【TPP加入をカードにさせないように】松野官房長官、中国の水産物検査に強い懸念
松野博一官房長官は19日の記者会見で、日本から輸出された水産物の一部が中国の税関で「留め置かれている状況が発生している」と明らかにし、21日の記者会見で「仮に全面的な放射線検査が導入されているとすれば、日本からの食品輸入規制の緩和、撤廃に向けた国際的な動きに逆行するもので、強く懸念する」と改めて批判した。
松野博一官房長官は21日の記者会見で、中国の税関当局が日本からの輸入水産物を留め置いている問題を批判した。「仮に全面的な放射線検査が導入されているとすれば、日本からの食品輸入規制の緩和、撤廃に向けた国際的な動きに逆行するもので、強く懸念する」と述べた。
日本産食品の安全性は「科学的に証明されている」として、中国に対し「科学的根拠に基づいて輸入規制措置を早期に撤廃するよう求める」と語った。
東京電力福島第1原発処理水の海洋放出を巡っては「高い透明性を持って国際社会に丁寧に説明する。中国には科学的根拠に基づいた議論を行うよう強く求める」と改めて強調した。
「中国には科学的根拠に基づいた議論を行うよう強く求める」とあるが、松野官房長官は19日の会見でも「日本産食品の安全性は科学的に証明されており、今後とも政府一丸となってあらゆる機会を通じて中国側に働きかける」と語っていたが、中国がこういう態度に出た場合、いくら科学的根拠をもって説明しても、何か相当な譲歩を日本がしなければ撤回しないだろう。思い当たるのがTPP加入の譲歩だ。英国が先にTPP加入を果たした今、中国の加入はますます困難になる。そうなると日本を落とそうと外交カードにこれを持って揺さぶりをかけてくるのでは?と想像がつく。
確かに中国市場は魅力かもしれないが、まんまと中国の術中に自らハマるのはばかげている。何のためのTPPか。TPP諸国を新たな市場に開拓し、そこから市場の枠を広げていけば中国市場の分はカバーできるはずだ。EUがこの時期に日本産食品の輸入規制の撤廃を公表したのだから、利用しない手はない。他の国や地域へのアピールの後押しになるはずだ。
努力と時間がかかるかもしれないが、中国に依存する方が危険だ。