ご存知ですか?―年末臨時国会で成立した法案―

先の臨時国会で、政府が新規に提出した法案(閣法)は13本で、そのすべてが成立し、継続審議からは2本成立した。(参考:第197回国会(臨時会) 議案の一覧

だが、マスコミは改正入管法ばかりを偏向報道するばかりで、あとは改正漁業法、改正水道法について少しだけ報道しただけだった。だが、それ以外にも重要な法案は可決されていたのである。今回は、成立した15本の政府提出法案の中から、改正サイバーセキュリティ基本法と海洋再生可能エネルギー発電法についてご紹介する。

①改正サイバーセキュリティ基本法

サイバーセキュリティ基本法」は、日本のサイバーセキュリティ施策の基礎となる法律だ。2014年11月に成立し、2016年、2018年と改正された。

・改正の背景

オリンピック・パラリンピックという一大イベントと関連し、サイバー攻撃が増加する事態は避けられない。ロンドン大会では2億回、リオ大会では4000万件のサイバー攻撃があった。ロンドン大会では開会式の電力インフラに対するサイバー攻撃の情報もあった。
「サイバーセキュリティ 五輪」の画像検索結果
過去の2大会の例から見ても、そして、反日国家の存在や名を上げたいハッカー集団が多数あることを考えれば、東京オリンピック・パラリンピックでサイバー攻撃が行われないという事態はあり得ない。もし、ロンドン大会のような攻撃が行われ、しかも成功すれば、東京オリンピック・パラリンピックの成功は危うくなってしまう。

東京オリンピック・パラリンピックを控えて、それに関わる政府や自治体そして事業者(インフラ整備等)などがサイバー攻撃の標的となる可能性が高まる中、政府はサイバー攻撃の情報を官民分け隔てなく速やかに共有でき、迅速な対応ができる体制づくりを急ピッチで進めてきた。今回の法改正は、まさにその中核の一つなのだ。

・意義

オリンピックに向けたセキュリティ対策であることは当然だが、産学官の連絡機能強化のために3つの施策が打ち出された。

ⅰ.サイバーセキュリティ協議会の設置
ⅱ.サイバーセキュリティ戦略本部にセクター横断のコーディネーション機能の明文化
ⅲ.公布から一年以内に施行

省庁関連、産学関連、各セクターごとの複数の組織に分散してセキュリティ対策を行なっていた。これを統合できる枠組みとして、サイバーセキュリティ―協議会を設置し、官民協力体制を確立する。また協議会では、構成員に対して意見・協力を求めることが可能であり、構成員は正当な理由がない限りこれを拒絶することはできない。これらにより、たらい回しや縦割りの対応を防ぐことが主眼なのだ。

しかも、情報収集や連携が実効性をもつようにするため、サイバーセキュリティ戦略本部にインシデント(事案)が発生した場合に国内外の関係者と連絡調整を行なうことを明記した。これにより一元的な情報共有と対応が可能になった。

産学官のサイバー攻撃情報を一元管理できるしくみ・枠組みは、海外ではそれほど珍しくなく、現在のNISCを中心とする体制の強化により、国際レベルに至るということだ。これに反対票を最終的に投じた、野党(共産党、自由党、社民党他)は何を考えているのかさっぱり理解できない。

・今後の展望

改正サイバーセキュリティ基本法の成立によって、産官学の連携の強化が図られ、情報共有も進んでいけば、より実効性のある対策が可能になる。政府は、今後、この体制下での訓練や演習を繰り返し実施することにしている。これにより日本の官民のサイバーセキュリティ能力は向上していく見込みである。

今国会での成立を逃すと、オリンピックまでに予想されるサイバー攻撃への対応が不十分なものになる可能性があった中、まことに時宜にかなった法律であった。

野党やマスコミは、桜田五輪相の「PCを使わない」発言ばかりを追いかけていたが、いかにこれが愚かな行為であり、いかにして日本のサイバーセキュリティ能力を向上させるかに対しての見識や意識が欠落していたかがわかる。

②海洋再生可能エネルギー発電法


海洋再生可能エネルギーのなかでも、最も実用化が進み、期待されている海洋再生可能エネルギー発電(洋上風力発電)を、活性化させ商用レベルにまで至らせようというのが主眼の法案である。

・背景

四方を海に囲まれ、かつ国土の面積も狭い我が国では、場所を取り、騒音問題を抱える陸上風力発電の活用は難しい。しかも、民主党政権の暴走によって、太陽光発電も非経済的であり、環境を破壊しただけに終わった。このような中、海洋再生可能エネルギー発電は非常に魅力的になっている。

海洋再生可能エネルギーのなかで、最も実用化が進んでいるのが、洋上風力発電です。陸と比べて海面上では安定して強い風が吹きます。浅瀬の海域が多い、欧州を中心に世界で年間の発電設備容量で9GWの洋上風力発電が導入(2014 年末で)されており、2025年には現在の導入量の約8倍の74GWに増加すると予想されています。

現在の世界最大の洋上ウィンドファームは英国のLondon Arrayであり、3.6MW の風車175基が設置され発電設備容量は63 万 kWに達します(平均的な原子力発電所(1GW)の0.6基分に相当)。
出典 日本財団 海洋再生可能エネルギー

まさに、海洋国家日本の有利さを生かせ、しかも経済性が高いのである。しかも、海洋開発を進められるから、日本の領海やEEZや離島を守ることにも繋がる。沖ノ鳥島周辺に建設できれば大いに、日本の実効支配を高められる。

また、海洋再生可能エネルギー発電は、火力発電に比べ二酸化炭素排出量が少ないため、地球温暖化対策にも有効であり、港湾の活用によって地元への経済効果が期待できる。地方創生にも活用できるのだ。

しかし、海洋再生可能エネルギー発電の前進には、壁となっているものがある。それは、経済性や実用上の問題ではなく、規制や制度の問題である。第一に、長期にわたる海域の占用に対して、統一的なルールがなかったこと、第二に、先行占用者と調整する仕組みが整備されていなかったからである。この結果、現在の海洋再生可能エネルギー発電は、都道府県条例に基づいて設置されているが、その場合の占用許可は3~5年と短く、固定価格買取制度(FIT=20年)を見込んだ事業計画や資金調達が難しく、設置が進んでいない。

・意義

この法律が出来たことでどうなるのか説明しよう。文字通り、日本周辺の広大な海域で海洋再生可能エネルギー発電による開発・利用が促進され、安倍政権が構築した日本周辺の海洋戦略が進んでいくことになる。

何故ならば、海洋再生エネルギー発電設備の整備による長期にわたる海域利用を促進するため、海域占用の認定制度を創設されるので、事業者による事業展開がしやすくなるのである。では、海洋再生可能エネルギー発電のポテンシャルとはどのようなものか詳細を見てみよう。

海洋再生可能エネルギー発電のメリットとして陸上よりも大型の風車の稼働が可能となり、風力においても陸上より安定している。開発区域の確定(占用区域の確定)を定めることが出来れば発電コストも下がっていき、ゆくゆくは火力発電並みのコストになる可能性がある。

上記は日本のこれまでの海洋再生可能エネルギー発電と欧州とを比較したものだが、他の発電と比較すると以下のようになる。

欧州並みとなれば火力発電はおろか一番安価とされる原子力並みのコストとなる。

資源が乏しい日本において、資源が枯渇することなくエネルギーを供給できることになるが、この法律はまさにエネルギー自給率を抜本的に高めていく契機ともなる。また、海洋再生可能エネルギー発電の技術は日本の企業は世界でもトップクラスとされており、これを生かして、世界市場に打って出ることも可能だ。北方領土における共同開発にこれを含めて、日ロエネルギー協商に発展させるのもよい。

まさに、無限の未来を秘めているのである。なお、この法案は参院にて、全政党が賛成した。共産党や立憲民主党のような政党ですら、この安倍政権が提出した法案を認めざるを得なかったのだ。それほど意義深い法案だったのである。

・展望

今回の対象、すなわち今回の海洋再生可能エネルギー発電とは、商業化されている洋上風力発電のみだが、現在実証段階にある波力発電や潮力発電については商業化に至った段階で、政令を改正し対象に追加する見込みとなっている。その意味で、今後、さらに日本のエネルギー自給率の向上、海洋開発は進んでいくことは間違いない。

今回成立した海洋再生可能エネルギー発電法により、日本周辺の広大な海域が開発可能領域になった。今後、海域を利用した再生可能エネルギーが普及することは、エネルギー自給率が8.3%(2016年)と他のOECD諸国に比べ低い水準にある日本にとって、エネルギー自給率の改善が見込める。


これらの法案は重要かつ今後の日本にとって非常に意義のある法案であるのだが、メディアではほとんど取り上げられなかった。

サイバーセキュリティ基本法も海上再生可能エネルギー発電も我々の生活と密接した法案である。

しかし、国民は法案の名称までは知っていても、どのようなものかの詳細までは知らない人がほとんどである。

メディアは野党が騒ぎ立てる法案ばかり報道するが、それ以外の法案についてはほとんど報道しない。日本の将来を考えた法案が報道されない現状は異常である。メディアの国会報道の是正を強く求める。

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