中国の人権問題に北京五輪のスポンサー企業がほぼ無言「企業にとって、批判することで中国の消費者を怒らせるリスクは大きい」
北京五輪が4日に開幕される。
アメリカやイギリスなどが人権問題の懸念で外交ボイコットを表明する中、中国政府は25の国から国家元首などが開会式に出席すると表明した。NHKの報道によると「ロシアのプーチン大統領や旧ソビエトの中央アジアの5か国の大統領など25の国の代表が中国を訪れ、習近平国家主席が歓迎レセプションを行うと発表しました。また、国連のグテーレス事務総長やWHO=世界保健機関のテドロス事務局長なども中国を訪れるということです」(参考)ということだ。身内だけが集まる印象しかないが、その中に国際機関のトップがいることが腑に落ちない。
一方でスポンサーはどう思っているのか?米紙ニューヨーク・タイムズは北京五輪のスポンサー企業がほぼ無言を貫いているとしてその理由を挙げた。
来月4日に北京五輪・パラリンピックの開幕を控え、世界243の人権団体や非政府組織(NGO)が、中国政府による新疆ウイグル自治区でのウイグル族へのジェノサイド(民族大量虐殺)などを指摘し、政府代表団を派遣しない外交ボイコットを世界に訴えている。そんな中、米紙ニューヨーク・タイムズは、北京五輪のスポンサー企業がほぼ無言を貫いている理由を30日までに分析し、報じた。
「五輪スポンサー企業のほとんどは、人権侵害に抗議する声に対して無視を決め込み、むしろ中国と新たに出現しつつある消費者層を喜ばせ続ける道を選択した」
また、「中国における人権侵害問題は、結局は国際企業の利益を脅かすほどの反発を生み出さなかったし、怒れる中国の消費者は(人権侵害を批判する企業製品の)不買運動をあおり立てている」と指摘している。
実際、人権侵害への憂慮を表明したアディダス社やナイキ社、インテル社などは、不買運動により甚大な売り上げ減少を被ったと紹介。「企業にとって、批判することで中国の消費者を怒らせるリスクは大きい。中国SNSの愛国者たちは、無礼だと見た企業をさらし者にし、容赦ない言葉はしばしば、中国政府と国営メディアによってさらに強められる」とした。
同紙によれば、元国務相当局者で現在はニューヨーク大経営社会学のポスナー教授が「中国が新疆でやっていることはおろか、香港の問題(民主化運動の弾圧)だけでも、これが世界の他の国で起きていれば、多くの企業は手を引くだろう」と指摘。実例としてミャンマーやエチオピア、アパルトヘイト(人種隔離)で海外から猛批判された南アフリカなどを挙げた。
さらに同教授は「中国は例外だ。市場も製造力も規模が大きすぎる。だから、企業はあえて(中国)政府が狙いを定める相手になるほどの余裕を持てず、口を閉ざし続けている」と評した。
https://news.yahoo.co.jp/articles/fcf492aabb2691084227eab9f785c2f313ca9e6e
英BBCもオリンピックのパートナー企業13社に、中国が人権侵害で非難されていることについてコメントを求めたが、非難に関して直接言及した企業はゼロだったという。
BBCの分析では、オリンピックの国際スポンサーによる大会関連のツイートが、昨夏の東京夏季大会の時と比べて、大幅に減っている。
BBCはオリンピックのパートナー企業13社に、中国が人権侵害で非難されていることについてコメントを求めた。しかし、非難に関して直接言及した企業はゼロだった。
2008年北京オリンピックで米オリンピック委員会の最高マーケティング責任者を務めたリック・バートン氏は、多国籍企業が「綱渡り」状態にあるとBBCに話した。
「国際ブランドであるどの企業も、中国政府を中傷できないし、したいとも思っていないだろう」
国際的大手企業も中国の人権問題に沈黙をするしかないほど大きく成長してしまった中国市場。IOCも骨抜きにされるわけだ。
利益を最優先に考える企業に市場を手放しかねないコメントを求めるのは酷な話だと思う。だが、記事でも紹介されているアディダス社やナイキ社、インテル社みたいな勇気ある企業が少しでもいてほしかった。
政治的に中国の人権問題をもっと共通の認識として広げて企業も非難できる環境にしていくしかない。のこのこ参加する国連とWHOのトップに対しては当然非難していただきたいものだ。