【沖縄】コロナ濃厚接触者に「特別手当を支給する」と呼びかけ出勤させた工場 20人以上クラスター発生 ネット「ドキッとしてる中小企業経営者が多いと思う」
「特別手当を支給する」感染者が判明した後も、濃厚接触者に出勤を促す 20人以上が次々感染
2021年8月20日 10:12沖縄本島中部の食品加工会社で今月上旬以降、20人以上が新型コロナウイルスに感染していたことが、19日までに関係者への取材で分かった。感染者が判明した後も、社内の濃厚接触者とみられる従業員らに「特別手当を支給する」と呼び掛け、出勤を促していたという。会社側は従業員に「旧盆(20~22日)前で生産ラインを止めることができない」と説明している。低温低湿の密室で働く食品加工などは、感染のリスクが高いとされている。(編集委員・福元大輔、社会部・篠原知恵)
感染が急拡大する本島中部は、保健所による事業所クラスター(感染者集団)や濃厚接触者の調査、認定が追いついていない。対応はほぼ事業所任せになっているのが実情だ。
同社では8月8日に従業員1人の感染を確認したことから、工場内を消毒した。複数の従業員が、操業を止めるよう役員に求めたが、「旧盆前で仕込みや作り込みがあり、止めることはできない」と返答があったという。
その後、15日までの1週間に全従業員の2~3割に当たる20人近くが、次々と感染。会社側は生産ラインを止めることなく、別の部署を含む全従業員に特別手当の支給を提示し、出勤を呼び掛けたという。
感染者の1人は取材に「会社は取引先から契約を切られたくないのだろうが、濃厚接触者を休ませていれば、感染は広がらなかった」と強調。「感染から1週間以上たつが、保健所から疫学調査の連絡はなく、会社名や感染経路、濃厚接触者の有無を聞かれていない」と話した。
濃厚接触者には感染症法上の就業制限は適用されないが、県は検査結果が陰性でも陽性者との接触があった日の翌日から14日間、外出を控え健康観察するよう協力を求めている。
県の担当者は「特に中部では保健所の調査の手が回らない。一般事業所のクラスターは、命に直結する医療機関や高齢者・障がい福祉施設などに比べ優先順位を下げざるを得ない」と説明。「事業所から積極的な相談があれば別だが、なければクラスターの迅速な認定は困難な状況にある」と話した。
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