英ジョンソン首相、日本との安全保障分野の協力拡大に強い意欲 日本の対ロ制裁に「日本が圧政と侵略に対して強く立ち向かったことは非常に重要だ」
英国のジョンソン首相が、読売新聞のインタビューで日本との安全保障分野の協力拡大に強い意欲を表明したうえで、日本の対ロシア制裁を「岸田首相は非常に強力な立場をとった。日本が圧政と侵略に対して強く立ち向かったことは非常に重要だ」と称賛した。
英国のボリス・ジョンソン首相(57)は5日、岸田首相との会談を前に、ロンドンの首相官邸で読売新聞の単独インタビューに応じた。ジョンソン氏は「欧州と東アジアの安全保障は不可分だ」と述べ、日本との安全保障分野の協力拡大に強い意欲を表明した。ロシアのウクライナ侵攻を踏まえ、日本と連携し国際秩序の立て直しに力を尽くす考えを強調したものだ。
ロシアのウクライナ侵攻後、ジョンソン氏は先進7か国(G7)首脳で初めて首都キーウ(キエフ)を訪問するなど、ウクライナ支援で積極姿勢が際立つ。インタビューでも「プーチン(露大統領)を成功させてはならない。そうでなければ他の権威主義国家に侵略の免許証を与えることになってしまう」と力を込めた。
一方で、英国が2020年に欧州連合(EU)を離脱した後、インド太平洋地域への関与拡大を進めてきたことについては「正しいことだ」として路線見直しの必要はないとの認識を示した。
「ウクライナの出来事と台湾や南シナ海で起きることには直接的な関連性がある」とも述べた。インド太平洋地域で一方的な現状変更を図る中国の動きをけん制したものだ。
ジョンソン氏はまた、中国の外交姿勢を巡り、「ウクライナ侵攻についてロシアを支持するのは戦略的にも政治的にも誤りだ」と指摘した。3月に中国の習近平(シージンピン)国家主席と電話会談した際に直接そう伝え、プーチン政権との関係見直しを迫ったという。
ロシアへの制裁を巡っては「岸田首相は非常に強力な立場をとった。日本が圧政と侵略に対して強く立ち向かったことは非常に重要だ」とも述べ、日本政府の対応を称賛した。
ジョンソン氏が日本メディアのインタビューに応じたのは、19年の首相就任後初めてだ。
ネット上では「日英同盟の復活か」などという声も上がっているが、かつての日英同盟も、ロシア帝国の極東進出政策への対抗を目的としていたことを考えればそうなるだろう。
記事にもジョンソン首相が中国の習近平主席にプーチン政権との関係見直しを迫ったことが紹介されているが、ウクライナ訪問もあり、ジョンソン首相は今回のウクライナ問題で最も注目される国のトップのひとりと言っていいだろう。
日本では防衛費や反撃能力のことばかりメディアが取り上げ議論されているが、こういった外交による安全保障関係の強化も国土防衛には非常に重要なことだ。日本政府も対ロ制裁は継続して、G7各国と連携して対応にあたると表明している。今のところは言葉通り実施されていると言っていいだろう。