海上自衛隊、南シナ海で日本版「航行の自由作戦」を春から複数回行っていた
アメリカが行った「航行の自由作戦」は南シナ海での中国の過剰な海洋権益主張を否定する作戦だ。日本も支持を表明していたが、参加まではしていなかった。しかし、読売新聞が、海上自衛隊が2021年春から複数回にわたり日本版「航行の自由作戦」とも言える活動をしていると報じた。
海上自衛隊の護衛艦が2021年春から複数回にわたり、中国が南シナ海で領有権を主張する人工島や岩礁の近海を航行していたことが分かった。米国が南シナ海で展開する「航行の自由作戦」と同様、中国の一方的な現状変更の試みをけん制するのが狙いだ。日本版「航行の自由作戦」とも言える活動で、中国が沖縄・尖閣諸島など日本周辺の海域で活動を活発化させていることも背景にある。
複数の政府関係者が明らかにした。海自による航行は菅政権下の21年3月に始まった。海自の護衛艦が、中国のほかベトナム、フィリピンなどが領有権を主張する南シナ海南部のスプラトリー(南沙)諸島周辺の公海を航行。航行エリアは、中国の独自の主張に基づく「領海」の外側で、「接続水域」にあたる海岸から12~24カイリ(約22~44キロ・メートル)内だった。護衛艦の活動は政府の国家安全保障会議でも菅首相(当時)に報告していた。
21年8月には、別の護衛艦が、スプラトリー諸島周辺で同じように航行した。3月、8月のいずれも、中国の主張に基づく「領海」は航行していないという。他国海軍との共同訓練や中東方面に派遣された護衛艦の行き帰りなどの際に実施された。
南シナ海は、石油資源の輸送などで重要なシーレーン(海上交通路)で、米軍がインド洋や中東方面に展開するうえで必須のルートとなる。中国は14年以降、スプラトリー諸島の各岩礁を人工島化した上で、権益を一方的に主張している。スプラトリー諸島には3000メートル級の滑走路も整備し、軍事拠点化も進めてきた。
日本政府は、護衛艦の航行は「公海上の航行であり、何ら問題はない」(政府関係者)との立場だ。防衛省幹部は「国際法をゆがめている中国に対し、航行の自由、海洋の法秩序を守るよう警告する意味がある」と述べ、意義を強調する。
日本政府は米国の「航行の自由作戦」への支持は表明してきたが、周辺国との摩擦などを懸念し、作戦へは参加していなかった。
https://news.yahoo.co.jp/articles/1d279e97ecff37862361b6d5a569348410b43f8f
海上自衛隊は独自で自由で開かれたインド太平洋を守る活動をしていた。菅政権での活動を岸田政権でも継承しているということだろうが、なぜもっと早くに公表しなかったのだろうか。
シーレーンの確保防衛は必須だ。今後もこのような活動は継続してもらいたい。それと、もっとマスコミにはこういう件をしっかり報じてもらいたい。