
厚労省、次期年金制度改革で「第3号号被保険者制度(3号)」の廃止を盛り込まない方針
厚生労働省は、来年の通常国会に法案の提出を目指している年金制度改革で、「第3号被保険者制度(3号)」の廃止を盛り込まない方針をとったようだ。
厚生労働省は、来年の通常国会に法案の提出を目指している年金制度改革で、会社員らに扶養される配偶者が年金保険料を納めなくても基礎年金を受け取れる「第3号被保険者制度(3号)」の廃止を盛り込まない方針だ。パート従業員らの働き控えを招く「年収の壁」の温床と批判され、日本商工会議所や連合などが将来的な廃止を求めていた。直ちに廃止すると不利益を被る人が多いため、本格的な議論は5年後の次回以降になるとみられる。
中略
年金制度改革を議論する厚労省の社会保障審議会年金部会では、これまで3号のあり方を複数回議論している。委員からは「女性の就労を阻む」と廃止を求める意見が上がる一方、「3号には所得保障機能がある」などと存続を求める声もあり、現段階で議論は収束していない。
年金制度は5年に1度見直されており、厚労省は次回以降、廃止するかどうか本格的な議論を始める方向だ。当面はパート労働者が厚生年金に入りやすくなるよう要件を緩和し、3号からの移行を目指している。
記事は毎日新聞のもので「専業主婦優遇「3号」廃止見送り 厚労省、次期年金制度改革で」とのタイトルだが、「3号」が「専業主婦優遇」と断じてしまっていいのだろうか。
少子化問題にも繋がり得る案件だと思うので、慎重に議論していただきたい。
ネットの反応

第3号被保険者(会社員や公務員の配偶者のうち専業主婦)は減少傾向にあるとはいえ全国で676万人にも上る。「専業主婦が国民年金の保険料を納めないのは不公平だ」として、これをいきなり廃止すれば、(専業主婦のいる)片働き世帯のほうが共働き世帯に比べて世帯単位での年金保険料の負担が重くなり、逆に不公平な制度になってしまう。
「働かずに年金を受け取れることに対する不公平感も残る」という指摘もあるが、専業主婦が行う家事・育児は市場評価されていないだけで労働していることに変わりはない。実際に外に出て働くと仮定して家事・育児を市場評価すれば、その報酬は年収換算で300万円を超える。専業主婦が働かずに年金を受け取っているという指摘は当たらない。



3号は主婦年金とも呼ばれ専業主婦の年金確保を目的として制定されたもので、本文指摘の通り設立当初より数は減らしていますが、未だなお多くの人が恩恵を受けています。また日常生活は世帯単位で行われるのが常であり、「夫婦どちらかが就労する世帯・夫婦共働き世帯・単身世帯とも、一人あたり賃金水準が同じであれば、どの世帯類型でも負担・給付が同じになる構造となっていること、多様な属性の者を含む第3号被保険者の所得保障の柱として機能している制度」(同部会資料より)であり、生活単位となる世帯ベースでの公平性のための制度に他なりません。企業の要請で専業主婦(夫)の選択を阻害すると解釈されても止む無しです。
イソップ寓話の「北風と太陽」を思い起こさせます。
