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検察官が司法!?それなら検察官に対する国民審査と弾劾制度が必要ですよね??

検察官が「司法」だとする言質が、まことしやかに言われている。しかし、言うまでもなく行政組織上、検察は法務省の外局にあたり、当たり前だが行政に属する。

実際、行政に属する検察と、司法を担う裁判所では、検察官と裁判官の扱いは現行法上異なっている。

今日はこの司法制度等についていくつかご説明をさせていただきたいと思う。

司法を担う裁判所の裁判官の諸制度

司法の独立を担保するため、裁判官には、行政官には見られない制度がある。まず、衆議院総選挙と同時に行われる最高裁判所裁判官国民審査制度だ。

この制度は、司法の頂点に位置する最高裁判所裁判官の国民が審査し、解職する制度だ。

日本国憲法第79条に規定される最高裁判所裁判官国民審査は、既に任命されている最高裁判所の裁判官が、その職責にふさわしい者かどうかを国民が審査する解職の制度であり、国民主権の観点から重要な意義を持つものです。

最高裁判所の裁判官は任命された後に初めて行われる衆議院議員総選挙の投票日に国民審査を受け、この審査の日から10年を経過した後に初めて行われる衆議院議員総選挙の投票日に更に審査を受けます(その後も同様)。

引用元 なるほど!「最高裁判所裁判官国民審査制度」

解職については、上記の制度だが、任命については

1.最高裁判所長官は、内閣の指名に基づき、天皇によって任命される。

2.最高裁判所判事は、内閣が任命する。

となっている。

当然、司法の独立を担保するためには、最高裁判所裁判官の解職についてのみ、特別の制度を設けるというわけにはいかない。

その他、下級裁判所の裁判官の解職についても、特別の制度がある。

それが裁判官弾劾制度だ。

日本国憲法は、司法権独立の原則の中核たる裁判官の職権の独立を明文をもって規定する(憲法76条3項)とともに、公務員を選定、罷免する権利は国民の固有の権利であることを規定し(憲法15条1項)、裁判官の身分保障の要請と国民の公務員罷免権の調和を図るために、「裁判官は、裁判により、心身の故障のために職務を執ることができないと決定された場合を除いては、公の弾劾によらなければ罷免されない。」(憲法78条)と規定しました。この「公の弾劾」とは、強い身分保障を受けた公務員に非行があった場合に、国民の意思に基づいてその者の身分を剥奪する特別の手続であり、裁判官弾劾法(以下「弾劾法」という。)で定められた裁判官弾劾制度がこれに当たります。

引用元 (1) 裁判官弾劾制度

上記の説明は、裁判官訴追委員会によるものだが、興味深い一文がある。

それは「強い身分保障を受けた公務員に非行があった場合に、国民の意思に基づいてその者の身分を剥奪する特別の手続」というもの。

「強い身分保障」は、司法の独立、裁判官の独立を保障するためには、必要な措置であることは間違いない。

最高裁判所裁判官国民審査制度や裁判官弾劾制度のような「独立」を守るための制度は、検察には存在しない。

検察官の解職制度は、裁判所と同一ではない!

もし、検察官が、一部の人が言うように、司法を担っているならば、裁判官と同様に手厚い身分保障制度があり、そこには行政として介入する余地はないはずだ。

日本国民なら、皆同じだと思うが、検察官のトップである検事総長の国民審査を行った経験があるだろうか。

その答えは総じて否だ。

検察官の免職については、裁判官弾劾制度と類似した制度がある。それが、検察官適格審査会だ。

検察官が心身の故障、職務上の非能率その他の事由に因りその職務を執るに適しないかどうかを審査し、その議決を法務大臣に通知することを所掌事務にしている。(参考

一見して、裁判官弾劾制度と同様に思えるが、重大な違いがある。それが次だ。

審査会は次の場合,検察官の適格性について審査を行う。

(1)     すべての検察官について3年ごとに定時審査を行う場合

(2)    法務大臣の請求により各検察官について随時審査を行う場合

(3)     職権で各検察官について随時審査を行う場合(注)

引用元 検察官適格審査会

裁判官弾劾制度は、訴追の請求権者を国民としていた。一方の検察官適格審査会は、法務大臣の請求を認めている。

つまり、ここでも検察官は、「司法」としては扱われていないのだ。「司法」として扱われているならば、法務行政のトップである法務大臣が「請求」できるわけがない。

検察官を、どのように捉えれば「司法」になるのか。

野党と既存メディアの常套手段であるレッテル貼りが、その原因だ。誰にでもわかる言葉を使って、国民を煽動する。煽動するのが野党やメディアの役割ではない。

もし、野党内で、本気で検察を「司法」と思っている議員がいるならば、即座に議員辞職をすべきだ。

そして、検察官を「司法」だと勘違いしている人たちには、今一度、三権分立を勉強することを勧めたい。

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