【お隣はますます厳しくするそうですが、我が国は?】中国、「反スパイ法」改正案を審議。摘発が一層強化され、恣意的な運用への懸念も
中国が「反スパイ法」改正案を審議するそうだ。
改正案が成立すると、摘発が一層強化され、恣意的な運用への懸念が強まっていると時事通信が伝えた。
中国の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)常務委員会は24日から「反スパイ法」改正案を審議する。
スパイ行為の定義を拡大し、摘発を一層強化する内容で、恣意(しい)的な運用への懸念が強まっている。審議は今回で3回目となり、26日にも採択される可能性がある。
改正案はスパイ行為について、従来の「国家機密の提供」に加え、「国家の安全や利益に関わる文書、データ、資料、物品」の窃取などを盛り込んだ。「国家の安全や利益」の具体的な説明はなく、当局の解釈や運用次第で摘発が増える恐れがある。
「重要な情報インフラ施設のサイバーセキュリティーの脆弱(ぜいじゃく)性に関する情報の提供」もスパイ行為と定義。また、スパイ活動の摘発に科学技術を活用することも明記した。
摘発を担当する国家安全当局の権限も強化する。スパイ行為の疑いがある人物への手荷物検査が可能になるほか、個人や組織の「電子機器、施設、プログラムやツール」の調査や差し押さえができるようになる。「国家の安全」に危害を与え得る国民の出国や、外国人の入国を禁じることもできる。
反スパイ法は2014年に施行され、改正は初めて。今年3月には北京で、同法に違反した疑いで50代の日本人男性が国家安全当局に拘束される事案が発生した。法施行後、これまでにこの男性を含め日本人17人が同法違反などで拘束されているが、容疑の具体的な内容は不明だ。
ただでさえ中国当局による不当拘束が目立つ中、一層厳しくなるようだ。言いがかりの不当拘束が益々増えることも懸念される。日本企業は本格的に中国進出を見直した方がいいかもしれない。とはいえ、こういった中国政府による中国第一の姿勢は日本も見習う点は多々ある。なんせ日本はスパイ防止法すら存在しないのだから。
日本は経済安全保障分野におけるセキュリティ・クリアランス制度等の議論を行っているが、スパイ防止法について同時進行で議論し、成立させるべきではないか。