安倍政権の働き方改革入門②有給休暇を取らせない会社は懲役刑!?

働き方改革が4月1日から施行されることとなった。前回は総論と時間外労働について触れたが、今回は有給休暇の義務化と、1ヶ月から3ヶ月に変更されたフレックスタイム制についてご紹介したい。

●有給休暇の義務化

厚生労働省は、働き方改革関連法による有給休暇の義務化について、以下のように発表している。

年次有給休暇は、働く方の心身のリフレッシュを図ることを目的として、原則として、労働者が請求する時季に与えることとされています。しかし、同僚への気兼ねや請求することへのためらい等の理由から、取得率が低調な現状にあり、年次有給休暇の取得促進が課題となっています。
このため、今般、労働基準法が改正され、2019年4月から、全ての企業において、年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者(管理監督者を含む)に対して、年次有給休暇の日数のうち年5日については、使用者が時季を指定して取得させることが義務付けられました。

引用元 年5日の年次有給休暇の確実な取得わかりやすい解説

厚生労働省は、周りに気兼ねして有給休暇を取りたくても取りづらいというのが、労働者の悩みだと指摘する。

しかし、有給休暇は「労働者に与えられた権利」である。

社会において有給休暇を取りづらい雰囲気があるのであれば、政府が有給休暇を取りやすい雰囲気や環境を、法律という形で作らねばならない。それが「有給休暇取得」の義務化の目的である。

次に、労働者の平均有給休暇の取得状況をご覧いただきたい。

ほとんどの業種において有給休暇の取得日数が、付与日数に対して軒並み5割を下回っている。

この中でも特に取得日数が少ないのが宿泊業・飲食サービス業。有給休暇取得日数が5.4日と最も少ないが、これはあくまでも平均値なので、5日を下回る業者も存在する可能性が高い。他にも、有給休暇取得日数が、6日台の業種も黄色信号。

有給休暇の原則となる付与日数として、厚生労働省は以下のように発表している。

使用者は、労働者が雇入れの日から6か月間継続勤務し、その6か月間の全労働日の8割以上を出勤した場合には、原則として10日の年次有給休暇を与えなければなりません。

(※)対象労働者には管理監督者や有期雇用労働者も含まれます。

引用元 年5日の年次有給休暇の確実な取得わかりやすい解説

パートタイム労働者に対しても付与日数を記している。

・パートタイム労働者など、所定労働日数が少ない労働者については、年次有給休暇の日数は所定労働日数に応じて比例付与されます。
・比例付与の対象となるのは、所定労働時間が週30時間未満で、かつ、週所定労働日数が4日以下または年間の所定労働日数が216日以下の労働者です。

引用元 年5日の年次有給休暇の確実な取得わかりやすい解説

しかも、これは付与日数であり、新しい法律では、5日間の有給休暇の取得を「義務」付けている。

使用者は、労働者ごとに、年次有給休暇を付与した日(基準日)から1年以内に5日について、取得時季を指定して年次有給休暇を取得させなければなりません。

引用元 年5日の年次有給休暇の確実な取得わかりやすい解説

そして、このことは、就業規則にも記載しなければならない。

休暇に関する事項は就業規則の絶対的必要記載事項(労働基準法第89条)であるため、使用者による年次有給休暇の時季指定を実施する場合は、時季指定の対象となる労働者の範囲及び時季指定の方法等について、就業規則に記載しなければなりません

引用元 年5日の年次有給休暇の確実な取得わかりやすい解説

これに違反した場合は、30万円以下の罰金もしくは6ヶ月の懲役まで発生する。

有給休暇を労働者に取得させなければ、刑務所行きというのだから、いかに今回の改革が、労働者の権利を法の力によって強力に守ろうとする試みだということがよくわかる。

●フレックスタイム制

今回の法案では、フレックスタイム制の「清算期間」が1ヶ月から3ヶ月に変更された。フレックスタイム制とは、どのようなものなのか。

日本においては、1987年の労働基準法の改正により、1988年4月から正式に導入された。変形労働時間制の一種である。使用者は始業及び終業の時刻をその労働者の決定に委ねることを就業規則等で定め、かつ一定事項を労使協定で定めれば、使用者はフレックスタイム制をとる労働者について、清算期間(1ヶ月以内の期間で、労使協定で定めた期間)を平均し、1週間あたりの法定労働時間(1日につき8時間、1週間につき40時間)を超えない範囲内において、1週又は1日の法定時間を超えて労働させることができる(労働基準法第32条の3)。

引用元 Wikipedia フレックスタイム制

簡単に言えば、法定労働時間内であれば、好きな時間に出社し、好きな時間に退社できるというものだ。

フレックスタイム制は、厚生労働省では、以下のように発表。

フレックスタイム制は、労働者が日々の始業・終業時刻、労働時間を自ら決めることによって、生活と業務との調和を図りながら効率的に働くことができる制度です。今回の法改正では、労働時間の調整を行うことのできる期間が延長されました。これによってより柔軟な働き方の選択が可能となります。

引用元 フレックスタイム制のわかりやすい解説&導入の手引き

例えば、小さな子供のいる共働きの夫婦の家庭などは、このフレックスタイム制を利用することにより、子供の保育園への送りを父親が行い、迎えを母親が行うということも可能となる。

そして、このフレックスタイム制は、1日の勤務終了後、翌日の出社までの間に、一定時間以上の休息時間(インターバル)を設けることで、働く方の生活時間や、睡眠時間を確保する働き方の実現にもつながる。

深夜まで仕事が及んだ場合は、翌日の始業時間を遅らせることも可能となる訳だ。

だが、これまでのフレックスタイム制は1ヶ月間での調整しかできなかった。しかし、これが3ヶ月間で調整できるようになったのだ。

これまでのフレックスタイム制は、清算期間の上限が「1か月」までとされていたため、労働者は1か月の中で生活に合わせた労働時間の調整を行うことはできましたが、1か月を超えた調整をすることはできませんでした。今回の法改正によって、清算期間の上限が「3か月」に延長され、月をまたいだ労働時間の調整により柔軟な働き方が可能となります。

引用元 フレックスタイム制のわかりやすい解説&導入の手引き

上図のように、3ヶ月の平均で所定労働時間が下回らなければ、賃金が満額支給され、3ヶ月で所定労働時間の平均を上回れば、残業代も支給されるという訳だ。


今年4月から施行された働き方改革法案は、有給休暇の取得を強力に義務付け、また労働時間帯を自由に調整することを推進するものだということがよくわかる。

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