朝日新聞が社説でNHKを批判「NHK虚偽字幕 鈍い対応、深まる不信」 正論なのだが…
朝日新聞が「NHK虚偽字幕 鈍い対応、深まる不信」という社説でNHKを批判した。
記事の内容は至極まっとうなもので、この問題に言及したことには評価したいのだが…朝日新聞ということで説得力に欠けるような気がしてならない。
あやふやな説明や誠実とは言い難い対応で、不信は一層深まっている。NHKはこのような事態を招いた原因をすみやかに究明し、人々の疑問に答えなければならない。
昨年末に放送されたBS番組「河瀬直美が見つめた東京五輪」をめぐる騒ぎである。
東京五輪公式記録映画の総監督を務める河瀬氏の制作過程を追うなかで、NHKはスタッフの映画監督・島田角栄氏に密着。同氏が取材した人物の映像に、「五輪反対デモに参加しているという男性」「実はお金をもらって動員されていると打ち明けた」との字幕をつけた。
ところが放送後に調べると、そうした事実は確認できなかった。担当ディレクターに思い込みがあり、事前に試写をしたプロデューサーらによるチェックも不十分だったという。
NHKは島田氏や男性と具体的にどんなやり取りをしたのか。何を、どう「思い込み」、なぜチェックは「不十分」になったのか。男性の「告白」をどう受け止め、放送後の反響にどこまで考えをめぐらせたのか。
こうした疑問に対する詳しい答えはない。
思い出すのは、5年前のMXテレビ(東京)の番組「ニュース女子」だ。沖縄の基地反対運動を取り上げ、参加者に日当が支払われていると根拠のないまま伝えた。放送倫理・番組向上機構(BPO)から重大な倫理違反があったと厳しく批判されたことは、放送に携わる者なら当然承知しているはずだ。
発覚後のNHK幹部らの言動も混乱に拍車をかけた。
当該部分について、事前にディレクターが島田氏に確認したと言っていたのに、氏から抗議を受けると「確認を得ていたかのような誤解を与える説明だった」と訂正した。どうしてそんな食い違いが起きたのかについても腑(ふ)に落ちる説明はない。
局内に調査チームを設けたと発表したのは先月24日で、問題が明らかになって2週間が経っていた。そして、調査中を理由に、事実関係の確認を求める取材に応じようとしない。
受信料制度に支えられるNHKは、視聴者の信頼があってこそ成り立つ。NHK倫理・行動憲章は、その信頼に反する事態が起きたときには「迅速に調査と原因究明にあたり、社会への説明責任を果たす」と定めている。憲章と行動との間に著しい乖離(かいり)があるのではないか。
正確で公平公正な情報を広く伝え、民主主義を支える。NHKはそう主張し、最近、ネットによる番組の同時配信を始めるなど、業務を拡大してきた。責任はより重くなっていることを自覚するべきだ。
ここにはないが、NHKの「緑なき島」についても言及してほしかった。この放送は韓国が主張する強制労働の主張の論拠の一つとなっているからだ。今後、マスコミが追及してくれることを願う。
ネット上では「目くそ鼻くそ」「ブーメラン」「どの口が言う」などといったコメントが飛び交っている。慰安婦報道、珊瑚KY捏造事件などなど、朝日新聞もNHKに負けないほど(それ以上?)虚偽・捏造や偏向報道を行っているのでそう言いたくなる気持ちは理解できる。
ただ、朝日新聞は「責任はより重くなっていることを自覚するべきだ」と述べている以上、当然、過去の報道を振り返り反省したうえでこの社説を書いたのだろう。朝日新聞は虚偽・捏造は行わないと心に決めて社説を発表したはずだ。そうでなければダブルスタンダードも甚だしい。今回の朝日新聞の社説を記憶にとどめ、今後の報道に注目したい。