国連人権理事会でのロシアの理事国の資格を停止⇒復帰の道もあったが、やけくそになったロシアは自ら復帰の道を絶つ
国連総会の緊急特別会合で、国連人権理事会でのロシアの理事国の資格を停止する決議が採択された。
ロシアの侵略が国際的に非難されるべき行動だと認められたことになる。
国連総会の緊急特別会合で7日、ウクライナへの軍事侵攻をめぐり、国連人権理事会でのロシアの理事国の資格を停止する決議が、93か国の賛成により採択されました。
アメリカ・ニューヨークの国連本部で開かれた国連総会の緊急特別会合の冒頭、ウクライナのキスリツァ国連大使は、「ロシアは隣国の民間人を殺害し、支配しようとしている」とロシア側を強く批判しました。
その上で、「国連人権理事会におけるロシアの資格停止は、選択肢ではなく義務だ。決議案に賛成し、ウクライナと世界の多くの命を救う必要がある。反対に投票するとスクリーン上に赤がともる。赤は命を奪われた罪のない人々の血を意味する。赤い血の表示は、全員の心に残り続けるだろう」と訴え、決議案への賛成を呼びかけました。
決議案では、「ウクライナでロシアによる組織的な人権侵害および、国際人道法の違反があったという報告に対し、重大な懸念を表明する」と明記した上で、国連人権理事会でのロシアの理事国の資格を停止することを求めていました。
採決に先だちロシアは、「決議案は実際の人権状況とは一切関係がない。アメリカが地位と完全な支配を維持しようとする試みにすぎない」と主張し、決議案を支持しないよう呼びかけました。
採決では、ロシアやベラルーシなど24か国が反対、58か国が棄権しましたが、93か国の賛成により採択されました。
ロシアを国際機関から追放することで、国際社会におけるロシアの孤立をより印象づけるとともに、ロシアの責任を強調させる狙いがあります。
国連人権理事会の理事国の資格停止処分は、市民への弾圧を続けていた2011年のカダフィ政権下のリビア以来、2例目です。
ロシアは決議に先立ち警告していた。
ロイター通信は6日、ロシアが複数の国に「決議案への賛成や棄権は非友好的な行動とみなされ、2国間関係に良くない結果をもたらすと伝えた」と報じた。
しかし、ロシアの警告もむなしく決議は採択された。58か国が棄権、18か国が無投票であったことで採択されたわけだが、採択されるには棄権や無投票を除いた2/3が賛成しなければいけないのだが、棄権や無投票の国の半数が反対に回っていれば採択されなかった。
そして、決議に不満を示したロシアは採決後に離脱を表明。
ロシアが反省すれば資格復活への道が残されていたわけだが、自ら復帰の道を絶った。やけくそになっているとしか思えない。
今回の決議には、すでに採択されたロシアを非難する決議、ウクライナの人道危機はロシアの責任だとする決議を「想起する」と記された。また、ウクライナにおいてロシアによる人権の侵害や乱用、国際人道法違反があったことに「深い懸念」を表明している。
人権理理事国の任期は3年で、ロシアは23年末まで務める予定だった。決議では資格停止について「適宜見直す」と記され、総会が今後、資格を復活させる可能性も残された。
だが、ロシアのクズミン国連次席大使は決議の採決後、「人権理は、日和見主義的な目標を達成するために仕組みを悪用する国家集団で占められている」と主張。「人権の保護と促進に対するロシアの責任は、こうした国際機構の一員にとどまることを許さない」と述べ、離脱を表明した。これにより、理事国としての復帰の道は絶たれた。
もうロシアの国際的孤立は止まらないだろう。この勢いで国連常任理事国から解任させる議論に移って欲しい。ロシアの解任議論ができるのは今を置いてないだろう。できれば中国もだが、今は無理だろう。しかし、ロシアの解任が議論だけでもされれば中国による台湾有事への警告にもなるのではないだろうか。
あとはやけくそになったロシアが日本に何をしでかすかが大いに心配だ。政府はこれまで以上に他国と連携を強め、ロシアの行動を警戒しなければいけない。