山添拓氏の防衛産業再編批判に見る論理の矛盾と現実




読売新聞が報じた「防衛事業を再編する企業に国が出資し継戦能力を確保する」方針に対し、共産党の山添拓氏は「軍需産業は民需がなく軍事費と武器輸出で利益を支え、それでも国が再編を促す。継戦能力確保は戦争長期化を前提とし抑止力と矛盾し、軍事費を際限なく拡大する無謀な理屈」と批判した。

しかし、その主張には現実の防衛環境や論理と齟齬があるとの指摘も多い。

防衛産業の現状は「軍需支援」ではなく「基盤崩壊の阻止」

山添氏は「軍需産業の利益を国が支援する」と批判する。しかし実際の防衛産業は低利益率や撤退の相次ぐ深刻な状況にあり、過去20年で100社以上が撤退した。政府の支援は企業を利するためではなく、崩壊寸前のサプライチェーンを維持するための防衛措置である。

「継戦能力」は戦争長期化のためではなく「抑止力」そのもの

山添氏の最大の飛躍は、「継戦能力=戦争の長期化を前提」との解釈にある。正しくは「有事の際に長期間、我が国を守り抜くための持続的な生産・補給能力」を指す。
抑止力は相手のコスト計算を変えることで成立する。短期で決着がついてしまう脆弱な状態では、相手は「短期決戦で押し切れる」と判断しやすい。逆に、長期にわたり粘り強く防衛できる基盤があれば、「侵攻のコストとリスクが高い」と相手に認識させ、攻撃自体を思いとどまらせる抑止効果を生む。
「想定して備える」ことと「戦争を望む・前提にする」ことは別物だ。火災保険や耐震補強と同じ論理である。さらに憲法9条の制約上、我が国が先に戦争を仕掛けることはあり得ない。防衛力の強化は専守防衛の枠内での「守り切る力」の整備に過ぎない。

共産党の主張に見る論理的矛盾

共産党は従来、米国からの爆買い(FMS)を批判してきた。それならば国内の生産・整備基盤を強化・再編することが合理的な解決策となるはずだ。自前での防衛力強化に反対しつつ、米軍依存も排する姿勢は、結果として防衛力の空洞化を招くリスクが高い。

まとめ:現実的な安全保障に必要な視点とは

言葉のレトリックによる危機感のあおりではなく、現実の情勢を捉えた議論が求められる。専守防衛の枠組みにおいて、周辺国の急速な軍備拡張に対処し日本の安全を守るためには、国内防衛産業の基盤維持と持続可能な抑止力の構築が避けて通れない課題だ。




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