
防衛費で鉄道整備を検討 有事への備えは災害支援にもつながる、問われるインフラ強靱化の視点
政府が、防衛力の抜本的強化を目的とした防衛関連経費の対象に、鉄道整備を追加する検討に入った。共同通信の報道によると、年末に改定する安全保障関連3文書に鉄道整備の重要性を明記する方向だという。有事に自衛隊の部隊や防衛装備品、補給物資を輸送するルートを確保し、継戦能力の強化につなげる狙いがある。
現在、公共インフラ整備の主な対象は空港と港湾である。鉄道が加われば、民間需要が少ない路線の維持なども検討対象になるとみられる。
この方針を考えるうえで重要なのは、防衛と災害対応の両面からインフラの役割を捉えることだ。
2024年の能登半島地震では、道路の寸断や土砂崩れなどによって、被災地へのアクセスが困難になり、救援活動や支援物資の輸送に大きな支障が生じた。道路が寸断されれば、自衛隊などの救援部隊を送り込むことも、必要な物資を届けることも難しくなる。代替ルートや複数の輸送手段を確保しておくことの重要性が、改めて浮き彫りになったのである。
鉄道だけではなく、橋梁や道路、トンネルなども同様だ。防衛上重要な輸送経路を平時から整備し、維持しておくことは、有事への備えになるだけでなく、大規模災害が発生した際の救援能力の向上にもつながる。
ただし、ここで注意したいのは、あらゆる公共事業を防衛費で賄えばよいという話ではないことだ。防衛関連経費として計上する以上、自衛隊の輸送や部隊運用など、安全保障上の必要性が明確でなければならない。一般的な老朽化対策や地域振興のための事業とは区別し、対象を選ぶ基準や費用負担を透明にする必要がある。
防衛費の議論では、予算の規模やGDP比ばかりが注目されがちだ。しかし、重要なのは金額だけではない。いざというとき、必要な人員や物資を確実に運べるインフラが整っているかという視点も欠かせない。
防衛上必要なインフラを整備した結果、災害対応能力も高まる。安全保障と防災の双方に資する投資として、どこに何を整備すべきなのか。能登半島地震の教訓も踏まえ、具体的な議論を進めるべきである。
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