消費税10%がなぜ必要なのか:意義と経緯

いよいよ10月に迫った、消費税10%引き上げ。

直前に実施された先の参議院議員選挙では、与党が過半数の議席を獲得した。麻生財務大臣も「消費税率の引き上げは最初から申し上げてきた。その意味では信任をいただいたと思う」と述べた。

対する野党は、財源の代替案の提示や議論もなく、ただやみくもに増税の凍結を主張し、中には消費税撤廃を訴える候補者や政党もいた。

(左から)茂木経済再生大臣、安倍総理、麻生財務大臣

麻生大臣は、消費税撤廃を訴える者たちに対し、「給付を増やして負担は減らすことが成り立つと思っている方がいる」と、その矛盾を鋭く批判した上で、「私どもは負担と給付のバランスは常に考えていかなければならないと思っている」と述べた。

増税は、確かに国民に負担を強いる。それゆえ、国民からの反発も大きい。しかし、安倍政権は、敢えて実施に踏み切った。

その理由を知るためにも、なぜ増税が必要か、消費税が何に使われるのか、今一度振り返る必要がある。

消費税の使い道は社会保障

「消費税の増税はなぜ必要か?いったい何に使われるのか?」

こういった疑問を持つ人が多いだろう。

消費税法には、このように記されている。

消費税法第一条第二項
消費税の収入については、地方交付税法(昭和二十五年法律第二百十一号)に定めるところによるほか、毎年度、制度として確立された年金、医療及び介護の社会保障給付並びに少子化に対処するための施策に要する経費に充てるものとする。消費税法より]

消費税は、社会保障を目的としたこと以外には、使用してはいけない。

これまでも、社会保障の充実を図るために、5%→8%への増税が余儀なくされた。しかし、これでも足りないのが現状の財政である。

何故ならば、人口減少、少子高齢化がますます深刻となっているからである。この点について、財務省今後、急速に高齢化が進み、やがて、「1人の若者が1人の高齢者を支える」という厳しい社会が訪れます。」と発表している。

今後の高齢化は先進国では最も速く進行する見込みです。高齢者数の増大により、現在の年金・医療・介護のサービス水準を維持するだけでも、税金投入を毎年1兆円以上増加させる必要があります。この財源を確保できなければ、社会保障制度の維持が困難になります。一体改革では、この高齢化に対応するための財源を確保し、制度の維持を図ります。

財務省より]

このままの消費税率では、国民が安心できる社会保障サービスの運営が困難になるというのだ。

では、その消費税が、社会保障にどれほど使用されているのか。

平成30年度予算の社会保障経費が40.5兆円で、その内訳は以下の通り。
・年金12.3兆円
・医療11.6兆円
・介護3.1兆円
・子ども子育て支援2.1兆円
・地方11.4兆円

このうち、消費税(8%、22.3兆円)が充てられている割合は55%

社会保障の半分以上は、消費税で賄われている。そして、今後、社会保障費の増大が懸念される。だからこそ、消費税10%が必要なのだ。

忘れていませんか?消費税10%に増税を決定したのは、民主党政権時代の野田内閣で、言い出しっぺは菅内閣!

次に、消費増税引き上げの経緯を振り返ってみよう。

2009年9月。自民党が大敗し、民主党が勝利した衆議院選挙。このとき「消費税率は4年間上げない」とするマニフェストで民主党が総選挙で勝利し、鳩山政権が誕生した。

当時の経済不況に嘆く国民に、甘い言葉を投げかけたのが民主党。しかし、いざ政権を取ってみるとなかなかうまくいかず、菅政権になって「消費税10%」を打ち出し2010年6月参院選を迎えたが、結果は大敗。

当然の結果だ。甘い言葉で国民を欺き「やっぱり無理だ」と、あっさり主張を変えたのだから、国民が納得するはずがない。

そして、2012年6月に野田政権主導により、消費税率を2014年に8%、15年に10%の社会保障と税の一体改革に関する合意(民主党・自民党・公明党の3党合意)がなされ、8月10日、参院本会議で可決成立。(参考①参考②)

そして、民主党政権は終わりを迎え、安倍政権が引き継ぐことになった。民主党は散々引っ掻き回しておきながら、消費税問題を自民党に丸投げして、現在では(党がなくなったことを理由に)知らんぷり。

安倍政権では消費税を二度延期=増税よりも内需

民主党政権後に消費税の扱いを引き継いだ安倍政権は、2014年4月に予定通り消費税8%に引き上げた。

一般的に消費税増税は、景気減速の要因となると考えられている。実際、消費税率8%の増税後に消費は大きく落ち込んだ。

8%増税はやむをえないものであったが、これを受けて安倍総理は消費増税の扱いに慎重になり、二度の増税延期をしてきた。

・2014年11月、10%への再増税を2015年10月→2017年4月に先送り表明
・2016年6月、安倍首相が10%への増税を2017年4月→2019年10月に延期すると表明

安倍総理は「消費税増税を断行するよりも、様々な経済政策を駆使してデフレ脱却を急いだほうが税収の伸びに繋がり、財政再建の近道となると」考えた(参考)。

その後、アベノミクスにより経済は上向いた。

そして、間も無く2019年10月を迎える。この時期を、再延期できない理由がいくつかある。

2020年4月から支援が実施される『大学等修学支援法』。これは資金難の学生に、授業料等減免制度を創設し、給付型奨学金を援助する法律であり、この財源は消費税の増税分が充当されることになっている。

社会保障も大事だが、将来を背負う若者への支援も大事。そして、経済成長を継続するには、人材育成は不可欠であり、人手不足の現在なら、なおさらだ。

また、政府は年金制度の改革も同時並行で進めているが、年金の財政計画は消費税が増税されることが前提だ。来年度の予算についても増税が大前提となっているから、ここで増税を延期するとあらゆる施策に大きな影響が出てしまう。

国民に十分な社会保障サービス、そして、なるべく多くの若者に教育を受けてもらうのに、増税は待ったなしの状況なのである。

華麗なる変わり身?恐るべき二枚舌!

「消費税率は4年間上げない」とマニフェストに掲げ誕生した鳩山政権。しかし、下の根も乾かないうちに「消費税10%」を菅政権は打ち出し、野田政権は消費増税10%を決定した。まさに、消費税10%は民主党政権により生まれた遺産だ。

このうちの菅政権と野田政権の中核にいた人物がいる。

現在立憲民主党代表の枝野幸男代表である。

菅政権が大敗した2010年6月の参院選。この時の民主党幹事長が枝野氏。野田内閣では、枝野氏は経済産業大臣を務めていた。

2010年6月に参院選で大敗した。その時の幹事長は枝野氏。

野田内閣で経済産業大臣だった枝野氏。

まさに、民主党政権の消費増税の中心にいたのが枝野氏だ。

現在の枝野氏の主張は、先の参院選でも示していたように消費税8%凍結。しかし、民主党時代には驚くべき発言をしていた。

枝野氏は2014年、消費税を8%に引き上げ、消費が冷え込んだ際に「アベノミクスによって経済が好循環に入っていれば、(税率を)上げられるはずだ。日本のためには(経済指標などの)条件を整え、約束通り進めることがベストだ」と、述べていた。(参考)

また、「増税を先送りすれば、社会保障制度の維持、充実のための財源が足りなくなる」と述べ、引き上げが基本方針だと強調していた。(参考)

枝野氏の発言は、民主党政権崩壊後の民主党幹事長の時のもの。故に、枝野氏は、民主党が決定した消費税10%を実現させるように、このような発言をしていたとしか思えない。

時は進み、民主党は党名を変更。立憲民主党の現在の枝野氏を見てみよう。

民主党時代と180度真逆の発言をする枝野氏。

参院選で掲げた公約には、消費税率10%への引き上げを凍結した上で、金融所得課税や法人税などの見直しを明記した。

これほどの二枚舌を持っている政治家は、お目にかかったことがない。


このように、消費増税には、大きな意義がある。そして、それを決定したのは民主党政権であり、愚直にそれを「経済再生」「将来への投資」「社会保障」の三つと同時に実現しようとしているのが、現政権である。

そして、自らの過去をなかったかのようにただただ妨害しているのが、枝野代表らなのだ。

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