共同通信「中国、自動車輸出初の首位 日本抜く」と嬉々として報じる「日本勢は、EⅤ戦略の強化が急務となりそうだ」と指摘⇒日本のメーカーはその先を進んでいますよ!
共同通信は28日、中国の自動車輸出台数が日本を抜いたと嬉しそうに報じていた。
中国の自動車輸出台数が2023年に日本を抜き、初めて世界首位となる見通しとなったことが28日、分かった。日本自動車工業会(自工会)が同日発表した1~11月の輸出は399万台だった。中国自動車工業協会によると、中国の1~11月の輸出は441万2千台に達した。前年同期に比べ約6割増えており、年間でも日本を上回るのは確実な情勢だ。
共同通信は「中国凄い」と思わせたいのだろうが、ただ、これはあくまでも輸出の数字で、日本自動車工業会は「わが国の自動車メーカーは米国、ヨーロッパ、中国、インド、東南アジアをはじめとする新興国など世界各国での現地生産に活発に取り組んでいます。こうした現地生産は、メーカー単独あるいは合弁という形で工場を建設して現地従業員を雇用し、現地部品を調達して行われています。また、一部車種やエンジン・トランスミッション等の部品は第三国や日本へ輸出することで現地の経済活性化に寄与しています」と説明していて(参考)、日本の自動車メーカーは現地生産が進んでいる。
実際に2022年のグループ別世界販売台数は、トヨタが3年連続で世界首位となった。以下、フォルクスワーゲン、現代自動車、ルノー・日産・三菱の3社連合と続き、中国企業は上位に入っていない。2023年も大きくは変わらないだろう。
また記事には「中国メーカーは政府の後押しを受けて技術力を高め、低価格で高品質な電気自動車(EⅤ)の輸出を伸ばした。」と、中国がEⅤに重点を置いたことにより輸出を増やしたと指摘している。確かに今はそうだろう。欧米ではEⅤシフトが急速に進み、それにより中国の輸出が伸びたことは否定しない。
共同通信は「輸出の軸をガソリン車に置いてきた日本勢は、EⅤ戦略の強化が急務となりそうだ。」とも指摘している。だが、一方で、米国と欧州の一部の国ではハイブリッドが見直され巻き返しを起している。なぜEⅤを推進してきた欧米がハイブリッドを見直し始めたか。それは電力の問題やスタンドの問題など、100%EⅤは無理があると気付いたからだ。日本のメーカーはそれを見越してEⅤとハイブリッド戦略も進めて、並行して水素エンジンなど、次世代のエンジンの開発に取り組んでいる。
共同通信は「日本勢は、EⅤ戦略の強化が急務となりそうだ」と指摘するが、トヨタ前社長豊田章男氏は「世界の脱炭素化には電気自動車だけが選択肢ではない」と語っていて、現在の佐藤恒治社長も「地域ごとに異なる事情に応じて規制や要求があるのでそれぞれの解決策を持っていることが大事だ」とEⅤだけでなくハイブリッド車や水素で走る燃料電池車などさまざまなタイプの車を投入する「全方位戦略」を推進する考えを示した(参考)。日本のメーカーは共同通信の指摘のその先を進んでいるのだ。
日本のメディアならこういう日本のメーカーの試みを評価して取り上げるべきではないのか?