泉代表、農水相の「汚染水」発言を厳しく批判も、所属議員の発言については有耶無耶に
立憲民主党の泉健太代表が、福島第一原発の処理水を汚染水と発言したことについて厳しく批判した一方で、所属議員が同じく汚染水と発言していることについて問われると有耶無耶な対応で濁していた。
東京電力福島第1原発で出た処理水について野村哲郎農林水産相が「汚染水」と発言し、泉健太代表は2023年9月1日の定例会見で「大事な局面に緊張感を持ってことに当たっているふうには見えない」「気の抜けた対応」などと批判した。
中略
泉氏は、発言は「不適切」、農水相としての資質は「感じられない」と指摘。政府は、多核種除去設備「ALPS(アルプス)」で処理する前の水を「汚染水」、処理後の水を「処理水」と説明しており、海洋放出されているのは「処理水」。野村氏の発言が不適切な理由を
「それ(放出されているのが「処理水」であること)を世の中に伝えていく側の政府であり、また、特に水産業を追う所管をしている大臣で、農水大臣はその意味で不適切だった」
と説明した。辞任を要求するかについては次のように述べ、現時点では明言しなかった。
「農林水産業を所管している大臣が、このような気の抜けた対応を続けるということは、やはり岸田政権に影響を与えると思う。それは岸田政権、岸田総理がどう判断するかということを注視したい」
「党としては、今放出しているものは『処理水』」
その上で、立憲の一部議員も「汚染水」という言葉を使っている点については、「どこでどういう場でどんな文脈で使ったのかは、つぶさに私は分からない」
する一方で、
「党としては、これは間違いなく、今放出しているものは、アルプスの処理を終えた『処理水』だと考えているので、それをより徹底していきたい」
とした上で
「言葉の使い方について、やはり正しい使い方をしていくということが繰り返し求められると思う。『汚染水』という言葉が確かに全部なくなったわけではないが、処理の前の『汚染水』と処理をした後の『処理水』というのは分けて使うというのが、当然のことだと考える」
野村哲郎農林水産相は処理水を汚染水と言い間違えたということだが、これは泉代表が指摘するようにあまりにも緊張感がない。泉代表のおっしゃる通りだ。処理水と汚染水の表現の問題については非常にデリケートな問題になっていて、政府も中国が「核汚染水」と表現していることについて「処理水と表現すべき」と強く抗議している。それなのに政府の中から言い間違いであってもこのような発言があることは信じがたい。庇う余地もなく非難されて然るべきだ。
ここまでならいいのだが、一方、立憲議員らを対象にするといつものお茶を濁すような対応だ。毎度のごとく、自民や政府はダメでもウチはギリギリOKのような態度でいるからいつまでも支持が上がらないのだ。
「党としては、これは間違いなく、今放出しているものは、アルプスの処理を終えた『処理水』だと考えているので、それをより徹底していきたい」「処理の前の『汚染水』と処理をした後の『処理水』というのは分けて使うというのが、当然のことだと考える」と言うが、現状各自バラバラなことを発信していてまとまりが取れていない。立憲は「放出されるのは処理水」で「処理水は科学的に安全と答えが出ている」と言うのならこれを共通認識として、はみ出した議員としっかり議論をして納得してもらうよう努力すべきだ。
立憲の議員も、もしどうしても政府の放出に納得がいかず「汚染水」と表現したいのなら、国を批判する前に党の見解を変更させるよう訴えるべきと考える。その点、共産、社民、れいわは党の見解と個々の議員の発言も一致している。