立民・泉代表、打越氏の質問の是非を問われても「ご意見は承った」と述べるにとどめる
話題となっている立憲民主党の打越さく良議員の質問について、同党の長妻昭政調会長が「詳細が分からないのでコメントができない」と述べたことが炎上したが、今度は泉健太代表が「学校で『君は旧統一教会なのか』となりかねない」と、打越氏の質問の是非について質問されると「ご意見は承った」と述べるにとどめたと産経新聞が報じた。
立憲民主党の打越さく良参院議員が19日の参院予算委員会で行った質問が波紋を呼んでいる。山際大志郎経済再生担当相に世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の信者かどうかをただした内容に関し、「信教の自由」を保障する憲法の精神に反するとの指摘が相次いでいるためだ。ただ、立民の危機感は薄く、「立憲」を掲げる政党の真価が問われている。
「基本的には当然、信教の自由がある。公人としてそういうことを聞かれるべきかについては、実際の国会の中で判断されていくことだ」。立民の泉健太代表は21日の記者会見で、打越氏の質問の是非について明確に答えなかった。「学校で『君は旧統一教会なのか』となりかねない」と、社会への悪影響を指摘する質問には「ご意見は承った」と述べるにとどめた。
「ちょっと矩(のり)を踰(こ)えているのではないか」「注意とかはしないのか」という指摘には、「今のご意見は承りました」と繰り返した。
別の記者は、「ああいう発言をあまり子どもに聞かせちゃいけない」と指摘。さらに、党最高顧問の肩書きを持つ菅直人元首相が、日本維新の会と創設者の橋下徹氏について「第一次大戦後の混乱するドイツで政権を取った当時のヒットラーを思い起こす」と投稿した問題を引き合いに、
「やっぱり立憲って『そういうところ』があるんだなって…。もう2回起こっている。(国会審議で成果があった)いいときこそ、代表として守りも固めないとやられてしまう」
などと認識をただした。泉氏は次のように答え、一転して打越氏の質問に対する問題意識をにじませた。
「そういうところはあると思いますね。やはり党所属議員、不用意な発言というのを、気をつけねばならないと思います。特に人権ということについて日頃から訴えている政党であれば、人権に配慮して発言をすべきだと、これはもう、間違いないことだと思います」
政調会長に続いて、党代表もコメントを避けた形となった。また、「問題意識をにじませた」以降のコメントを見ても、何か他人事の様な気がしてならない。「不用意な発言というのを、気をつけねばならないと思います」ではなく「不用意な発言をなくすよう、党として徹底します」というのが代表のコメントではないだろうか。だから「立民の危機感は薄く」などと論評されてしまうのだ。
また、打越氏の質問について、自民党から批判が出るのは当然だが、野党側からも同調できないという考えが出てきた。
自民党の世耕弘成参院幹事長は会見で「公人といえども信教の自由、内心の自由は保障されるべきだ。質問は適切ではなかった」と強調。創価学会を支持母体に持つ公明党の石井啓一幹事長も会見で「憲法の観点から言えば、自分が信じているものを言わない自由も当然ある。あえて公の場で聞くのはちょっと行き過ぎではないか」と語った。
また、共産党の田村智子政策委員長は会見で「私たちはそういう質問はしないですよね、ということに尽きる」と述べ、党として同調しない考えを示した。さらに、野党共闘の強化に尽力してきた政治学者の山口二郎氏はツイッターで、「信教の自由を理解しない暴言であり、謝罪、撤回すべきと私も思う。統一教会問題を追及する際の論理構成について、立憲民主党は再確認すべき」などと警鐘を鳴らした。
立憲民主党内で注意喚起をしたという情報はいまのところないようだが、立憲民主党は問題扱いしないという認識でいいのだろうか?