立民・泉代表「存立危機事態での敵基地攻撃についても我が国へのミサイル攻撃への必要最小限度のやむを得ない処置とはいえず、我々は反対です」
25日、衆院本会議で立憲民主党の泉健太代表が、岸田総理の施政方針演説に対する各党代表質問で、防衛費について言及した。
泉代表は防衛費増額に伴う増税方針を「乱暴な決定」と非難し、増税を行うなら衆院を解散し、国民に信を問うことを進言した。また、「反撃能力(敵基地攻撃能力)保有は国際法違反の先制攻撃になる」と指摘した。
岸田文雄首相の施政方針演説に対する各党代表質問が25日午後、衆院本会議で始まった。政府が打ち出した防衛費増額に伴う増税方針を巡り、立憲民主党の泉健太代表は国会での議論を経ない「乱暴な決定」と非難。防衛増税を強行するなら衆院を解散し、国民の信を問うよう迫った。安全保障政策の大転換により決めた反撃能力(敵基地攻撃能力)保有は国際法違反の先制攻撃になるとして反対した。衆院で本格論戦がスタートした。
防衛費増額に関し、泉氏は額ありきで決定したと問題視。防衛費に建設国債を充てる方針や、防衛増税のため東日本大震災の復興特別所得税を転用するといった手法もただした。
確かに、増税を行うなら衆院解散で国民に信を問うのは納得できる。おそらく岸田政権もそのつもりでいるのだろうと思う。
ただ、代表質問を聞いている限りでは、泉代表は防衛費増額についても問題視しているようだが、国民が問題視しているの増額ではなく、拙速な増税方針に反発しているのだ。
反撃能力についても、共同通信はかなり端折っているが、泉代表は質問で「そもそも政府の言う反撃能力とは、敵基地攻撃能力と何が違うというのか総理は明確にしていません。国民に分かりやすく説明すべき。立憲民主党は相手国のミサイル発射着手段階における日本からの敵基地攻撃は国際法違反の先制攻撃にならざるを得ず、反対の立場。政府の反撃能力も、もし相手国のミサイル発射の阻止をする目的ならば、同じく国際法違反の先制攻撃とみなされるでしょう。存立危機事態での敵基地攻撃についても我が国へのミサイル攻撃への必要最小限度のやむを得ない処置とはいえず、我々は反対です」と語っている。
一発目のミサイルを受けるのは仕方なしということだろうか。しかも、そんなことを言い出したら、世界を見渡せば国際違反の国がごろごろしている。それについてはどう考えているのか。特に、日本は世界でもトップレベルのならず者国家と対峙する可能性が非常に高い。
国際法違反なのは先制攻撃であって、敵基地攻撃能力の保有ではない。国連憲章でも、「武力による威嚇又は武力の行使を、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも、また、国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎まなければならない」としているが、自衛権は認められている。
敵基地攻撃能力についても「第24回国会 衆議院 内閣委員会 第15号 昭和31年2月29日」で、政府は、一定の条件が満たされれば、ミサイル攻撃に対する防御のために敵基地攻撃を行うことは可能という見解を示している。
わが国に対して急迫不正の侵害が行われ、その侵害の手段としてわが国土に対し、誘導弾等による攻撃が行われた場合、座して自滅を待つべしというのが憲法の趣旨とするところだというふうには、どうしても考えられないと思うのです。そういう場合には、そのような攻撃を防ぐのに万やむを得ない必要最小限度の措置をとること、たとえば誘導弾等による攻撃を防御するのに、他に手段がないと認められる限り、誘導弾等の基地をたたくことは、法理的には自衛の範囲に含まれ、可能であるというべきものと思います。昨年私が答弁したのは、普通の場合、つまり他に防御の手段があるにもかかわらず、侵略国の領域内の基地をたたくことが防御上便宜であるというだけの場合を予想し、そういう場合に安易にその基地を攻撃するのは、自衛の範囲には入らないだろうという趣旨で申したのであります。この点防衛庁長官と答弁に食い違いはないものと思います。
武力攻撃の開始ないし着手については、判断が難しいところとなるが、そもそも、反撃能力や敵基地能力の保有については、使用を目的としておらず、日本にはこういった武力があるということで、相手国に攻撃を思いとどまらせることで戦争を回避するというのが本来の目的ということを忘れてはいけない。