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【WTO判決の驚愕の真実】日本食品の安全性は議論されていなかった!?手続き論で破棄されただけ

2011年3月の原発事故以降、韓国は福島県などの8県から水産物の輸入を禁止するという差別的な措置をとっている。これに対し日本政府は、WTOに提訴し、第一審で勝利したものの、2019年4月の第二審で敗訴した。

この判決に関し、WTOが第二審で日本食品の危険性を認め、韓国側の主張を容認したという見解がある。しかし、これは誤解である。むしろ、全くのデマである。

WTO法の国内最高権威である経済産業研究所の川瀬剛志氏が、客観的な指摘を行っているので、引用しつつ、驚愕の真実をお伝えしたい。

WTO第二審は何を判断し、どのような判決を下したのか?

第二審の判決は、大まかにいえば第一審の判決の論拠が不十分だったとひっくり返すものだった。つまり、韓国の輸入禁止が『自由貿易に反する行為かの立証が足りなかった』という手続き上の不備であり、日本食品の安全性は論点になっていなかったのだ。

個別に判決文を見ていこう。

・第二審判決①「第一審は日本側の提案を検討していない」

パネルは日本が提案する代替措置(セシウム100Bq/㎏以上の食品のみ輸入制限、これで1人当たり年間被ばく量を1mSv/年以下にできる水準)が韓国の複合的なALOPを達成できるか否かを検討する責務がある。しかしパネルは韓国のALOPの3要素全てについて検討せず、代替措置が1mSv/年を著しく下回る被ばく量を達成できる、としか判断しなかった。

引用元 韓国・放射性核種輸入制限事件再訪-WTO上級委員会報告を受けて-

判決は専門的な法律論に基づいているため難解だが、平たく言えば、第二審の判決内容はこういうことだ。

WTOは「健康および動植物衛生保護対策により達成され、その国が適正であると認めるレベル(ALOP)」で、安全基準による輸入制限を認めている。ただし、WTO法によれば、より良い方法があれば、上記の輸入制限は認められない。

本来、第一審は、日本側の提案が「より良い方法」かを審議するべきであった。しかし、韓国の現在のALOPの3要件すべてを検討せず、日本側の措置の検討も不十分であった。故に、第一審の判決を破棄する。

つまり、法審理における手続き的な問題が議論の主題であって、WTO2審は日本食品の安全性について議論も検討もしていなかったのである。

・第二審判決②「第一審は食品中の汚染水準しか見ていない」

取引される産品に内在する危険のみが、2条3項に関係する条件ではない。適切な2条3項の解釈によれば、産品に潜在的に影響があるかぎり、領域的条件など他の条件も考慮される。

本件パネルの判断を検討すると、発生源に近いところでのより大きな汚染の可能性や、特定の放射性放出事故が地域的・漸進的な潜在的食品汚染に帰結することなどを認定した。にもかかわらず、パネルはこうした潜在的に食品汚染に影響する他の領域的条件に関する認定と一致させることなく、食品中の実際の汚染水準だけに依拠した。

第一審の判決内容。

引用元 韓国・放射性核種輸入制限事件再訪-WTO上級委員会報告を受けて-

これも、別の言葉に置き換えると、以下のようになる。

第一審の判断では、食品に含まれる放射能汚染の水準だけでは日本食品は問題がない。故に、韓国は輸入制限をするべきではないとした。しかし、WTO法の解釈としては、潜在的な可能性や発生源との近さも考慮されるべきであるが、第一審ではそれを検討していない。

故に、第一審の判決を破棄する。

つまり、第一審では実際の日本食品が安全だから韓国の輸入制限は不当だという判断を下したが、実際の食品だけでなく、他の要素も検討されるべきなのに検討されていない。だから第一審を破棄するという判断だったのだ。

第二審判決③「そもそも日韓の論拠はWTO裁判所では扱えない」

判決文の最後を見てみよう。

日本はパネル設置要求書で57項違反の請求を行っていない。また、韓国も57項により他のSPS協定の条文の義務につき正当化あるいは適用除外を申し立てていない。単に23項、56項に関する反論の中で言及したに過ぎない。よって、この問題は付託事項の範囲外であるから、パネルの判断は、紛争解決了解(DSU)7条1項、同11条にある自己に付託された問題を検討するパネルの責務を踰越している。よって、パネルの判断は無効である。

引用元 韓国・放射性核種輸入制限事件再訪-WTO上級委員会報告を受けて-

これは、日韓の主張する論点は、WTO裁判所の判断を超えているという、手続き的な問題を述べている。つまり、日韓双方の法的主張は、最初からWTOでは扱えないものだとちゃぶ台返しをしたのである。

川瀬氏は、この論点を最後の最後の第二審の判決まで、当事国、パネリスト、WTO事務局の担当法務官の誰もが気が付かなかったのか、信じがたいと批判している。その通りだ。この真実に直面して、絶句しているのは我々だけではないはず。

 

敗訴した日本を支持する各国。

さて、ここまでの判決をまとめると、こういうことになる。

・日本食品の安全性については、上級委員会は全く議論していない。

・第一審の認定を否定も肯定もしてない。

・日本の主張する安全基準も否定はされていない。

川瀬氏が指摘するように、以下の吉川農林水産大臣の公式声明が正しい理解なのだ。

「韓国の措置が協定に整合的であると認められたわけではございません。」

「上級委員会の判断はですね、(略)日本の食品の安全性を否定するものではないと私は考えております。」

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