
【「ファイブアイズ」が警告】中国スパイ、求人サイトで暗躍 日本でも警戒急務
米英豪カナダ・ニュージーランドの情報共有枠組み「ファイブアイズ」は6月3日、中国軍事情報機関によるオンライン求人サイト悪用を警告する異例の共同文書「Safeguarding Our Secrets」を公表した。中国側がLinkedInやIndeed、Upworkなどのプラットフォームに偽の求人広告を大量掲載し、政府・軍関係者や研究者から機密情報を引き出そうとする手口を詳細に暴露したものだ。
文書によると、手口は5段階に及ぶ。まず「外交政策アナリスト」や「防衛コンサルタント」といった魅力的な偽求人を出し、応募者の履歴書(CV)を精査して標的を選定。接触後、関係を構築し、最初は「対中関係」や「インド太平洋安全保障」に関する非機密の「お試し報告書」を依頼する。報酬はPayPalなどで数百~数千ポンド(数十万~数百万円)と高額で、徐々に機密性の高い情報要求へエスカレートさせる。被害者は「大した情報ではない」と油断しやすい点が危険視されている。
ファイブアイズは特に防衛・外交分野の現役・退職者、大学研究者らを狙った「積極的募集戦略」と指摘。西側諸国で開発されたサービスを逆手に取った巧妙な手法に警鐘を鳴らした。
日本でも同様の脅威が高まる可能性がある。産経新聞が9日までに報じたところでは、Indeedなどを活用した事例が確認されており、防衛省OBや自衛隊関係者、関連企業技術者が標的となりやすいと懸念される。日本はスパイ防止法が整備されていないため、情報漏洩への法的対応が不十分だ。政府・企業は不審な高額コンサル依頼に注意を呼びかけ、履歴書提出や報酬受領の際は所属機関に相談するよう求められている。
中国外務省と在英大使館は「完全にでっち上げの悪意ある中傷」「茶番」と強く反発。「ファイブアイズこそ最大の諜報ネットワーク」と逆非難した。デジタル化が進む中、日常的な求人サイト利用が諜報の入口になる現実が浮き彫りになった。専門家は「意識改革が急務」と指摘する。政府関係者や機密アクセス権を持つ人は、怪しい接触に即座に警戒を。個人情報保護と国家安全保障の両立が問われている。


