トヨタ会長「いくらBEVが進んだとしても、市場のシェアの3割だと思う」「エンジン車は必ず残ると思う」。米専門誌も「ガソリン車よりEVは問題が79%多い」と指摘
トヨタ自動車の豊田章男会長が「エンジン車は必ず残ると思う」と述べた。
トヨタの自社メディア「トヨタイムズ」によると、豊田氏は企業経営者や役員に向けて今月行った講演での質疑応答で「いくらBEVが進んだとしても、市場のシェアの3割だと思う」と語った。残りの7割はHVや燃料電池車、水素エンジン車などになるとし、「エンジン車は必ず残ると思う」と続けたという。
豊田氏が新車販売と保有車のどちらに占めるEVの市場シェアを念頭に置いた発言だったかは明らかではない。ブルームバーグNEFによると、2040年に世界乗用車販売の75%、保有車の44%がEVになると予測されている。
中略
EVを巡っては走行中に二酸化炭素を排出しないことなどから各国政府が支援を行っており、欧州や中国を中心に普及が進んでいる。そんな中、トヨタはEVに後ろ向きとの批判にさらされることもあったが、豊田氏は地域のエネルギー事情などに応じた取り組みが必要だとし、EVだけでなくHVなどを含めた多様な選択肢を提供する「マルチパスウェイ」の方針を堅持している。
豊田氏は、今月開幕した世界最大級のカスタムカー(改造車)の展示会「東京オートサロン2024」で、脱炭素化に向けた現実的な手段としてエンジンにはまだ役割があるとして、トヨタとして新たにエンジン開発を進めていくプロジェクトを立ち上げたことを明らかにしていた。
米国の有力専門誌は「電気自動車(EV)はガソリン車よりも問題が79%多い」と指摘。「EVのほか、プラグインハイブリッド車もガソリン車と比べて問題発生率が146%高かった」と指摘している。
t電気自動車(EV)はガソリン車よりも問題が79%多い―。米国の有力専門誌「コンシューマー・リポート」はこのほど、国内の消費者から寄せられた33万台以上のデータの分析結果を明らかにした。「EVはまだ主力車種としては発展途上だ」と指摘している。
エンジンやモーターなどの性能や品質を調べたところ、EVのほか、プラグインハイブリッド車もガソリン車と比べて問題発生率が146%高かった。逆にハイブリッド車は26%少なく、同誌はトヨタ自動車や韓国の現代自動車を挙げて「信頼性の高いメーカーが造っている」と指摘した。
つい最近もEV車の問題が報じられた。
20日には日テレが「米全土で猛烈な寒波…55人死亡 各地で交通事故、電気自動車の充電設備故障で数十台が立ち往生」を報じ、「寒さのため電気自動車の充電設備が故障し、数十台が立ち往生しました」とあった。
18日には中央日報が「「テスラが相次ぎダウン」体感気温氷点下34度の酷寒で電気自動車の墓場になった米国」を報じ、「米国中北部地域を寒波が襲い体感気温が氷点下30度まで落ち込んだシカゴなど一部地域で電気自動車のテスラが充電施設「スーパーチャージャー」で充電できなくなり、放電し牽引される事態が続出しているという」とあった。
充電施設と車両自体の冬の脆さが浮き彫りとなっていた。
また、昨夏には「中国製のEV車が炎上事故多発」が話題となった。「目立つEVの火災事故だが、販売10万台あたりの火災件数はHVが最悪–次いでガソリン車」には「AutoinsuranceEZ.comは、(中略)火災の発生件数などを調べたところ、販売台数10万台あたりの火災発生件数は、HVが3474.5件、ガソリンエンジン車が1529.9件、EVが25.1件だった」と、EV車の火災発生事故率が一番高かった。自動車情報誌のベストカーも「電気の塊と言えるEVは、電気系統が原因の火災をエンジン車より起こしやすいのは自明の理だ。そして現在ではまだ1%にも満たないEVが、急速に増えていくこことは、そうした電装系やEVならではの高電圧系のトラブルが火災を発生させるリスクが高まることにもつながるのだ」と指摘している(参考)。
他にも日本に限ったことではないが、充電施設の充実なども問題もあがっている。
問題点の多いEV車に急速に切り替えるのではなく、エンジン車の可能性をトヨタは追及し、残そうとしている。脱炭素化に向けたエンジン開発を進めようとしているのも、既に数々の問題をクリアしているエンジン車をさらに発展させ、使用者が安心して乗れる車を作ろうとしているのだろう。