ロシア、またも核使用を示唆 報道官「もしわが国にとって存亡の危機であれば、われわれの概念に従って(核兵器を)使用することができる」
ロシアのペスコフ報道官は「われわれには国内安全保障の概念があり、それは公開されている。核兵器を使用する理由はすべて読むことができる。だから、もしわが国にとって存亡の危機であれば、われわれの概念に従って(核兵器を)使用することができる」と述べた。
ロシア大統領府のペスコフ報道官は22日、ロシアは自国の存在が脅かされた場合にのみ核兵器を使用すると述べた。
CNNとの英語インタビューで、プーチン大統領が核兵器を使用しないと確信しているかとの質問に対し、「われわれには国内安全保障の概念があり、それは公開されている。核兵器を使用する理由はすべて読むことができる。だから、もしわが国にとって存亡の危機であれば、われわれの概念に従って(核兵器を)使用することができる」と述べた。同時に、それ以外に核兵器を使用する理由はないとも明言した。
プーチン大統領は先月、核戦力を戦闘態勢に置くよう命じ、ロシア軍の核戦力部隊が同態勢に入った。
ロシア(またはロシア軍)への直接的な攻撃があれば核を使用するということで、ウクライナ侵攻にNATOなどの勢力が加わることへのけん制だが、「自国の存在が脅かされた場合」の定義が明確にされていない。経済制裁によってロシア経済が瀕した場合や、国連などの国際社会でロシアがつまはじきになった場合も十分考えられるのではないだろうか。
「国家安全保障概念」とは、見通し得る将来において、経済、内政、社会、国際、情報、軍事、国境、環境問題など、広義の国家安全保障問題に関してロシアの公式見解を体系化したものであり、中長期的な視点に立ってロシアの国家安全保障問題について論じた公式文書である。
中略
国際分野における具体的な脅威として以下の 8 項目が列挙されている。
①現存する国際安全保障メカニズム、特に国連および欧州安保協力機構(OSCE)の役割低下を図る動き、②世界におけるロシアの政治的、経済的および軍事的影響力の弱体化、③軍事、政治ブロックおよび連合の強化、特に NATO の東方拡大、④ロシア国境付近に外国の軍事基地や大規模な駐留部隊が配置される可能性、⑤大量破壊兵器およびその運搬手段の拡散、⑥CIS 統合プロセスの弱化、⑦ロシア国境および CIS 加盟国の対外境界線付近における紛争の発生と拡大、⑧ロシアに対する領土要求。引用元 ロシア新政権の国家安全保障政策
2015年には「国家安全保障戦略」が改訂された。
ロシアのプーチン大統領は2日、「国家安全保障戦略」と呼ばれる安全保障政策の指針となる文書を2015年12月以来6年ぶりに改訂しました。
この中では「ロシアや同盟国に圧力をかける試みのほか、ロシアの国境近くにおけるNATOの軍事インフラの増強や核兵器の使用を想定した訓練が、ロシアに対する脅威をさらに強めている」と指摘し、NATOの軍事力の増強が脅威になっていると強調しています。
また、アメリカによるアジア太平洋地域における中距離や短距離ミサイルなどの配備計画も脅威だとしています。
一方「アジア太平洋地域での安定と安全を確保するための信頼できるメカニズムを構築するため中国やインドとの戦略的な関係を発展させる」として、中国やインドとの関係強化を重視する方針が示されています。
さらに、文書では「外国の特殊機関がロシアの情報空間で諜報活動を激化させている」と指摘されサイバー空間における戦略も重要視していくとしています。
ロシアの存亡危機というよりはプーチン政権の存亡の危機といった方がいいのではないか。私にはこの報道官がプーチン政権の牙城が揺らいだら核をぶっ放すと言っているように聞こえる。
とはいえ、またも核兵器の使用をほのめかしたロシア。核をちらつかせれば皆が従うと思っているからこそ核のワードを使用するのだ。第三次世界大戦にだけは発展させたくない西側諸国の足元を見る発言だ。
とはいえ、経済制裁や国際社会からの非難は継続させないとロシアを増長させるだけだ。国際社会は、真綿で首を締める用に圧力を加えつつ、ロシア国民がプーチン打倒に立ち上がるのを待つしか方法はないのだろうか。