経済界からも日本学術会議の大改革を求める声が寄せられる!「科学技術のデュアルユース(軍民両用)や組織の独立性の確保などに向けてより踏み込んだ議論が必要だ!」
6人の就職問題でしかないのに長引く日本学術会議の問題。野党らは、日本学術会議を利用し、政権批判一辺倒だ。
しかし、日本学術会議に対しての改革の声が、多くの学者から上がっている。その改革の声は学者に留まらず、何と経済界からも上がった。
日本学術会議は、その設置法で、「科学の向上発達を図り、行政、産業及び国民生活に科学を反映浸透させることを目的とする」としていることから、経済界からも改革の声が上がるのは自然の流れと言える。(参考)
経済界からの声では、日本学術会議が出した悪名高い声明、「軍事的安全保障研究に関する声明」に対して真っ向から対立する意見も出された。
経済界が悪名高い“軍事研究禁止声明”を批判!
経済界と会談をしたのは、日本学術会議を所管する井上科学技術担当相だ。その会談の席には、経済同友会の前代表幹事の小林喜光氏、総合科学技術・イノベーション会議の議員を務めるNTTの篠原弘道会長、富士通の梶原ゆみ子理事らが参加した。
この会談では、日本学術会議が過去に出し、大学が被害を被った「軍事的安全保障研究に関する声明」に対して、反対とも取れる意見が出た。
篠原氏は科学技術の軍民両用について、「今のままでは稚拙な議論ではないか」と問題提起したと明かした。同氏は「サイバーセキュリティーは民間にとっても非常に重要な技術だが、ほとんど軍事の技術と変わりがない」と指摘。民間企業が他国軍の標的となる可能性があるとした上で「もう少し冷静な議論をしなければいけないと思う」と述べた。小林氏は「国家安全保障とサイエンスはほぼ境界がなくなっている時代だ。米中のはざまで日本がどう生きていくかの議論が重要だ」と指摘した。
まさにド正論だ。安全保障と科学の境界がなくなってきている時代に、日本学術会議が出した「軍事的安全保障研究に関する声明」は、あまりに稚拙かつ冷静さを欠いたものだった。日本学術会議は時代を見通すことよりも、学問の大切さよりもイデオロギーを優先したのだ。
さらに経済界では、日本学術会議の現状について疑問を持つ声が多いというのだ。
日本学術会議は言葉だけの「独立」ではなく、実質的な独立を!
日本学術会議を政権批判の道具にしている野党やメディアからは、日本学術会議の独立性に言及しているものが散見される。しかし、国から予算が投じられ、事務局も内閣府からの出向で賄っている日本学術会議は、そもそも独立していないのだ。
この点に関して、経済界では、日本学術会議の実質的な独立を求める声が大きいという。
経済界では、学術会議の在り方について、政府から独立した組織形態を取るよう求める意見が多い。米英など主要国の科学学術団体は政府からの財政支援は受けるが政府とは独立した組織だ。米科学アカデミーは民間非営利団体(NPO)、英王立協会は非政府組織(NGO)という立場を取る。日本学術会議も、社団法人や国立大学法人のような特別の法人といった形態への変更を例示する。
日本学術会議は、日本を代表する機関と自画自賛しているが、欧米のアカデミーとは、天と地ほどの差がある。
先日も、アメリカ科学アカデミー会員の山本尚シカゴ大名誉教授が、日本学術会議を全否定する発言を行った。
菅政権には、経済界からの要望も踏まえて、日本学術会議を徹底的に改革していただきたい。日本学術会議も自画自賛を繰り返すのではなく、他者からも称賛されるアカデミーにする自助努力を行うべきであろう。