「コロナの分類引き下げ」「インフルと同じ扱いを」という声が強まる一方で、「入院勧告や外出自粛要請などの措置ができなくなる」「自己負担が生じ、受診控えによる感染拡大も」と懸念する声
「新型コロナをインフルエンザと同じ扱いにしていいのでは」という声が徐々に上がってきている。
自民党の安倍晋三元総理は「オミクロン株において重症化率は下がっている。(分類変更の)議論を本格化すべきだ」と訴えた。
自民党の安倍晋三元首相は9日、大分市で開かれた同党関係者の会合で、新型コロナウイルスの感染症法上の扱いに関し、現在の「2類」相当から季節性インフルエンザと同等の「5類」に引き下げる方向で検討するよう訴えた。
「オミクロン株において重症化率は下がっている。(分類変更の)議論を本格化すべきだ」と語った。
宮城県の村井嘉浩知事も「そろそろ通常のインフルと同じ扱いにすることを検討してもよいのではないか。国全体で考えるタイミングに来ている」と語った。
宮城県の村井嘉浩知事は9日の定例会見で、新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けを「2類相当」から季節性インフルエンザ並みの「5類」への緩和を検討すべきとの考えを示した。「コロナの知見がたまり、治療法も薬もでき、4回目のワクチン接種を行う方針も示された。そろそろ通常のインフルと同じ扱いにすることを検討してもよいのではないか。国全体で考えるタイミングに来ている」と語った。
政府が訪日外国人観光客の受け入れを6月に再開する方向で調整していることについては、「このタイミングで緩和の方向に進むのは遅いくらいだ」と指摘し、「患者が発生した場合の対応策は調整し、外国人に観光客として東北や宮城に来てもらえる環境を作りたい」と述べた。
東京都の小池百合子都知事は1月の段階で訴えていた。
東京都の小池百合子知事は13日、新型コロナウイルスの感染症法上の分類について、結核と同じ2類相当の現状から、季節性インフルエンザと同じ5類に引き下げることを検討すべきとの認識を示した。岸田文雄首相が分類変更に慎重な発言をしたことを受けたもので、国に「5類への変更も含めて科学的知見を集めてほしい」と求めた。
全国知事会でも、現行の「2類相当」の見直しを検討するよう国に求める声が強まっているようだ。(参考)
しかし、一方では慎重な意見も上がっている。
『「2類相当」見直し、国に要請 新型コロナ、「5類」には慎重 知事会』では、分類を下げると以下の懸念が残ると指摘されている。
①感染再拡大の際に入院勧告や外出自粛要請などの措置ができなくなる。
②オミクロン株の評価が定まっていない。今後新たな変異株の出現または拡大の可能性は否定できない。
③医療費の自己負担が生じ、受診控えによる感染拡大につながる
政府が慎重になっているのも、まさにこの点を考慮してのことだろう。特に③は患っていない人には実感がないかもしれないが、感染経験のある人は「2類相当」で良かったと感じている人が多いのではないだろうか。
私個人も早く5類になればいいと思っていたが、懸念材料を見ると、政府の立場からすれば難しいところで慎重にならざるを得ないことは理解できる。