県政史上初の辞職勧告決議案が賛成多数で可決 川勝知事は辞任を否定「深刻に受け止めている。年末にかけて猛省の期間にしたい。生まれ変わった気持ちで仕事をする」
不適切発言で、川勝平太静岡県知事に対する辞職勧告決議案が賛成多数で可決された。決議案には法的拘束力がなく、臨時会後、川勝知事は辞職を否定し任期を全うする考えを示した。また、12月の月給とボーナスは全額受け取らない考えを示した。静岡県知事に対する辞職勧告決議が成立したのは県政史上初。
川勝知事は、参院選静岡選挙区補欠選挙で野党系候補の応援演説に立った際、御殿場市について「あちらはコシヒカリしかない。飯だけ食って、それで農業だと思っている」と発言した。一方で、「こちら(浜松市)にはウナギがある。何でもある」などと主張していた。この発言に対する苦情が相次ぎ、最大会派の自民改革会議は、法的拘束力のある不信任決議案の提出を検討。しかし、可決が難しい見込みとなったとして辞職勧告決議案に切り替え、出席議員66人(議長を除く)の記名投票で、賛成47、反対19で可決された。
川勝知事辞職勧告決議全文
静岡県の川勝平太知事が10月の参院静岡選挙区補欠選挙の応援演説で御殿場市を「コシヒカリしかない」などと揶揄(やゆ)したような発言をめぐり24日の県議会臨時議会で、自民党と公明党の両会派から提出され可決された知事辞職勧告決議と、御殿場市民から提出され可決された知事辞職を求める請願の全文は次の通り。
【辞職勧告決議】
川勝知事は、かねてから不適切な発言を繰り返しており、そのたびに、本会議等において、不適切な発言は二度としないと県民や県議会に対して誓ってきた。
こうした中、去る10月23日には、またもやそれを裏切り、参院静岡補選の応援演説で、県政の最高責任者にもかかわらず、本県の一部地域を差別し辱(はずかし)め、本県を分断する発言により県民の心を深く傷つけるとともに、県政の停滞と混乱を招いたことは、言語道断であり断じて容認できず、全くもって知事としての資質を欠いていることが明白となった。
更に、発言が報道されるようになってからの対応を通じて、知事の言行を諫(いさ)めることが出来ない県庁組織の現状が明らかになったと言える。県庁内に忖度(そんたく)が蔓延(はびこ)り、知事にとって耳障りの悪い話は遠ざけられている。県庁組織の知事に対する無批判の追従による県政の停滞は看過できない。
よって本県議会は、静岡県知事川勝平太君に対して、知事の職を辞するよう勧告する。
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【知事辞職を求める市民からの請願】
去る10月23日、川勝知事は、参院静岡補選の応援演説で、「人口8万人強しかないところの市長をやっていた人物と、80万人都市遠州の中心、浜松市が生んだ市議会議員をやり、県議会議員をやった青年とどちらを選びますか」「あちらはコシヒカリしかない。ただ、飯だけ食って、それで農業と思っている。こちらにはウナギがある、それからシラスもある、三ケ日ミカンもある、何でもある」「あちらは観光しかありません。それしか知らないんです」と御殿場市を侮辱する発言をした。
言うまでもなく、御殿場市も静岡県の大切な一部であるとともに、35市町がそろってこその静岡県であるにもかかわらず、県政の最高責任者である知事が、あろうことか県の一部地域を差別し、厚める発言をしたことは、言語道断であり断じて容認できない。
また、この発言について、11月2日、沼津市での東部地域サミットの冒頭あいさつでは、「選挙の中で誤解されることがあり、市長には御迷惑をかけたということで、おわびを申し上げる」と述べているが、今回の発言は侮辱的発言であることが明白であるにもかかわらず、誤解されたなどと言い訳に終始し、全く反省の色は見られない。
さらに、川勝知事はかねてから不適切な発言を繰り返しており、その都度、本会議等において、不適切な発言は二度としないと県民や県議会に対して誓っているにもかかわらず、それをも裏切り、再度このような発言に及んだものであり、到底許されるものではなく、もはや知事としての資質を欠くものと言わざるをえない。
よって、以下について請願する。
(請願事項)川勝平太知事は知事の職を辞すること。
https://www.sankei.com/article/20211124-P7YXT2ZPTRK75IX6VTGCBXNKOQ/
閉会後、川勝知事は「深刻に受け止めている。これから年末にかけて猛省の期間にしたい。来年は生まれ変わった気持ちで仕事をする」と謝罪した。