
入管難民法改正案の質疑で与野党間で激論。「官製ヘイト」を巡り対立
19日の参院法務委員会において、在留手続き手数料の上限引き上げを盛り込んだ入管難民法改正案の質疑が行われ、政府の外国人政策を巡り与野党間で激しい論戦が交わされた。
立憲民主党の石橋通宏氏が、法務省や出入国在留管理庁の対応があまりに偏っているとし、いわれのない外国人に対する「官製ヘイト」を巻き起こしていると厳しく批判するなど、入管難民法改正案に伴う「在留手続き手数料の大幅な引き上げ(負担増)」と、それに伴う「今後の日本の外国人受け入れのあり方(国家像)」に対する根本的な理念の対立から激論となった。
手数料引き上げの捉え方と「受益者」の議論
立憲の牧山弘恵氏は、値上げは実質的な「取りやすいところから取る」姿勢であると非難。「本当の受益者は人手不足を補ってもらっている日本人ではないか」と指摘し、外国人側だけに負担を強いる不公平さを訴えた。
これに対し政府・自民党の立場として、40年以上にわたり据え置かれていた手数料を国際水準に合わせ、適正な出入国管理を行うための「相応の負担」を外国人に求めるものであると説明した。
「官製ヘイト」を巡る対立
石橋氏は、政府の政策方針にある「受け入れ環境整備・秩序ある共生」という表現に対し、「あえて『秩序ある』という余計な文言を入れるのは、現に秩序がないかのような偏見を生む」と猛反発。さらに、法務省・入管庁の姿勢が不法滞在対策に偏りすぎているとして、これらが「官製ヘイト」を巻き起こし、人権侵害を助長していると厳しく追及した。
政府側は「ヘイトであるとは全く考えていない」と一蹴。一部の不法滞在者に対して厳格に対処することこそが、日本人と外国人の双方が安全に暮らせる「秩序ある共生社会」のために不可欠であると主張した。
自民党の山谷えり子氏は、「45年間にわたって据え置かれてきた手数料だ。当時から比べると短期滞在者は28倍以上、在留外国人は5倍以上に増えている」と指摘したうえで、違法民泊、医療費の不払い問題、外国人による土地取得などを挙げ、「国民の不安はとても大きい」と言及。安易に労働力を外国人に依存し続ける現状に対して「改めて立ち止まって深く考えるべきときだ」と警鐘を鳴らし、労働力不足を補う目的の(事実上の)移民政策を進めるべきではないという慎重な立場を強調した。
なぜ「共生」から「秩序ある共生」へと舵を切ったのか
急速な外国人住民の増加に伴い、一部の外国人による我が国の法やルールの逸脱、生活習慣の違いによる摩擦、犯罪・迷惑行為が顕在化した。これらに対し、国民の間に生じている「安全・安心への不安」や「不公平感」に真摯に向き合い、解消する必要があると判断したためだ。
政府は「排外主義(外国人を一律に排除する考え方)とは一線を画す」と明言している。単なる外国人排除に向かうのではなく、ルール違反には毅然と対応する(秩序を守る)という姿勢を示すことで、かえって日本人と外国人の双方が安全に暮らせる「持続可能な共生社会」の土台を築けると考えたからだ。
「秩序」と「共生」は対立するものではなく、「秩序は社会の土台であり、共生を持続させるために不可欠なもの」という認識が、この方針転換の根底にある。


