<西日本豪雨災害関連>民主党時代にカットされたかんがい排水事業とは?

今回の災害においてネットやツイッター上で、民主党時代の事業仕分けの件が何かと問題視され投稿が相次いでいる。
スーパー堤防の件をよく目にされたと思います。スーパー堤防については今回だけでなく、2015年の鬼怒川の堤防決壊により周辺が浸水した時にやり玉に挙がった。
事業仕分けにより堤防の計画がとん挫し決壊に繋がった「民主党政権時代の負の遺産の目に見えての大失敗だ」という、民主党政権を批判する意見もあれば。民主党政権を擁護する、「スーパー堤防は完成までに400年、あるいはそれ以上の長大な年月と、12兆円超もの莫大な金額がかかると試算された超巨大事業。仮に民主党が仕分けをおこなっていなくても、現在までにスーパー堤防が機能していた可能性は極めて低いだろう。しかも、もともとスーパー堤防が計画されていたのは、関東地方の利根川、江戸川、荒川、多摩川、関西地方の淀川と大和川の計6河川区間のみ。そもそも鬼怒川は最初から計画に入っていなかった」といった内容の記事や投稿を見かけたものである。
河川の決壊や、治水事業といったら、イコール『堤防』と連想すると思います。堤防が決壊するには主に考えられるのは「越水破堤」「洗掘破堤」「浸透破堤(漏水破堤)」というものがあります。

「越水破堤」:堤防を越えた水が外側の土砂を崩していくことで堤防の強度が落ち、水圧に耐えきれなくなり起こる。

「洗掘破堤」:堤防に水が直接当たり破壊する。

「浸透破堤(漏水破堤)」:水圧で水が堤防内に浸水し崩れる。

鬼怒川の場合は「越水破堤」である。しかし、注視していただきたいのはなぜ堤防が決壊するに至ったかである。
治水事業の中には様々な分野があり『かんがい排水事業』というものがあります。

灌漑(かんがい)排水事業とは

2.間接的効果
かんがい排水事業は、農政上極めて重要な使命を担っていると同時に、住みやすく活力ある農村社会を建設すると共に、国土の調和ある発展に寄与しています。
広域的地域排水効果
混住化が進んだ農村地域では農地排水のみならず周辺の非農業的土地利用の排水を受け持つこととなり、地域全体に排水の効果が及びます。
[1]非農業施設等の洪水被害を防止します。
[2]不可避的に取り込まれる市街化区域等の土地資産価格が増加する等の効果が発生します。
河川流況の改善効果
ダムの築造は、農業用水源の開発と確保を図るとともに、かんがいを通じて河川水のかん養や洪水の防御等河川流況の改善、安定化に貢献します。
[1]治水効果
農業用水を確保するために開発された利水ダムであっても、その利用過程では洪水期間に一定の空容量を有しています。この空容量は、洪水時に河川流況をカットする機能を有し、下流の洪水被害軽減に寄与します。http://www.maff.go.jp/j/nousin/mizu/agwater_antei/a_kangai/

上記にあるようにかんがい排水事業とは、治水・利水という事になり、単に農地への水の供給(利水)だけでなく、洪水時の河川の負担の軽減(治水)につながる訳であります。
河川の負担が軽減されるという事は洪水時の越水の危険性も軽減されるという事になり、堤防の負担の軽減にも繋がるということになります。
実は民主党時代に治水事業の中でもかんがい排水事業が大幅にカットされていたのであります。

仕分けでは、「歴史的な使命を終えた」と判定された農林水産省の農道整備事業(168億円)など、50超の事業、約1300億円分が「廃止」とされた。約1600億円分の約20事業で来年度予算の「計上見送り」を判断。具体的な削減幅を示して「予算削減」を求めた70超の事業の削減可能額を合計すると、約4500億円に達した。http://www.asahi.com/seikenkotai2009/TKY200911270433.html

事業仕分けにより「かんがい排水事業がどういった経緯で軽減されたか」に触れた記事がありました。

その記事によると「美蔓地区での事業を含む国営かんがい排水事業が『20%縮減』の判定を受けた」とあります。民間の仕分け人は政野淳子さんだったようですが、政野さんといえば果敢にダム問題を取り上げてきたジャーナリストです。道新の政野さんへのインタビューはなかなか興味深いものでした。
 政野さんは「美蔓」の事業(旧美蔓ダム)について、農家一戸当たりの事業費が1億円を越すことが一般的かという質問をしたところ「大体、この数字はあり得る」と答えたそうです。こんな数字が普通なのであれば、全国各地で、効果の検証もしないで巨額のかんがい事業をどんどんやっていたということでしょう。

さらに、より安くできる代替案の検討や、使われていない利水権を確認したかという質問に対しては「そういう考え方で査定したことはない」と答えたそうです。たとえば地下水の利用などについては何も検討しなかったというのですから、呆れます。http://onigumo.sapolog.com/e75479.html

つまり仕分けの際に、かんがい排水事業を利水としか見ずに、治水の観点を度外視してしまったという事であります。

今回の「平成30年7月豪雨災害」で浸水した岡山県の真備町を見てみましょう。

ご覧の通り農地が広がっているのがわかります。
次に岡山県のかんがい排水事業については次の通りであります。

●県営かんがい排水事業
農業用用排水施設の新設、廃止又は変更
採択要件  受益面積 :200ha以上
末端支配面積:100ha以上
(但し、多目的利用自動化を取り込んだ農業用用排水施設については末端まで施工できる。)

補助率   国50%・県25%

http://www.pref.okayama.jp/page/detail-5161.html

国の補助が50%を占めています。予算が削られた事により整備のスピードが落ちたことは言うまでもありません。
「民主党政権が倒れてから5年も経過してるので、自民党が予算をつければなんとかなったのではないか」という話もありますが、民主党政権時の3年間で廃業した業者は数え切れません。一度衰退した業界は予算を付けたからといって、そう容易に復活するものではありません。

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