国連人権高等弁務官事務所、新疆ウイグル自治区で「深刻な人権侵害」が発生していると指摘した報告書を発表
国連人権高等弁務官事務所が、新疆ウイグル自治区で「深刻な人権侵害」が発生していると指摘した報告書を発表した。
報告書は新疆ウイグル自治区を視察した結果をもとにまとめられたもの。
また、バチェレ国連人権高等弁務官には約40カ国から公表に反対する書簡が送られ、中国による圧力があったとみられている。
国連人権高等弁務官事務所(スイス・ジュネーブ)は8月31日、中国新疆(しんきょう)ウイグル自治区を視察した結果をもとに新疆の人権状況をまとめた報告書を発表した。報告書は同自治区で「深刻な人権侵害」が発生していると指摘した。バチェレ国連人権高等弁務官は同日、任期満了に伴い退任。新疆の人権問題を否定する中国政府の圧力を受け、報告書の公表が遅れているとみられていたが、退任直前に発表した。
バチェレ氏は2018年9月に国連人権高等弁務官に就任。今年5月23~28日に訪中し、滞在中に新疆の刑務所や多数のウイグル族らを収容した「職業技能教育訓練センター」だった施設を視察した。国連の人権高等弁務官が中国を訪問するのは05年以来だった。
バチェレ氏は6月13日、1期目の任期が終了する8月末で退任する意向を表明し、報告書を退任までに公表する方針を示していた。
欧州メディアによると、バチェレ氏の報道官は8月31日、「報告書は同日中に発表される」と述べた。
ロイター通信によると、中国政府がスイス・ジュネーブにある各国の代表部に6月終わりごろから書簡を送付し、報告書の公表について「重大な懸念」を表明。公表すれば「人権分野において(問題の)政治化と陣営間の対立を激しくさせ、国連人権高等弁務官事務所の信頼を傷つける」と主張した。バチェレ氏は8月25日、約40カ国から公表に反対する書簡を受け取ったと発言。中国などから送付されたとみられる。
報告書には次のように記されていたという。
報告書は「ウイグル族やイスラム教徒をはじめとする他のグループに対する恣意的で差別的な拘束の度合いは、国際犯罪、特に人道に対する犯罪に当たる可能性がある」とした。
バチェレ氏は中国政府に対し、訓練施設や刑務所、収容施設で拘束されている全ての人の解放に向けた措置を速やかに取るよう勧告した。
報告書は「2017年以降、家族計画政策の強制的な執行を通じて生殖権が侵害されていることを示す信頼できる兆候がある」とも指摘。
その上で、政府のデータが不足しているため、こうした政策の現在の執行状況や関連する生殖権侵害の全容について結論を出すのは困難とした。
この報告書に対して、中国は「中国に非があることを前提にしている」「中国の法律や政策を歪曲し、誹謗中傷している」と反論した。
一方、OHCHRは中国側の声明も同時に公表した。中国は今回の報告書について「発表に断固として反対する」と表明。人権状況の評価が「反中国勢力が捏造(ねつぞう)した偽情報などに基づいており、中国に非があることを前提にしている」と説明し、「中国の法律や政策を歪曲(わいきょく)し、誹謗(ひぼう)中傷している」と主張した。
いつもの中国のお約束の反応だ。
報道によると、3カ国の外交官が中国から書簡を受け取ったことを認めたそうだ。
中国政府は、バチェレ国連人権高等弁務官が5月に行った新疆ウイグル自治区の視察に関する報告書を公表しないよう働きかけている。中国側が各国にこうした取り組みへの支持を要請する書簡を送ったことをロイターが突き止め、実際に3カ国の外交官が書簡を受け取ったことを認めた。
気になるのがこの40か国がどの国かだ。少なくとも40か国が中国に屈服しているということだ。
さて、報告書を発表したのはいいが、この後、国連がどう動くかだ。さらなる調査をするのだろうか?非難決議案を提出するのだろうか?それとも、報告書を発表しただけで終わりにするのだろうか?
この後どう動くかが重要だ。