玉城知事が懸念を表明している「キーン・ソード23」について、八重山防衛協会の三木巌会長「インド太平洋の平和と、安定した海洋秩序に貢献する」と歓迎
太平洋や東シナ海を含む日本各地で実施している日米共同統合演習「キーン・ソード23」。
沖縄県は与那国空港の使用申請を許可したものの、県議会与党会派は県に対して演習の実施に反対するよう求め、玉城デニー知事は与那国駐屯地での訓練に関連し、県民や住民に不安を与えるとして懸念を表明していた。その一方で、八重山防衛協会の三木巌会長は「インド太平洋の平和と、安定した海洋秩序に貢献する」と歓迎し、与那国駐屯地と与那国町長に激励文を送ったと八重山日報が報じた。
県内を含む全国各地で日米共同統合演習「キーン・ソード23」が展開されていることを受け、八重山防衛協会の三木巌会長らが14日、石垣市内で記者会見し「インド太平洋の平和と、安定した海洋秩序に貢献する」と歓迎する声明を発表した。演習地の一つである陸上自衛隊与那国駐屯地の鴨川優一郎司令(2等陸佐)と与那国町の糸数健一に対し、激励文を送付したことも明らかにした。
声明では八重山や台湾周辺で中国が軍事行動を活発化させている現状について「八重山近海の安定と秩序を脅かす行為」と指摘。
演習が日米だけでなく豪州やカナダの参加のもと行われ、太平洋と東シナ海に挟まれた八重山近海に国際社会の関心が高まることは「地域の平和と安定のために重要な意味がある」と強調した。与那国駐屯地と与那国町に対する激励文では「台湾有事の現実性についてささやかれる昨今、台湾から最も近い与那国島でこのような訓練が行われることは貴重」と評価。糸数町長に対しては、安全保障に対する見識の高さや信念の強さに敬意を表した。
与那国駐屯地での訓練に関連し、県内で初めて戦闘車両の公道走行も予定されている。玉城デニー知事は県民や住民に不安を与えるとして懸念を表明しているが、三木会長は「実効性ある訓練を行うためには当然」と理解を示した。
他の沖縄二紙と言えば、反対の声ばかりを多く取り上げていて、あまりこのようなことは報じられないように見受けられる。
琉球新報は10日、「キーン・ソード23 有事想定は認められない」という社説を配信した。
77年前の沖縄戦で4人に1人が犠牲になった。「軍隊は住民を守らない」というのが沖縄戦の教訓だ。沖縄での有事を想定した訓練は認められない。強く抗議する。
中略
1945年1月、大本営は沖縄を日本防衛のための「前縁」と位置付け「極力敵ノ出血消耗ヲ図」る方針を決定した。沖縄戦は「本土決戦」に備えるための時間稼ぎだった。沖縄戦の教訓から県民は「人間の安全保障」を要求してきた。だが、日本は米軍との軍事一体化を強化し、尖閣や台湾有事を想定して自衛隊を南西諸島に重点配備している。台湾有事を想定して南西諸島に米軍の軍事拠点を設ける日米の新たな共同作戦計画が策定中だという。
自国が攻撃されなくても戦争に参加する集団的自衛権を、安全保障関連法に基づき行使し自衛隊が後方支援などを行えば、必然的に自衛隊基地も攻撃対象となる。
敵基地攻撃能力の保有を検討し防衛費大幅増額など、戦争に向けての地ならしが進んでいる。キーン・ソードは日米軍事一体化の訓練といえる。過去の大本営方針のように、沖縄が最前線(前縁)となり再び戦争に巻き込まれることは断じて認められない。
第二次世界大戦のことを引き合いに出しているが、ここで気付かなくてはいけないのが、今も昔も沖縄は、他国にとって重要な土地だということだ。第二次世界大戦では米国は日本への侵攻拠点として沖縄を狙い、今は中国が太平洋進出のため南西諸島や台湾を欲している。米国も中国へのけん制の意味を含めた、同盟国を守るために沖縄に軍を配置している。なにより第二次世界大戦の認識を現代に持ち込んでいること自体ナンセンスだ。沖縄は日本だ。大切な日本の国土を守ろうとすることになぜ理解を示せないのか?もっとも、共同演習の意味も防衛費増額も戦争抑止のためということも理解できずに「戦争への地ならし」と言っている時点で無理かもしれないが。
統合幕僚監部は次のようにプレスリリースを発表している。
自衛隊と米軍は、下記のとおり令和4度日米共同統合演習(実動演習)を実施します。本訓練は、強固な日米同盟の下、日米双方が主要装備品を使用した演習を行う中で、日米の即応態勢を確認し、相互運用性を向上させるものです。自衛隊と米軍は力による一方的な現状変更の試みは断じて許さないという強い意志のもと、あらゆる事態に対応するための抑止力・対処力を強化し、我が国の防衛及び地域の平和と安全の確保に寄与していく考えです。
引用元 令和4年 度 日 米 共 同 統 合 演 習 ( 実 動 演 習 )「 K e e n S w o r d 2 3 」 に つ い て
日米の演習が行われるのも、防衛費増額をせざるを得ないのも、すべて中国による台湾への軍事的圧力や、東シナ海での日本への挑発が起因している。だったら批判の矛先は中国へ向けるはずなのになぜそうしないのか?これは玉城知事や沖縄県議会与党会派にも言えることだ。