中国政府は、コロナワクチンを外交の道具にして、南シナ海などの諸問題も封じる目論見。石破氏さん、それでも「習近平に礼儀を尽くすべき」「米中二者択一を選ばない」というのですか?
7月後半から8月にかけて、再び感染拡大した新型コロナウイルスも、9月に入り再び抑え込まれつつある状況だ。しかし、これから冬に向けて、三度拡大するのではないかという不安を抱える国民も少なくない。
やはり本当の意味で国民が安心できるのは、治療薬であるワクチンが完成してから。
各国の製薬会社がワクチン開発を急ぐも、「拙速な承認申請はしない」と安全性確保を優先
欧米はじめ、日本でもワクチン開発を急ピッチで行っている最中だが、朝日新聞は、ワクチン開発を行なっている企業が「拙速な承認申請はしない」と報じた。
新型コロナウイルスのワクチン開発を行う世界の製薬・バイオ企業9社が8日、ワクチンの拙速な承認申請はしない、とする異例の共同声明を発表した。
申請には安全性と効果の証明が必要だとした。ワクチンは感染拡大を収束させる切り札として期待されるが、政治的思惑で承認プロセスがゆがめられるとの懸念を打ち消す狙いがある。
もちろんその通りだ。政治的思惑で安全性が確保できない状況で承認申請されても、受ける側としては「本当に大丈夫か?」とワクチンに対して恐怖を覚えかねない。
また、新型コロナウイルスは全世界共通の敵で、その敵に打ち勝つために政治的思惑など介入してはいけないと政治知新は感じている。
新型コロナウイルスで各国から批判を受けている中国がワクチン開発を急ぐ
しかし、そんな世界の製薬会社と相反して、中国は開発を急ぎ、世界に中国産ワクチンをアピールしている。
中国の首都北京で開催中の見本市で、国産の新型コロナウイルスワクチンが初めて公開された。中国は今、同ウイルスの流行に絡み、成果を強調する姿勢を示している。
(中略)
どちらのワクチンもまだ市場には出ていないが、両社共に、重要な第3相臨床試験の終了後、年末にも承認されることを見込んでいる。
新型コロナウイルス感染拡大の初期対応をめぐり諸外国から批判を受ける中国は、別のストーリー展開を目指そうとしてきている。
(中略)
また、世界経済に打撃を与えてきたこの前例のない公衆衛生への脅威に直面した中国のリーダーシップと回復力を示すため、国産ワクチン開発における進歩を前面にアピールしている。
ワクチン開発において、他国に先んじて完成させ、アピールする思惑が透けて見える。
記事では「重要な第3臨床試験の終了後~」とあるが、おそらく、海外の製薬会社もここまではこぎつけていると思われるが、この第3臨床試験は通常、7年かかると言われている。(参考)
製薬会社も慎重になるわけだ。しかし、中国は政治的思惑からここも急ピッチでクリアさせ、年内の承認を目論んでいる。これは、ワクチンの安全性も疑われることを意味する。
なぜそんなに急ぐのか?
記事では「別のストーリー展開を目指そうとしてきている」とあるが、中国はワクチンを外交の切り札としようとしているのだ。
中国はワクチンの早期開発で世界的優位に立ち、領土問題でも優位に立とうとしている。
産経新聞が中国のワクチン外交について以下のように報じた。
ワクチンは外交の武器ともなりうる。習氏は6月、アフリカ各国首脳とのテレビ会議で「ワクチンの実用化後、いち早くアフリカ諸国の使用を実現する」と強調した。米欧のワクチン争奪戦で入手が困難視される開発途上国を助け、影響力を広げようとの狙いがにじむ。5月のWHO総会では、中国のワクチンを「世界の公共財」にするとも述べた。
フィリピンも中国のワクチンの優先利用を求め、中国側は「友好的な隣国であり、考慮したい」(汪文斌(おうぶんひん)外務省報道官)と前向きな姿勢だ。実現すれば、フィリピンが中国と争う南シナ海の領有権の主張を控える可能性も指摘されている。
最近、何か似たようなことがあったと思った人もいるだろう。そう、マスク外交だ。
中国は、新型コロナウイルスの発生地という、世界中に拡大したイメージ悪化を解消しようと、各国にマスクや医療用品などを贈る「マスク外交」を大々的に展開した。当初は歓迎もされたが、その後は不良品マスクが発覚し、返品の山となった。イメージアップどころか印象をより悪くした。
しかし、今度は先進国以外の海外を相手に、ワクチン外交を展開しようとしているのだ。そして、記事にもあるように、東南アジア諸国に外交支援を行うことで、南シナ海の問題において主導権を握ろうとしている。一帯一路のバラマキとまるで同じことをして、支援を受けた国の発言を封じようとしているのだ。
本来、中国が招いた新型コロナウイルスの世界的感染なのだから、無条件で各国に奉仕するのが人道だ。当たり前だ。
だが、それを逆手に取り、外交上優位に立とうとするなど、ネットでも囁かれている、「中国が人工的にウイルスを製造し、世界にまん延させた」という陰謀説が存在しても仕方ないことだ。
そして、そんな中国に礼を尽くせ、米中二者択一を選ばない、というのが、現在総裁選を争っている石破茂氏だ。
石破茂氏「礼儀は礼儀として、きちんと尽くさねばならない」
石破氏は「総理が国賓としての来日を要請した、お招きしたということは事実としてあるわけで、それをやめてくれということはこれから先どういうことになるのかということもよく考えねばならんことです」「礼儀は礼儀として、きちんと尽くさねばならない」として、党の外交部会などが、習主席の国賓としての来日を中止するよう政府に求めたことを批判した。(参考)
自民党が習主席の国賓来日を見送った背景には、尖閣問題があったことは言うまでもない。こちらが礼儀を尽くしても、相手が礼儀知らずなら、それ相応の対応をしなくてはならないのが外交だ。
礼儀知らずな相手に対して、礼儀を尽くすのは、それはもはや従属だ。今回の新型コロナウイルスの対応を見ても、中国のウイルス外交は、明らかに礼儀知らずな外交だ。先進国から必ず反発が起こるだろう。それでもまだ礼儀を尽くせと、石破氏は言うのだろうか?だとしたら、絶対石破氏は総理にしてはいけない人物だ。