プーチン大統領「米国中心の世界秩序は根本的に壊れ、欧米は既に敗北した」「戦場でロシアに勝ちたければ試してみたらいい」
ロシアのプーチン大統領はクレムリンで行われた下院各会派代表らとの会合で「米国中心の世界秩序は根本的に壊れ、欧米は既に敗北した」と述べた。
また、停戦交渉については拒否しなかったが「戦闘が長引くほど和平合意は困難になる」と語った。
ロシアのプーチン大統領は7日、ウクライナでの軍事作戦開始により「米国中心の世界秩序は根本的に壊れ、欧米は既に敗北した」と述べ、勝利に自信を示した。モスクワのクレムリンで行われた下院各会派代表らとの会合で語った。
「戦場でロシアに勝ちたければ試してみたらいい」とも述べ、ロシア軍を撤退させてから停戦交渉に応じるとしているウクライナのゼレンスキー政権と、軍事支援する欧米を強くけん制。交渉は拒否しないが「戦闘が長引くほど和平合意は困難になる」と警告した。
「われわれはまだウクライナで本腰を入れていない」とも強調して攻撃強化の可能性を示唆した。
欧米に対し強気な姿勢を保ち、疲弊したロシア軍を鼓舞しているようにも見える。
経済評論家の門倉貴史氏。
むしろ欧米に敗北しているのはロシアのほうだろう。
ロシアのプーチン大統領がウクライナに軍事侵攻したそもそもの目的は、ウクライナのNATO加盟、およびNATOの東方拡大を阻止し、自国の安全保障上の脅威を取り除くことであったはずだ。
しかし、ウクライナへの軍事侵攻が長期化の様相を呈する中、プーチン大統領の思惑とは逆に、NATOの求心力は高まっており、ロシアにとっては侵攻前よりも全方位で安全保障上の脅威が高まるという皮肉な結果を招いている。
ロシアは(主要国による強力な経済制裁により)経済が困窮化するなかでも、貴重な経済資源を軍備に振り向けざるを得なくなり、ますます経済が疲弊していくという悪循環に陥っている。結局、プーチン大統領はウクライナに軍事侵攻してもロシアの安全保障を確保することはできず、主要国による強力な経済制裁によりロシア経済を疲弊させてしまっただけではないのか。
ロシアのプーチン大統領がウクライナに軍事侵攻したそもそもの目的は、ウクライナのNATO加盟、およびNATOの東方拡大を阻止し、自国の安全保障上の脅威を取り除くことであったはずだ。
しかし、ウクライナへの軍事侵攻が長期化の様相を呈する中、プーチン大統領の思惑とは逆に、NATOの求心力は高まっており、ロシアにとっては侵攻前よりも全方位で安全保障上の脅威が高まるという皮肉な結果を招いている。
ロシアは(主要国による強力な経済制裁により)経済が困窮化するなかでも、貴重な経済資源を軍備に振り向けざるを得なくなり、ますます経済が疲弊していくという悪循環に陥っている。結局、プーチン大統領はウクライナに軍事侵攻してもロシアの安全保障を確保することはできず、主要国による強力な経済制裁によりロシア経済を疲弊させてしまっただけではないのか。
同志社大学大学院の三牧聖子准教授
プーチンの主張とは裏腹に、ロシア軍の総力を挙げた攻撃にもかかわらず、東部戦線は膠着状態に陥っている。たとえロシア軍が一定の戦果を獲得したとしても、ロシア経済の弱体化、国民生活の困窮は避けられない。「勝利」と呼べない現状は明らかだ。
他方、戦争が終わる見込みが見えないことも確かだ。ロシア国内をみると、当初は大規模な反戦デモが展開されたモスクワやサンクトペテルブルク市民も声をひそめている。この原因の1つは、ロシア軍が貧しい地域から新兵を集めてきたことにあるといわれる。ロシアの独立系メディアの調査によると、ウクライナで死亡した約3800人のロシア兵のうち、モスクワ出身はわずか8人、サンクトペテルブルク出身は26人だった。
ロシアには、自家農園や、地縁・血縁を介したインフォーマルな経済交換ネットワークが深く浸透していることもあり、この無益な戦争を終わらせるようと国民が決起する可能性は低そうだ。