泉代表「立民政権なら核兵器禁止条約にオブザーバー参加」一方で、拡大抑止については「日米連携を通じて強化する必要がある」⇒矛盾していませんか?
立憲民主党の泉健太代表は、核兵器禁止条約を巡り、「(立憲が)政権を取った場合は締約国会議にオブザーバー参加する」と述べたという。
立憲民主党の泉健太代表は6日、核兵器禁止条約を巡り、政権を取った場合は締約国会議にオブザーバー参加すると強調した。広島市で記者団の取材に、会議不参加の政府方針を評価できないとした上で「被爆国であるわが国が参加しない理由はない」と述べた。
米国が核を含む戦力で日本防衛に関与する「拡大抑止」については「アジア地域における核の存在が高まっている」として、日米連携を通じて強化する必要があるとの認識を示した。
共産党の田村智子委員長は記者団に、核抑止論の見直しに向けた議論を国会で求めると訴えた。
令和3年、立憲民主党の今井雅人衆院議員が「核兵器禁止条約への日本の参加に関する質問主意書」を提出。この中で「核兵器のない世界の実現に向けた国際社会の取組をリードする使命を有しているとする日本は、このような変化がある中でも、同条約に参加しないのか」とあったが、当時の菅内閣の答弁はこうだ。
我が国は、核兵器禁止条約が掲げる核兵器廃絶という目標は共有している。一方、同条約は、その交渉に当たりいずれの核兵器国等の参加も得られず、また、現実の国際社会における安全保障の観点を踏まえて作成されたものとはいえないことから、核兵器国のみならず、核の脅威にさらされている非核兵器国からも支持を得られていない。現実の国際社会においては、いまだ核戦力を含む大規模な軍事力が存在しており、そのような厳しい安全保障環境の下で我が国として安全保障に万全を期するためには、核を含む米国の抑止力に依存することが必要である。我が国としては、核兵器のない世界の実現に向けて、核兵器の非人道性と安全保障の二つの観点を考慮しながら、現実的かつ実践的な核軍縮のための措置を着実に積み上げていくことが重要であると考えている。
こうした我が国の立場に照らし、同条約に署名する考えはなく、また、御指摘の「締結国会議にオブザーバーとして参加すること」については、慎重に見極める必要があると考えている。
我が国としては、核軍縮の進展のため、我が国が平成六年以降毎年国連総会に提出し、採択されている核兵器廃絶決議に係る取組や我が国と核軍縮・不拡散に対する志を共有する国が構成する「軍縮・不拡散イニシアティブ」における取組等を引き続き行ってまいりたい。引用元 https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/b204001.htm
また、2023年の平和祈念式典後、被爆者団体の代表らが、岸田総理に核兵器禁止条約の締結や、同条約の締約国会議へのオブザーバー参加などを求めた。しかし、岸田総理は「核兵器禁止条約は核兵器のない世界をめざすにあたって重要な条約である。ただ、核兵器国が行動しないと何も変わらないという厳しい現実がある」と指摘。「核禁条約に参加していない核兵器国を条約にどれだけ近付かせることができるか、具体的な取り組みとして求められる」と述べていた(参考)。
現在の核兵器禁止条約については、存在意義と目標は共有できるが、核保有国が参加していないことからあまり意味のない状態だ。
もうひとつ日本が参加できないのは「拡大抑止」だ。
拡大抑止とは、核兵器を含む米国の戦力による抑止力を同盟国の防衛にも適用することだが、泉代表は「「アジア地域における核の存在が高まっている」として、日米連携を通じて強化する必要があるとの認識を示した」とのこと。その認識を持ちながら核兵器禁止条約にオブザーバーとしてでも参加するというのは矛盾していないだろうか。日本は中国・ロシア・北朝鮮という核保有国に対峙している為、米国の核を含む戦力を抑止力として必要としている。菅内閣の答弁にも「我が国として安全保障に万全を期するためには、核を含む米国の抑止力に依存することが必要である」とある。だから日本は核兵器禁止条約の目標を共有するものの参加できないのだ。核兵器禁止条約に参加しながら米国の核に依存していてはダブルスタンダードだ。立憲はダブスタが得意だろうが、普通はそうではない。
泉代表はもっと現状を把握し、矛盾しないことを発言しないと、政権交代どころか代表の座も危ういのでは?