安倍総理、イランから対米交渉の仲介を依頼される〜イラン情勢専門家から高い評価〜

6月12~14日、安倍総理は、米国との緊張が増しているイランを訪問、最高指導者ハメネイ師およびロウハニ大統領と会談を行った。

この会談の結果を、日本エネルギー経済研究所 中東研究センター長代行の坂梨祥氏は高く評価している。

坂梨祥氏は、長年イランを研究してきた、わが国を代表するイラン政治専門家だ。

今回の訪問は、重要な最初の一歩!41年ぶりの訪問、最高指導者との史上初の会談

坂梨:安倍首相を批判する向きもあります。ハメネイ師が安倍首相に対し「トランプ氏は意見交換するにふさわしい相手ではない」と語り、米国との対話を拒否したのを重視してのことです。ですが、私は成果があったと評価しています。

第1は、日本とイランとの2国間関係において。日本の首相が41年ぶりにイランを訪問。そしてイランの最高指導者と初めて会談しました。1983年に安倍首相の父である晋太郎氏が、ハメネイ師と会談していますが、同師は当時大統領でした。

引用元 ハメネイ師「安倍さんとは話をしよう」は大きな成果

まず、坂梨氏は、以下の2点について強調した。

1)安倍総理が41年ぶりにイランを訪問した総理大臣
2)最高指導者と会談するのは史上初

これは、今回の訪問だけで物事を見てはいけないことを意味する。

今回の訪問は安倍総理の中東外交の第一歩として評価するべきであり、ゴールと見なすべきではないと坂梨氏は指摘する。

安倍総理となら話したい=安倍総理が仲介してくれるなら米国と話せる

第2は、米国とイランとの緊張を緩和するという役割において。あまり報じられていませんが、ハメネイ師は安倍首相との会談の冒頭で、「あなたとは話しましょう」と語っているのです。これは「安倍首相を仲介とする間接的な対話に応じる」ことを意味していると思います。

ハメネイ師はかねて「米国とは交渉しない」という意向を明らかにしていました。なので、直接対話を拒否したのは新しいことではありません。また、一国の最高指導者を30年にわたって務めてきた人物の信念を、1回会っただけで変えられるものではありません。それよりも、間接対話を否定しなかったこと、仲介者として安倍首相を認めたことが重要です。「初めの一歩」として価値があると考えます。緊張を緩和するには対話をしないとどうにもならないのですから。

イランに到着し、歓迎を受ける安倍総理。

引用元 ハメネイ師「安倍さんとは話をしよう」は大きな成果

このように、安倍総理を介した対話なら応じたいというのがイラン側の本当のメッセージだったのだ。

安倍総理の訪問は、プーチン大統領や習主席よりも世界で注目された

また、坂梨氏によれば、安倍総理のイラン訪問直前に相次いで実施された、プーチン大統領や習近平主席とのロウハニ大統領との首脳会談(上海条約機構(SCO)における首脳会議)よりも、世界中で注目されたという。

坂梨:SCO首脳会議と安倍首相との会談では、世界の注目度が全く異なります。安倍首相との会談には、世界中のメディアが注目しました。

―――世界はなぜ安倍首相にそこまで注目したのでしょう。日本人が認識する以上に日本はグローバルプレーヤーなのでしょうか(中略)

坂梨:(略)いちばん大きいのは安倍首相がトランプ大統領の信頼を得ていることでしょう。同大統領は安倍首相に思いを託したと言われています。加えて、日本が初めて中東の緊張緩和のために動いた点も大きいでしょう。このとき、単なる米国のメッセンジャーとしてではなく、原油の供給の大半を中東に頼り、この地域の安定を死活的問題として抱える日本の首相として振る舞ったことが重要です。

引用元 ハメネイ師「安倍さんとは話をしよう」は大きな成果

確かに、安倍総理はトランプ大統領と近しい関係にある。だからといって単なるメッセンジャーとして訪問したのではない。日本の国益の為に、この地域における紛争が日本のシーレーンに重大な影響を与えるからこそ、イランを訪問したのだ。メディアの注目をひいたことは至極当然の流れである。

枝野代表のように、「ホルムズ海峡の石油が止まっても備蓄があるから大丈夫」と悠長なことを言って傍観しているわけにはいかないのだ。

だからこそ、イラン側も安倍総理に「日本が仲介するなら、間接的に話す用意がある」と伝えたのだ。そして、そうした証拠はある。

岩田明子記者が伝えたイラン側のメッセージ

安倍総理のイラン訪問に同行したNHK岩田明子記者によれば、ロウハニ大統領は、帰り際の安倍総理に対して「アメリカが制裁解除の入り口に立てば対話の意欲ある」と伝えたという。

制裁解除へ向けた何らかの方向性があれば米国と対話しても良い、と伝えたというのだ。

今回の成果をもとに、安倍総理がどのような外交を展開するか、G20に向けて注目があつまるところだ。

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