安倍総理、イタリアの中国傾斜の歯止めに成功

4月下旬、平成最後の外遊として安倍総理は欧米を歴訪した。今回の外遊も多くの収穫があったが、日本のメディアが報じないので、一連の外交成果を数回にわたって国ごとにご紹介する。

前回のフランス訪問に続き、ご紹介するのは、4月24日に行われた、ジュゼッペ・コンテ首相との日伊首脳会談である。

中国の「一帯一路」への参加に歯止め!

イタリアは3月23日、中国が推進する「新シルクロード構想(New Silk Road)」とも呼ばれる大経済圏構想「一帯一路(One Belt One Road)」への協力に関する覚書を締結した。イタリアのメディアによると、これらの覚書の経済効果は50億~70億ユーロ(約6200億~8700億円)。

G7諸国で、「一帯一路」に参加した国家はイタリアが初であり、米国とEUは警戒感を高めている。(参考記事

しかも、イタリアは地中海の要衝を占め、21世紀のシルクロード「一帯一路」のゴールに位置する。このままでは大変なことになるのは目に見えていた。実際、ドイツの外務大臣は、この件でイタリアを強く批判している。

4月25日〜27日に北京で開催された第2回「一帯一路」フォーラムに、ちょうど1ヶ月前に覚書を交わしたばかりのイタリアのコンテ首相は出席。そして、その前日に安倍総理を迎えていた。

安倍総理は、今回の訪欧目的の一つとして、「一帯一路の覚書」にサインした東欧の国など(EU加盟国)を訪問し、一帯一路戦略への懸念と日本の立場と考えを説明するとしていた。

つまり、安倍総理は、あえて北京での「一帯一路」フォーラムに首脳会談をぶつけ、イタリアを含む欧州の参加国を切り崩そうとしたのである。そして、その安倍総理の狙いは見事に成功し、一定の歯止めをかけることになった。

実際、安倍総理は、第三国へのインフラ整備では、その国の財政健全性や、プロジェクトの透明性を重視するとした日本の方針を伝えた。中国については、インフラ投資で相手の国を借金漬けにしているとの批判が絶えず、苦しい財政状況から中国への接近が目立つコンテ首相に対し、毅然と注文を付けた形になる。

時宜にかなった、効果的な外交というべき。

G20、日本版「一帯一路」、アフリカ政策での全面協力を確保

また、安倍総理は、6月に大阪で開催されるG20サミットでのイタリアの全面協力を取り付けた。イタリアが再来年のG20の議長国であることからは、今年のG20の成功、そして、今回の議題を今後に結び付けていくために、なくてはならなぬ外交であった。

また、イタリアはG7参加国であり、G20とG7の主要な議題やプロセスで密接に連携し、成功に向けて相乗効果を高めていく上では欠かせない存在。

そして、安倍総理がG20の主要議題としている「国境を越えたビッグデータや情報の自由な流通の確保」、「WTO改革と自由貿易体制の維持」、「海洋プラスチック問題や気候変動などの環境問題への対応」における全面協力を、フランスに続き、イタリアからも獲得することになった。

コンテ首相は、日本版「一帯一路」と呼ぶべき、安倍総理の「自由で開かれたインド太平洋構想」に対する全面協力を表明、その維持・強化のため具体的協力案件の形成に向けて連携していくことで一致した。

また、イタリアはアフリカに強い影響力を持つ国家であるが、8月に日本がアフリカ諸国と行う第7回アフリカ開発会議(TICAD7)へのイタリアの全面協力と、両国がアフリカ政策で連携する約束を取り付けた。

安全保障面での協力も加速

北朝鮮問題でも日伊は一致し、安保理決議に基づき、北朝鮮による全ての大量破壊兵器及びあらゆる弾道ミサイルの完全な廃棄に向けて緊密に連携していくことを確認した。

また、両首脳は、日伊防衛装備品・技術移転協定の発効を歓迎し、具体的な協力実現に向けて、防衛当局間の対話を強化していくことを確認した。これは日本とイタリア間での防衛装備品の共同開発が加速化することを意味している。


このように日伊首脳会談もまた、成功裏に終わった。平成最後の外遊の第2弾に相応しい、実り多き首脳会談だった。

イタリアの対中傾斜に一定の歯止めをかけ、堅実にG20・アフリカ政策・自由で開かれたインド太平洋構想への全面協力を取り付け、北朝鮮問題や防衛装備品の共同開発でも密接に協力することになった。

現政権の外交の妙が発揮された。

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