一見もっともらしい「対話論」の危うさ  伊佐進一氏の訪中説明に見る、外交素人の危険性




いさ進一衆議院議員の訪中経緯説明は、一見極めてまともだ。「日中関係は1972年以来最悪」「パイプが完全に失われ偶発衝突の恐れもある」「だから対話の窓口が必要」「日本の国益を主張する」。説明自体は正論に聞こえ、批判を覚悟した信念表明も立派に映る。

しかし、この「もっともらしさ」こそが問題の本質である。中国外交で重要なのは言葉の内容ではなく、どんなシグナルを送るかだ。投稿が発するメッセージは「関係悪化で困っているのは日本も同じ」「だからこちらから提案して訪中する」という弱さの証明に他ならない。中国は力と意志をシビアに読む。自ら訪中した事実自体がすでに交渉力を削ぎ、核心的利益で中国が折れることはない。結果は宣伝材料が増え、国内批判が高まり、政府の余力が狭まる悪循環だけだ。

現在政府は日米同盟を軸にクアッドやASEAN、太平洋島しょ国との連携を強化し、毅然とした姿勢でネットワーク型抑止を構築している。そこに議員が「対話が必要」と訪中すれば、中国に「日本は分裂している」、同盟国に「メッセージが一貫しない」、島しょ国に「日本は本当に強いのか」と疑念を与え、積み上げた外交の威力を自ら毀損する。

経済パイプは民間に任せ、政治は圧力か丁寧な無視が妥当だ。善意や信念だけでは外交は成り立たない。計算とシグナル管理の世界である。外交の素人が余計なことをしないでほしい。




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