増税検討に、自民党内から反発の声⇒高市氏「総理の真意が理解できません」西村氏「投資・賃上げに集中し、成長軌道に乗せて税収増につなげるべき時」佐藤氏「手順が違うと「防衛力強化」が悪者になったり怨嗟の対象になりかねない」
岸田文雄総理が会見で、防衛力増強の財源として増税を行う考えを改めて示すとともに、国債発行については「未来への責任としてあり得ない」と否定した。
これを受けて高市早苗経済安全保障担当相が「総理の真意が理解できません」と漏らした。
高市早苗経済安全保障担当相は10日、自身のツイッターで、岸田文雄首相が防衛費の増額に関し、令和9年度以降、1兆円強を増税で賄う方針を明らかにしたことに対して「総理の真意が理解できません」などと不満を吐露した。
高市氏は、8日に官邸で開かれた政府与党政策懇談会の場に呼ばれなかったとし、「その席で、総理から突然の増税発言。反論の場もないのかと、驚きました」とつづった。
さらに高市氏は「再来年以降の防衛費財源なら、景況を見ながらじっくり考える時間はあります。賃上げマインドを冷やす発言を、このタイミングで発信された総理の真意が理解できません」などと投稿した。
普段は出席の声がかかる一昨日の政府与党連絡会議には、私も西村経済産業大臣も呼ばれませんでした。国家安全保障戦略には経済安全保障や宇宙など私の坦務分野も入るのに。その席で、総理から突然の増税発言。反論の場も無いのかと、驚きました。
— 高市早苗 (@takaichi_sanae) December 10, 2022
企業が賃上げや投資をしたら、お金が回り、結果的に税収も増えます。再来年以降の防衛費財源なら、景況を見ながらじっくり考える時間はあります。賃上げマインドを冷やす発言を、このタイミングで発信された総理の真意が理解出来ません。
— 高市早苗 (@takaichi_sanae) December 10, 2022
高市氏が名を挙げた西村康稔経産相も次のようなツイートをしていた。
今年の税収は過去最高68兆円。今後5年間は大胆な投資・賃上げに集中し、成長軌道に乗せて税収増につなげるべき時。5年間が経済再生のラストチャンス。大変革期の中、バブル期に匹敵する企業の投資・賃上げ意欲の高まりに水を差すべきではなく私自身増税には慎重な立場です。政府内でも主張しています。 https://t.co/hva7DlWtEI pic.twitter.com/eroQ4edpTP
— 西村やすとし NISHIMURA Yasutoshi (@nishy03) December 10, 2022
ヒゲの隊長こと佐藤正久外交部会会長は「順番が違う」と指摘。
【手順が違うとせっかくの「防衛力強化」が悪者になったり怨嗟の対象になりかねない→"ヒゲの隊長”が苦言「防衛力の中身の説明前に増税では順番が違う」】
ましてや復興予算の復興特別所得税を当てるのは、未だに故郷に帰れない方々の思いからすれば、優しくない政治だ https://t.co/lajbQEbgb4— 佐藤正久 (@SatoMasahisa) December 11, 2022
佐藤氏は、「国民は、どれだけの部分の防衛力を強化するのか、まだ知らない」と述べ、増税の方針表明に先立ち防衛費の増額分の使途について明らかにするべきだったとの認識を示した上で、「防衛力の中身を説明する前に増税では、やはり順番が違う」と指摘した。
そして、「防衛が変わるということを説明した上で、どのような手だてで財源を捻出するのか、歳出改革や余剰金もあるだろうが、どれくらい足らないので増税というように、やはり手順が必要ではないかと思う」と述べた。
自民党の会議では増税を巡り紛糾したようで、多くが増税に異を唱えたという。そのうちの一人で、青山繁晴議員は「防衛国債を発行することで日本の財政破綻が起きる状況ではない。財務省が増税のきっかけをつかもうとしているように見える。首相の発言に反対だ」と指摘した。
党本部9階で開かれた会議では55人の議員が発言し、「バカヤロー!」という怒声が階下に聞こえるほど白熱した。松本洋平政調副会長によると、約40人が増税に異を唱え、十数人が増税を容認する意見を表明したという。
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これに対し、9日の会議で柴山昌彦元文部科学相は「唐突に党で議論していない金額が降りてきて、増税1兆円が必要で、年末までに決めろという主張は疑問に思う」と述べた。ほかにも「経済回復の途上なので、増税で景気を冷え込ませるべきではない」「選挙で公約として信を問うていない」などと異論が相次いだ。閣僚経験者は政府の姿勢について周囲に「火事場泥棒だ」と酷評した。
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青山繁晴参院議員は記者団に「防衛国債を発行することで日本の財政破綻が起きる状況ではない。財務省が増税のきっかけをつかもうとしているように見える。首相の発言に反対だ」と語った。一方、「広く薄く、国民が防衛を考える意味でも増税という選択肢は避けて通るべきではない」(稲田朋美元防衛相)と増税を容認する意見もあった。
結論の出ない会議は萩生田光一政調会長が「政府に意見を伝える」と引き取り、終了した。
安倍元総理が提唱してきた「防衛国債」の発行について岸田総理は否定したわけだが、安倍派の会合では「いま増税の話をするのはおかしい」「増税ありきではダメだ」という反発の声が上がったという。
政府方針について、8日にあった安倍派の例会で「いま増税の話をするのはおかしい」「増税ありきではダメだ」と若手議員を中心に反発する声が複数あがった。同派所属の萩生田光一政調会長が、党所属議員が出席できる会合を開くことを提案し、引き取ったという。
それぞれがごもっともな意見だ。どうしても増税しないと無理だというのなら仕方がないのかもしれないが、今増税を検討するのは勇み足と考える。岸田総理にはこういった党内の声にも耳を傾けていただきたい。