
問われる安保理の機能不全――中ロの「言いがかり」が露呈する身勝手な国際秩序
国際社会の平和と安全を議論すべき国連安全保障理事会の場で、またしても常識を疑う身勝手な主張が繰り広げられた。中国が議長国を務めたハイレベル会合において、ロシアのネベンジャ国連大使が日本の防衛政策を「再軍備」と呼び、国連中心のシステムを損なっていると名指しで批判した一件である。主宰国である中国の王毅外相は日本への言及を避けたものの、この中ロの共謀めいた動きは、客観的な事実を無視した主観的な「言いがかり」以外の何物でもない。
専守防衛と自衛権の行使――日本の防衛政策における正当性
そもそも、日本の安全保障政策に法的な不当性は一切存在しない。日本が近年進めている防衛費の増額や反撃能力(敵基地攻撃能力)の保有は、緊迫化する北朝鮮のミサイル開発や、中国による力による一方的な現状変更の試みといった、極めて現実的な脅威に対抗するための「専守防衛」の範囲内に留まる。これは国連憲章第51条でも認められた固有の「自衛権」の発動であり、他国を侵略するための軍備増強とは根本的に異なる。また、ロシアが念頭に置く国連憲章の「敵国条項」は、1995年の国連総会で「死文化している」と削除が決議された歴史の遺物だ。過去の遺物を盾に現代の自衛権を否定する主張は、法的にも国際常識としても破綻している。
国連憲章を蹂躙する中ロ――批判の矛先をそらす欺瞞の構図
皮肉なのは、「国連中心の国際システム強化」を掲げる会合の場で、国連憲章を最も蹂躙している当事者が中ロ両国だという点である。ロシアはウクライナへの武力侵攻によって、国際法の根幹である主権尊重と領土保全を自ら破壊した。一方の中国も、南シナ海や台湾海峡における軍実に拠る威圧、さらには自国の核戦力の急速な増強を進め、地域の緊張を主体的に高めている。
自らの侵略行為や覇権主義に対する国際的な非難の矛先をそらすため、日本を「戦後秩序の挑戦者」に仕立て上げるロシアのプロパガンダ、そしてそれを議長国の立場で黙認・利用する中国の姿勢は、極めて不誠実だ。常任理事国という特権的な地位にありながら、国際秩序を自国の都合のいいように解釈し、他国への不当なレッテル貼りに終始する中ロの姿勢こそが、現在の国連システムの信頼性を底底から損なっている。国際社会は、この欺瞞に満ちた言説の本質を見抜かなければならない。


