ポーランド、ハンガリー、チェコ、スロバキアの対中傾斜の歯止めと経済連携に成功!

4月下旬、平成最後の外遊として安倍総理は欧米を歴訪した。

今回ご紹介するのは、4月24~25日に行われた、ポーランド、ハンガリー、チェコ、スロバキアの「V4諸国」首脳との全体会合と個別会談の成果である。

安倍総理は、この四か国との首脳会談により、彼らの対中傾斜に歯止めをかけ、新たな経済連携の道を切り開き、北朝鮮問題での協力も得た。その内実を見てみよう。

スロバキアとその他のV4諸国に送ったメッセージ

まず安倍総理は、日本の総理大臣としてスロバキアを初訪問するにあたり、地元有力紙の「プラウダ」紙に、スロバキア国民とV4諸国全体へのメッセージを寄稿した。

【問】(略)日EU経済連携協定は日本とスロバキアにどのような恩恵をもたらすか。世界の大国である日本からスロバキアへの投資の今後の展望いかん。

本年2月の日EU経済連携協定の発効により,人口6億人,世界のGDPの約3割,世界貿易の約4割を占める世界最大級の自由で先進的な経済圏が誕生しましたこの協定は日本とスロバキアを始めとするEU諸国に成長の機会をもたらすだけでなく,世界で保護主義的な動きが広がる中,日本とEUが自由貿易の旗手として,これを力強く推進していくとの揺るぎない意思を全世界に対して明確に示した点で,大きな戦略的意義を有するものであります。

欧州の中心に位置する地理的優位性があり,勤勉,親切,協調的な国民性が日本にも親しみやすいスロバキアには,既に64社もの日本企業が進出しています。(中略)

日EU経済連携協定に加え,7月1日にも発効する予定の日・スロバキア社会保障協定がこれら経済的交流を更に後押しすることを期待しています。また,スロバキアから日本への投資は現在限られていますが,日本への投資も歓迎します。

引用元 「安倍晋三:欧州の中心に位置するスロバキアは地理的優位性を有している」

スロバキアを代表する「プラウダ」紙から、「世界の大国である日本は、スロバキアをどう見ているのか」と尋ねられ、「人口6億人、世界のGDPの約3割、世界貿易の約4割を占める世界最大級の自由で先進的な経済圏」の日・EU経済連携協定をテコに、EUと日本、スロバキアと日本の関係をさらに密接にしていくとした。

そして、安倍総理は自身が締結した「日・スロバキア社会保障協定」にも言及している。この協定は非常に重要である。今まで、スロバキアに派遣される日本人駐在員が年金保険料を両国で二重取りされており、日本企業がスロバキアへの進出をためらう一因になっていた。特に中小企業にとっては重い負担となっていた。

しかし、「日・スロバキア社会保障協定」により、そうした二重取りは廃止され、さらに、これまで駐在員が余計に支払っていた分は両国から支給されることになった。これにより両国経済関係の重石は、撤廃されたのだ。

また、これらはV4諸国との関係強化を望む安倍総理のメッセージともいえ、大きな影響となったことは想像に難くない。

V4諸国との首脳会談で対中傾斜に歯止め

それでは、上記メッセージを伝えた上でのV4諸国との首脳会談は、どのような成果をもたらしたのか。

まず、前提条件として押さえておきたいのは、中国の「一帯一路」会議に、過去ポーランド、チェコ、スロバキア、ハンガリーのV4諸国が参加していることである。

その意味で、安倍総理の今回の首脳会談の目的の一つがイタリアに対するそれと同様に、対中傾斜に歯止めをかけるものだったのは明らかだ。

そして、それは見事に成功した。

まず、昨年の「一帯一路」会議に参加していたポーランドは、今年はほぼ同日の安倍総理との会談を選択した。ポーランドは中国のシルクロード構想における重要な終着点であり、欧州への玄関口であるから、ポーランドの「一帯一路」会議不参加の意義は大きい。スロバキアも不参加を決断した。

また、経済協力でも「V4+日本」経済セミナーや西バルカンにおける協力、科学分野での協力など最近の主要な「V4+日本」協力の成果を確認し、協力の継続と強化につき一致した。

加えて、G20の主要議題として重視する「ルールに基づく自由で開かれた経済システムの維持・強化」、「WTO改革を含む自由貿易の推進と経済成長」、「質の高いインフラ投資の推進」「データガバナンス重視」でも一致した。

北朝鮮問題の重要性、そして、日本の掲げる、拉致・核・ミサイルの三問題の解決でも連携を確認した。


このようにV4諸国との経済連携強化とそれによる対中傾斜の歯止めに成功した。

平成最後の外交として、GWを有効に活用した見事な一手だった。

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