台湾「中国の航空機やドローンが台湾の領空に侵入した場合、中国による第1撃だとみなして、対抗措置を講じる」と表明
中国の王毅外相は、国連総会で台湾との「平和的統一」実現を目指す方針を明かしたが、一方で軍事挑発を繰り返している。
昨年から中国軍機が台湾の防空識別圏を飛行していることが幾度も確認され、9月初めには中国のドローンが台湾が実効支配している金門島付近に飛来していた。
こういった中国の挑発行為にくぎを刺すかのように、台湾側は「中国の航空機やドローンが台湾の領空に侵入した場合、台湾側は中国による第1撃だとみなして、対抗措置を講じる」と表明した。
台湾の邱国正国防部長(国防相に相当)は5日、「中国の航空機やドローンが台湾の領空に侵入した場合、台湾側は中国による第1撃だとみなして、対抗措置を講じる」と表明した。
邱氏は同日、台湾の立法院(国会)で、与党、民主進歩党の議員から「敵方(中国)の飛行機が領空に侵入した場合でも、第1撃とみなすか」と聞かれた際に「そうだ」と答えた。
邱氏によれば、台湾側はこれまで敵の発砲を「第1撃」とみなしてきたが、中台両岸の軍事的緊張が高まったことを受け状況が変わり、敵の飛行機による領空侵入を「第1撃」とみなすようになった。邱氏はさらに「わが軍にはレッドラインがあり、(中国が)レッドラインを越えれば、対抗措置を取る」とも表明した。ただ、対抗措置の詳細については言及しなかった。
中国軍機は近年、台湾海峡付近で挑発行為を繰り返しており、これまでに台湾の防空識別圏(ADIZ)に進入したほか、台湾海峡の中間線を越えたこともあったが、台湾の領空への侵入はなかった。だが、8月以降、中国の民生用ドローンが頻繁に台湾の離島、金門島の領空に侵入するようになった。9月1日に台湾軍による発砲で中国のドローン1機が撃墜された。
邱氏の発言は「レッドラインを明確に示し、これ以上の挑発行為を行わないように」と中国軍を牽制(けんせい)する狙いがあるとみられる。
日本にとっても他人事ではない話だ。中国は日本に対しても挑発行為を繰り返してきている。それに対して日本が行ってきたのは抗議だけだ。しかも、中国の弾道ミサイルが日本の排他的経済水域(EEZ)に打ち込まれたにもかかわらず、電話で懸念を伝えるだけだ。なんとも情けない。
せめて台湾と同じくらい強い口調で中国をけん制してほしいものだが、日本政府が「第1撃だとみなして、対抗措置を講じる」などと言おうものなら、特定の野党やマスコミなどが「そんなに中国と戦争したいのか」と騒ぎ出すのが目に見えているから始末に負えない。
しかし、そんなことでは国を守ることはできない。政府はどうやったら中国に挑発行為をやめさせるかを真剣に考えなくてはいけない。