側の期待感である。
なんと、英国のハント外務大臣が日本語でメッセージを発信したのである。
英国の外務大臣が、相手国の言語で、相手国の国家指導者の訪問を歓迎するのは前代未聞のことである。

しかも、ハント外務大臣は「英国を代表して安倍首相の訪問を歓迎いたします。日英は基本的な価値観を共有する、民主的で革新的な国です。共に国際的なルールに基づき、自由貿易と世界の安全保障を擁護しています」とまで言い切っているのである。これは、日英が中国という自由貿易と安全保障の脅威に共に対応するという決意表明と言っても過言ではない。なお、ハント外務大臣は日本在住経験もある。

●経済ー英国のTPP参加を歓迎

安倍総理は、EU離脱に舵を切った英国を、新たな参加国としてTPPに迎えようとしている。EUという巨大な経済共同体から離脱する英国では、離脱賛成派反対派の双方にとって市場を失うことが懸念材料になっている。

EU離脱が迫る中で、EUという自由貿易圏を失うイギリスはEUに代わる自由貿易圏を模索してきた。そこでイギリスが注目したのがTPPであり、TPPを主導してきた日本の利害が一致した。

英国ではメイ首相以下、関係閣僚やその他英政府高官からもTPP参加への関心が度々表明され、これに対して日本では、英国のTPP参加を基本的に歓迎する声が多く聞かれるが、楽観視もしていられない。

確かに英国のアジア関与は日本にとっても歓迎すべきことで今後の日英の関係強化にも資するべきところではあるが、「EU離脱の形態自体が日本に大きな影響を及ぼす」という指摘もある。英国のEU離脱に対しては安倍総理も「合意なき離脱は、ぜひ回避してほしい。世界もそのことを強く期待している」と念を押している。

その上で、EU離脱後の日英の経済関係を強化すべく、新たな経済的パートナーシップの構築を図ると安倍総理は昨年の日英首脳会談でも述べた。具体的には2月に発効する日EU経済連携協定を踏まえ、日英の貿易に関する協定を検討することとした。

さて、日英の経済がTPPやその他の防衛機協定で一体化することは、どのくらいのインパクトがあるのだろうか。
英国のGDPは2.62兆ドル、日本のそれは4.87兆ドルである。すなわち、7.5兆ドル(8135兆円)もの経済圏が出現するのである。
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●安全保障ー自由で開かれたインド太平洋戦略の実現と海洋安全保障

経済的な結びつきを強めようとする両国だが、安全保障の面においてもその関係はより緊密なものになろうとしている。

2017年には「安全保障協力に関する日英共同宣言」が表明されている。また外務防衛閣僚会合も実施されていることから安全保障の強化を図っていることがわかる。また安倍総理が提唱する「自由で開かれたインド太平洋戦略」が外務防衛閣僚会合の議題に挙がり、日本側からは英国の関与を歓迎。4大臣はこの戦略の実現に向け協力を具体化していくことで一致した。

1月10日、英国訪問中の安倍総理は、約1時間メイ首相主催の昼食会に出席し、日英首脳会談を行い意見を交わし、安全保障分野では、インド太平洋地域や欧州で自衛隊と英軍の共同演習を増やすことを申し合わせたほか、北朝鮮のいわゆる「瀬取り」対策として、海軍艦艇「モントローズ」を早期に日本に派遣し、警戒監視活動にあたることが決まった。しかも、6日はウィリアムソン国防相が、英国がアジアに新たな軍事基地の構築を検討していることを明らかにした。これは、英国がアジア太平洋国家の一員として、安全保障の一翼を日米と共に担うという意志である。

また首脳会談では、戦略的パートナーである両国が共有する利益を保護し、国際システムを維持するため、安全保障パートナーシップを引き続き拡大、深化させることに合意、その取り組みの一環として、2019年春に東京で第4回日英外務防衛閣僚会合を開催することを決定した。

そして、自由で開かれたインド太平洋を維持・促進するため、海洋安全保障の強化・取り決めの作成する意思を有してることを確認し、第三国の能力構築の強化等のイニシアティブを通じ、第三国との海洋安全保障及び安全に関する協力を促進することとした。まさに、日英両国でインド太平洋戦略を構築していこうというのである。

しかも、より重要なのは、日英が「5Gを始めとする通信インフラ分野等における日英協力の強化に一層力強く取り組むことで一致した」ことである。これはファーウェイ製の5G基地局が情報セキュリティにおいて、各国で問題視され、排除が進む中、日英でそれに代替するシステムを構築しようというものである。これが成功すれば、日英の5Gシステムが世界を席巻することとなり、安全保障上も経済上も極めて重要かつ意義深いことが決まったのである。日英の対中共同戦略が今回始動したことを象徴する点だろう。

安倍総理は、首脳会談後の共同記者会見の場で、「日英同盟依頼の親密な関係を構築している」と現在の日英関係について表現した。

参考;外務省 メイ英国首相主催昼食会及び日英首脳会談 ,産経新聞 安倍首相「日英同盟以来の親密な関係を構築」 日英首脳会談

2018年10月2日、日英初の共同軍事演習の記者会見にて、固い握手を交わす日英の将軍。

このことからも英国との連携が強固になりつつあることが実感でき、日米のほかにも日英とも強力なパートナーシップを結ぶことで、日英、日米、米英と隔てるのでなく、今後日米英の三か国での連携も夢ではない。日英同盟の復活すら目に見えてきた。

今の朝鮮半島情勢を考えれば、日米韓よりも日米英の方が安全保障上でもはるかに意味のあるものだ。実際、安倍総理は、拉致問題の早期解決に向けて、メイ首相の理解と協力を求め、メイ首相の支持を獲得している。英国が部隊を派遣し、拉致問題で連携してくれるのならば、これ以上に心強いことはない。


安倍総理が掲げる外交の特徴は「地球儀を俯瞰する外交」である。日英はかつて日英同盟を締結していた同盟国。長く緊密な歴史を有する両国が、安倍総理の外交によってより緊密な関係になろうとしている。まさにこれこそ、安倍政権の最大の外交成果の一つである。EU離脱によって欧州で孤立しつつあった英国と変わらぬ友好関係を維持し、TPPに参加させるなど経済的な結びつきを強めていき、アジア太平洋国家として変化させ、安全保障上でも関与させ、それを確立する。安倍政権は、英国の歴史的な位置づけすら変えてしまったのである。日本の国益に資する形で。

因みに両国の共通点として、共に皇室・王室と国体を有する国家である。国体を有する国家は国連192か国でも、日本と欧州の王室制を持つ20か国ほどしか存在しない。そういった意味でも共通の認識と歴史をもつ両国が今後手を取り合うことは「期待」という言葉しか思い浮かばない。

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